人見知りな店主のカフェ (自己紹介を兼ねて)
むかしむかし。もう何年も前のことですが、神戸のとある町に、とっても人見知りな店主がカフェを営んでおられました。
――と、昔話みたいな書き出しになったのは、そのカフェがすでに閉店しているからです。
男性店主が一人でされていたカフェで、そりゃあもうシャイな方でした。
決死の表情で、からくりの茶運び人形みたいな感じでまっしぐらに紅茶とタルトを持ってきてくれたかと思うと、サササササーッと店の奥のキッチンに引っ込んでしまう。
動物にたとえるのは失礼かもしれないですけども、リスが経営するカフェへお客でキツネが来たら……というコントみたいな避けられっぷり。
私も人見知りをこじらせていまして、ヘトヘトに歩き疲れてカフェへ入ったとしても、お茶を飲み終えると居たたまれずサッとお店を出てしまうタイプなので、なんとなく男性店主のしんどさがわかるような気がして嫌な感じはしません。かえって、お客を適度にほっといてくれる感じがとっても居心地よくて、珍しく長居しちゃったんです。
そこのカフェは、キッチンを2mくらいありそうな塀で囲っていて、客席からは中が見えないのですが、私が会計をしようとレジへ行くと、店主はキッチンの中でひざを抱えて辛そうに座っておられました。
たぶん、他人と同じ空間にいるのが辛いけれど、なんとか社会に出ようと必死に頑張っていらっしゃったのではないかと想像しています。のんびり長居しちゃって申し訳なかったです。
(※あの男性店主さんはどうされているかな? と、ダメもとで検索してみたら、現在は、移動販売車でフルーツタルトの販売のみされているようです。お元気そうでよかった! あのとき食べたタルト、おいしかったですよ。)
ところで、なぜいきなり昔話を始めたかというと、最近、人見知りな店主のカフェを新たに見つけたからです。
その新しく見つけたカフェは男女でされているようで、お二人とも人が苦手でいらっしゃるのかな? という感じがしました。
スタッフのお二人とも、気軽には声をかけにくい感じなんです。
つんけんした感じじゃなくて、動物にたとえると失礼なんですが、人なつこくない野良猫ちゃんとか野生動物に遭遇したときの、『これ以上、近づいたら逃げられる!』みたいな緊張感をまとっておられるとでも言いましょうか。
カフェという公共の空間ですから、いろいろなタイプのお客さんがいらっしゃるでしょうけれど、『キャー、野良猫ちゃん可愛い!』みたいに土足でズカズカ入って荒らして欲しくないなあと、個人的に思います。
お客さん同士が気づかい合って、ほっこりとした空間をみんなで守っているようなお店でした。長く続いて欲しいです。
こちらの店主はブログで情報発信されていて、もしカフェへ行きたいと思われた場合、ネット検索で簡単に見つかりますので、ここでは場所と店名を書くのはやめておきますね。