パソコン占い
彼女はパソコンの前に座り、
自ら何かを入力した。
彼女は微笑んだ。
結果が出たようだ。
彼女は席を立ち、
足取り軽くそこを後にした。
それを見ていた男が、パソコンの前に立った。
「パソコン占い?」
周りを気にすることなく声に出した。
「面白そうだな~」
ドカッと席に座った。
「まず名前か」
画面には『名前』の入力欄があった。
彼は瞬く間にひらがな入力し、漢字に変化した。
彼はちゃらいアロハ姿がったが、
ブラインドタッチが自慢だった。
彼は、続いて『生年月日』、『血液型』を素早く入力した。
「このいうのは入力のタイムとかを測ってるんだろう」
と小さくない声で呟いた。
『すべてを入力したら、Enterキーを押してください』
とモニタに表示された。
彼は勢いよく、Enterキーを弾いた。
直ぐに結果がモニタに表示された。
『あなたは自意識が強く、
周りへの配慮が欠けます』
男は画面を睨んだ。
「気を使いまくる、この俺が?」
次の表示を見た男は納得したのか、
肩を落とし、口を閉ざして去って行った。
男の占い結果というのはこうだった。
『パソコンのキー入力は静にしていください。
他人の迷惑です』
ちなにみ、先に占った女性はこう表示された。
『あなたは気遣いができる素敵な方です。
静かにパソコンをお使いいただいてありがとうございました。
またのご利用をお待ちしています。市立図書館より』
最近、図書館でパソコンを利用する人が多くなり、
キーを叩く音がうるさいというクレームが増えていた。
このパソコン占いはその対策のためだった。
パソコン占いの噂が広がり、
図書館利用者のキー入力の音が静かになった。