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作者: 日向夏

ザーザー

ポツポツ

シトシト


私にとってこういうふうに聞こえる雨は

私以外の人間にとってどのように聞こえるのだろう。

私は雨が好きだ。

普段はバタバタと急いで仕事の時間のギリギリまで家で粘っている。

そうして自転車をぶっ飛ばす。

ある時は朝ごはんを抜いたり、ある時は大事なものを忘れたり。

そんな朝だ。

でも、雨の日は違う。

いつもより30分は早く家を出ることにしている。

それは雨の日には自転車に乗れないからだ。

会社まで自転車で7分の距離を20分かけて歩いて行く。

雨が降った日は嫌だななんて思ったりすることもあるけど、私はそんなに嫌ではない。

むしろワクワクとしている。

雨は私の無意識のどす黒い塊の色を薄める。

私の溜まったものを洗い流すわけではないけれど、それでも私にとっては十分だった。

雨の日にはお気に入りの音楽を聞きながら水たまりを飛び越える。

イヤホンの隙間から入り込んでくる雨の音に耳を傾ける。

コンクリートに落ちた雨の匂いが鼻をくすぐる。

雨は日頃の仕事に疲れた私に瞬間的なご褒美を与えてくれる。


「おはよう、今日、雨とか最悪だよねえ」

会社のフロントに着いて雨粒を拭う私に同僚が話しかけた。

「そうだね」

私はたった一言そう答えた。

それだけできっと十分だ。

私は雨が好きだから。


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― 新着の感想 ―
[一言] 何気ない日常のヒトコマを切り取った。文章を書き慣れてこないと、なかなか出てこない。平凡だけれど、投稿したこと自体を評価。
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