タウン・ハウス
中途半端に更新していてすいません。
付け足しました
《ふえぇぇぇええ!!!!!どうして?!》
間抜けな顔から戻った風の精霊らしい少女は私にそんなことを言ってきた。
こっちこそ逆にどうして契約すると思ってるのか。
そんなめんどくさいものはもうお断りだ。
私をどんな人間に造り上げたいというのか。
「どうしてもなにも、ヒカリで十分だし」
《光の精霊なんかよりも風の精霊のほうが役に立つよ!》
まぁそう言われればそうかもしれないけど、でもねぇ……?
それに光の精霊“王”であるヒカリに対等に話せるこの子。
明らかにねぇ?
《やだやだ!契約するまでついてく!》
「やめてよ!うざったい」
《だそうだ。さぁ我が主ここには用はない。行こう》
「えぇ。そろそろ休憩も終わるでしょう」
後ろでいつまでも騒いで追いかけてくる少女を無視して馬車に乗る。
そして外から何か聞こえる気がするがほっといて私は眠りについた。
「……君は?」
目の前にいる彼はまるで宝石のようなとても美しい碧眼の目で私の瞳をのぞく。
自分の頬が火照っていくのを感じながら口を開く。
「わた、しは……サファミュア…サファミュア・フロージルです」
私が小さな声で名乗ると目の前の彼は軽く目を見開いて驚いたようだった。
私にはその反応の意図が読めない。
「そうか、君が……「何をやっているんですか!!!」
彼がなにか言おうとしたところを甲高い金切り声が被さった。
声のした方を向くとそこには紫色の美しい髪をした少女がこちらに向かって歩いてきていた。
うわ、でた紫の姫、顔だけは綺麗なんだけどなぁ。残念です
……ん?
紫の姫??
あれ?ここどこ?
「!!?!?!!」
なにか紫の姫が言ってるけど突然なにも聞こえなくなった。
ボーッと見ていたら……
バッチーーーン!
「いってぇえ!」
乙女にあるまじき声をあげるが気にしない。
それよりも強烈な平手打ちが入った。
どこの誰だコノヤロウ!
痛いじゃないか!絶対痕ついた!!!
前を向くとヒカリがいる。
犯人はこいつか!
コロスゾ!!!
ヒカリを鋭い眼光で睨む。
《あぁ、やっと起きたか。我が主の寝起きは悪くて仕方ない》
こいつ!起こす方法は他にいくらでもあったのに!
麗しき乙女の頬を叩くとは!!!
「サファミュア」
興奮が覚めないまま声のした方をみるとマルシャ義兄様がいた。
そこで興奮が一気に冷める。
「王都の邸宅についたぞ」
寝ている間に王都の邸宅にいつの間にか着いていたらしい。
私が馬車から降りると大きな屋敷が目の前にあった。
領地の本邸には及ばないものの綺麗な屋敷だ。
色はチョコレートで造られたみたいな感じの屋敷。
すごい私好みだ。
中にはいるとこれまた豪華な広間だった。
シャンデリアが天井に吊るされキラキラと輝き、目の前には赤い絨毯を敷いて大理石で造られたであろう階段がある。
使用人たちがズラリと並び一斉にお辞儀をしている。
そこからスッと老齢の執事がでてくる。
「おかえりなさいませマルシャ様。」
それにマルシャ義兄様は頷く。
執事は私に目を向けにこりと笑った。
「お初にお目にかかりますサファミュア様。執事のザリドでございます。」
洗礼された挨拶に気を引き締めて私も返した。
その後私達は居間に案内される。
ちなみにそこまでの道を覚えていない。
覚えきれないくらい広すぎて迷ってしまうだろう屋敷。
一人では気軽に出歩けなさそうだと思いつつキョロキョロしないように真っ直ぐ前を向く。
着いた居間には家具の一つ一つが高級品だとわかる逸品の数々が置かれていた。
フロージル侯爵家って上流階級だとは言われてたけど、ここまでとは…
私はマルシャ義兄様に続いてソファに座って一息着いた。
「サファミュア様。」
執事のザリドが私に声を掛けたのでわたしもそちらを向く。
すると執事のザリドの隣に私より2、3歳年上であろうメイドがいた。
「こちら滞在中にお世話をさせていただくレンリーです。何かありましたらレンリーにお申し付けください」
レンリーはこれまた優雅にお辞儀をした。
栗色の髪で大きな茶色い垂れ目が特徴の少女だ。
かわいい。
「よろしくお願いしますね」
私はできるだけ優雅に見えるように微笑みながら言う。
するとそれを見ていたレンリーはポッと頬を染めた。
効果はあったようだ。
「早速なのだけど長旅で疲れてしまったの。部屋に案内してくださらない?」
立ち上がって言うと「こちらへ」と案内される。
私はマルシャ義兄様に挨拶をしてから退室した。
案内された部屋は白で統一された上品な部屋だった。
大体は領地の本邸と同じ感じだがこちらの方がとても品がいいように感じる。なぜだ。
椅子に座るとレンリーが紅茶を出してくれる。
リラックス効果がある茶葉を使っているのか肩の力が抜けるのがわかる。
やっぱり長旅に思った以上に疲れていたらしい。
「サファミュア様。改めましてレンリーと申します。よろしくお願いいたします」
「えぇ。サファミュア・フロージルよ。これからよろしくね。」
レンリーは頬を染めながら私を見ている。
やはり私の容姿は相当いいらしい。
こういうかわいい少女が頬を染めて見てくれるのはうれしい。
こういうときはこの容姿でよかったって思うよ。
「ところでレンリー?私パーティーのドレス見ていないのだけど大丈夫よね?」
「はい。無事に届いております。当日はお任せください」
頼もしくて何よりだ。
パーティーなんてめんどくさいが仕方ない。
こんなかわいい少女が整えてくれるのだ。それだけでもパーティーに行く価値はある……はず。
私はレンリーと当日のことを話ながら時間を過ごした。