表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/128

98

「だからな、ヴァージル将軍にも教えてやったんだ。セイガですら、押しに押されたら落ちるんだ。ユノもいける、とな」

「ちょっ! 何よけいなこと言ってんの!?」

 父さんは父さん、あたしはあたし。まったくの別物だよ?

 同じやり方でどうにかなるとか、それを堂々と助言したとか、ホントさいってー!

「あーもう! さっき、父さんと母さんのなれそめを教えてくれたら、一回くらい伯父さんって呼んでもいいかな、って思ったけど、やめた! 絶っ対呼ばない!」

 よっぽどショックだったのかな? 王様、がっくりって感じで、崩れ落ちて地面に突っ伏して起きてこないんだけど。

 ここまでされると、さすがにちょこっとくらいは、罪悪感がさぁ……。

「兄さん、何をしてるの? ユノを怒らせないで、って、手紙に書いたでしょう? この子はセイガさんと同じで、怒るとこじれて面倒なのよ」

 なーんか、母さんまでひどいこと言うし。

 そりゃあ、頭に来たら、カッとなって思いつくままにいろいろ言っちゃうけどさぁ。それでも、こじれるってほどひどくはないと思うよ?

 悪いこと言ったと思ったら、謝るし。バッサリ縁を切るなら、ちゃんと切りに行くし。

「マノ、だがなぁ……」

「だが、も、しかし、も、へったくれもないの。兄さんは歩くはた迷惑だって、いい加減に自覚してちょうだい。ああ、ダイも、第二の歩くはた迷惑にならないよう、今から気をつけてね? いい加減、後始末をさせられる人間の身になって、少しは考えてくれるかしら?」

 あー、うん、母さんだよね。他人じゃないから、ホント容赦ない。

「それからユノは、自分から触りにいく分には気にしないけど、他人に触られるのは嫌いなの。そこも気をつけて。思い切り怒らせると、二度とその顔見せないで、って言われるわよ?」

「えっと、一応母さんのお兄さんだし、そこまでは言わないけど……んでも、しばらく顔も見たくない、は言うかも」

 だって、何かメッチャ暑苦しいし。

 でも、さすがに、ずっと見ないってわけにはいかないと思うけどね。

 っていっても、今まで家族以外にそういうこと言ったの、将軍にだけ……かなぁ? イハル(にぃ)には、一回も言ってないし。

 イハル兄はさ、嫌いとか、顔も見たくない、って言ったら、フラッとどっか行っちゃって、もう帰ってこない気がしたから。言ったことがホントになっちゃいそうで、怖くて言えなかったんだよね。

 今だったら、言っても大丈夫な気がする。

 グレースが、イハル兄の帰る場所になったから、かな? 行き先がわかってるから、変な言い方だけど、安心して言えるっていうか。

 あたしたち家族は、ずっと一緒にいたけど、イハル兄の帰る場所じゃなかったと思うし。

「……私は、大嫌いと言われましたが」

 う……。

 将軍にボソッと言われると、やっぱ、ちょっと堪えるかも。

 そりゃあ、もちろん、勢いとはいえ言ったあたしが悪いんだけど。

「なっ……」

 別のとこから声がしたけど、あたしは振り向かなかった。嫌な予感しかしなかったし。

「なあなあ、ユノちゃん! 兄さんが嫌いなら、俺でどう?」

「ヤダ」

 だいたいさぁ、おしゃべり騎士(エクエス)様、そこまで本気じゃないっしょ? 半分くらいはその気があるかもしれないけど、残りは別。そんな感じがするんだよね。

 まあ、ただの勘だけど。

「将軍か、おしゃべり騎士様か、他の騎士様から誰か、って言われたら、将軍にする。将軍はなしだったら、全員お断り。まだリアムのがマシだもん」

 リアムは、服の裾ならつかんでもいいけど、おしゃべり騎士様はベネットと同じ。一緒に行動する時、うっかりはぐれなきゃいいんだから、縄で十分でしょ。

 他の騎士様だったら、一緒に出かけるのも嫌だし。

「あ、そっか。将軍がダメなら、リアムやめてエレンさんにする」

 エレンさんだったら、手ぇつないでもオッケーだもん。

「それに、勢いで嫌いって言ったことは、ちゃんと将軍には謝ったよ? ホントは、嫌いじゃないもん」

 とりあえず、人間として嫌いじゃないってのは、ホントのことだし。ただ、恋愛的に好きかって聞かれたら、わかんないって答えるけどね。

 ってか、みんな、好きかどうか、どうやって理解してんの? あたしが知らないだけで、こうこうこうだからその人が好きなんですよー、とか書いてある本が、どっかにあったりするわけ?

 それとも、誰かが『それは好きってことでしょ! 愛だよ、愛!』とか、わざわざ指摘してくれんの? そんな親切な人、今まで見たことないんだけど。

「……ま、まさか、ここまでセイガと同じとは……」

「だから言ったでしょう? ユノを怒らせるとこじれるって」

「ふむ……実際にこじらせた人間がいうと、やはり重みが違うな」

 あ、王様が今言ったそれ、多分禁句ってやつ。

 母さんの目の色が変わったっていうか……空気が怖くなったから。

 そっかぁ……母さん、父さん怒らせちゃったんだ。いっつもの、ゲンコツ落としてくる父さんじゃなくって、本気で怒らせたんだ……すっごい怖いんだろうなぁ、本気で怒った父さんって。

「……おしゃべりなお口は、さっくりつぶしてしまおうかしら?」

 ニッコリ笑って怖いこと言う母さんに、王様たちがメッチャ逃げ腰なんだけど。

 うん、まあ、あたしも逃げたいし。

「とにかく、兄さんに頼みたいのは、ユノに何かしたら逆に危険だと、この国の貴族たちに、目で見てわかるように教えることなの。それ以外は、何もしないでちょうだい」

「わ、わかった……鋭意努力しよう」

 王様、完全に怯えちゃったね。

 実のお兄さんでも、やっぱ、母さんは怖いんだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ