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「前はそうでもなかったのに、何でいきなり本気になったの?」

 予想してたのかな。あたしが聞いても、リアムは驚かなかった。その代わり、何か、すっごい楽しそうっていうか、あくどいこと考えてる顔なんだけど……。

 ちょっと……ううん、かなり、エレンさんがかわいそうって気がしてきた。

「祝賀会の前までは、確かに興味はなかったよ。ベネットに面白いことを言う子だな、考え方がはっきりしてて潔い子だな、って思う程度でね」

 ……えっと、解放軍おめでとう会、だね、うん。

 そういえば、あの時、リアムがケンカ売ったって……あ、違う。エレンさんが買ったのを、さらに横から買ったって聞いたんだけど……ひょっとして、その時?

「ドレスは全然慣れないって言うし、きっちりエスコートしたら驚かれるし、何て言ったらいいのかな……意外で面白かったんだよね。騎士(エクエス)と貴族令嬢のちょうど中間、みたいな感じで」

 あー、そっか。女の子女の子してる子は、いっぱいいるから見慣れてるんだよね。お貴族様の世界も、うんざりするくらい見てきたと思うし。

 エレンさんみたいな子は、逆に新鮮だったんだね……エレンさん、かわいそー。

「キリッとしてるのに、時々女の子らしい可愛さがあってね。祝賀会で助けてくれたお礼に何かできることは、って聞かれたから、ドナちゃんに一度乗ってみたいってお願いしたら、びっくりしてたよ」

「そりゃあ、びっくりするんじゃない? だいぶ前だけど、エレンさん、ドナで散歩しても文句言わなくて、訓練相手になってくれる強い人がいたら、考えてもいい、みたいなこと言ってた気がするし」

 実際には、もうちょっと詳しく言ってたと思うけど、はっきり覚えてないんだよね。

 んでも、リアムは割と、エレンさんが言ってた条件は満たしてると思う。まあ、強いかどうかは、エレンさんが判断するとこだけど。

 多分、将軍よりはマシ、って結論になる気がするよ。

「ふーん……じゃあ、今度は槍で勝負して、私の腕を確かめてもらおうかな」

 へぇ……まだ勝負してなかったんだ? 意外。

 エレンさんって、腕が気になったら、バンバン勝負挑みそうな人なのに。ってか、イハル(にぃ)も、面倒だから受けなかっただけで、勝負挑まれたって聞いたのに。

 そんなことを話してる間に、無事にお城の外に脱出!

 青い空が気持ちいいね! うん、もう夕方も近いけど。

「ユノちゃんはこの後どう……」

 言いながら、リアムが真っ正面をジーッと睨む。見つめるんじゃなくって、メッチャ睨んでる。

 あたしも見習ってみたら、女の子が二人、トコトコ歩いてきてるみたい。ヒラヒラふわふわキラッキラ、ってわけじゃないけど、多分ドレスだし、お貴族様かな?

 少なくとも、傭兵は、私服でもあんな恰好しないもん。

 どっちも、ふんわりさせた髪の毛と、パチッとした目。色はマーハルニーファの人だね。顔には見覚えないなぁ……あっても困るけど。

「ユノちゃんは宿舎に戻った方がいいね。私一人じゃ、ユノちゃんを守りながら、ヴァージル将軍かエレンちゃんが来るまで、のらりくらりとかわせそうにないから」

 そう言って、リアムがあたしの背中をちょん、と押した。

 邪魔になる。

 わかってるのに、あたしの足は動かない。

 宿舎に逃げ込んだとして、部屋まで押しかけてきたら? んで、グレースやリディやカノ(ねぇ)を見ちゃったら?

 将軍に興味はない人たちだけど、リディとカノ姉は、間違いなく多めに言い返す。やられたら、きっちり以上にやり返す人たちだよ? とんでもないことになりそうじゃん?

「ここだったら、あたしだけで済むじゃん?」

 宿舎に誰がいるのか。リアムも思い出してくれたのかな?

 はぁってため息ついて、しょうがないなって顔で肩をちょいっとすくめて。

「危ないと思ったら逃げること。それから、できるだけ、ユノちゃんは口を挟まないこと。基本的には私が対応するからね。約束だよ?」

「ん、わかった。なるべく、頑張ってみる」

 口を挟まないってのが、ちょっと……だいぶ難しいけど。危ないと思ったら、ちゃんと逃げるよ。

 頷いたとこで、お貴族様の子が話しかけてきた。

「あなたたち、ユノという小娘を知っていて?」

「知らないよ」

 ニッコリ笑って、リアムが即答するし。

 嘘がツルッて出てくるリアムって、ホントすごいよね。あたしには真似できないなぁ……。

 あたし、よっぽどぽかーんってしてたのかな? お貴族様たち、すっごい変な顔してる。リアムも、メッチャ苦笑いだし。

「ねえ、私に知らないことがあると、そんなに不思議かな?」

 ……うん、これはあたしにもわかる。ここはうまく話を合わせるべきだって、ちゃんとわかるよ!

 あと、名前は言わない方がいいんだろうな、ってのも、何となくわかってるから。

「うん。いっつも何でも知ってるから、知らないことがあると変な感じ」

「私だって、人間だからね。知らないことくらいあるよ」

「そうなんだ……」

 まあ、そうだよね。知らないことが何にもない、って人は、ちょっとおかしいよ。

 何でも知ってるってさぁ、初めて会う人が何を考えてるかもわかるってこと? それは普通、わかんないよね?

 他人の心も、何を考えてるかも、わかんなくって当然じゃん?

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