表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/128

87

 子守されてるっぽく、一番後ろをのんびりついていこうと思ってたのにね。いつの間にか、将軍があたしの右隣にちゃっかりついてた。

 んでもって、いきなりギュッて、手をつかまれたんだけど。バッて見上げた将軍は、メッチャ涼しい顔してるし。

「ユノさんを見失うと困りますからね」

「……将軍とリアムが、いい目印だと思うけど?」

 二人とも、背が高い方だしさぁ。顔がこっち向いてたら、多分、人混みでもすぐわかるよ。

 いい意味でも悪い意味でも、目立つと思うし。

 あたしが見失わないでちゃんとついてけば、それでいいじゃん?

「私が、こうしていたいんです」

 むー……あたし、そんなに心配されるほど、今は迷子にはならないよ? しょっちゅう迷子になってたのは、うんとちっちゃい時だけだもん!

 ちょっとムッとした気分のまま、あたしは前を見る。

 あたしの真ん前を歩いてるのはリアムで、その右側にエレンさん。ほどほどの距離で歩いてそうなのに、意外と近い……っていうか、リアム、何かおかしくない、それ? 絶対逃がさないって感じで、リアムがエレンさんの手首つかんでるんだけど……。

 別に、がっつりしっかり握り締めてるわけじゃないけどさぁ。あれ、簡単には抜けないっていうか、逃げれないよね?

「……いくら何でも、これはないんじゃない?」

 ちょこっと手を持ち上げて、エレンさんが抗議してる。

 まあ、そうだよね。あたしでも、あれにはやっぱ文句言うよ。

「エレンちゃん、すぐ逃げるでしょう? このくらいがちょうどいいと思うけどね、私は」

「ユノ嬢がいるから、逃げることは……」

「逆、逆。ユノちゃんがいるからこそ、ユノちゃんと二人で逃げ出すくらい、やりかねないよね? エレンちゃんはそういうことをする子だから」

 図星だったのかな? エレンさんがグッと押し黙った。

 リアム、案外押しが強いね。正直、こういう人だと思わなかったよ。ってか、リアムって、見た目はどっちかっていうと、押しに弱そうだよね。で、実際は、押しも押されもせぬ、ってとこ。

 ……あれ? 何か、妙に仲がいい? んー、違う。リアムが、エレンさんのこと、よくわかってるっぽい?

 リアムお気に入りの、早朝空中散歩、しょっちゅう一緒に行ってるのかな?

 あたしがドナにご飯あげるのは、散歩の後だからね。エレンさん、自分のことはあんまり話さないし。

 んでも、何となーくなんだけど。

「ねね、リアム。ひょっとしてさぁ、エレンさんのこと、かなり気に入ってる?」

 グレースみたいに、危なげで気にかけてる、ってレベルじゃなくって。遠慮なく、思いっきり、やりたい放題にかまい倒してる気がするんだよね。

 何て言うか、今まで見たことないリアムがそこにいる、って感じ。

「……ユノちゃんって、変なところで鋭いね」

 そうかな? 見ててわかることは、誰でも何となくわかるもんじゃないの?

 特に、今のリアムは絶対おかしいし。

「リアムはさぁ、自分と他人をきっぱり線引きするじゃん? その他人も、気にかける人と、どうでもいい人と、いっそいなくなれって思う人と、大ざっぱにそんな感じ? エレンさんは、そのどれでもないなーって思って」

 エレンさんも、似たようなとこあるけどね。ただ、リアムの「気にかける人」の幅って、すっごい狭いんだよ。

 多分あたしは、微妙な位置だけど気にかけてる方。戦場でもどこでも、見かけたらちょこちょこ声かけてくれるし。でも、隊が違ってたら、どうでもいいんだと思う。

 同じ判定で、ベネットは微妙にどうでもいい方じゃないかな?

 今のグレースは、もう気にかけてないっぽいし。

「……他人は、よく見てるんだね」

「リアムは同じ隊だしね」

 そう答えたけど、何か、リアムの言い方が引っかかった。『他人は』ってとこが、やけに強調されてた気がするんだよね。

「じゃあ、ユノちゃんから見て、エレンちゃんは私のこと、どう思ってるかな?」

 む……話逸らしたね?

 んー、でも、エレンさんがリアムをどう思ってるか、かぁ……。

「少なくとも、将軍みたいに大嫌いってわけじゃないよね。だって、エレンさん、将軍が手をつかんできたら、全力で振り払うか、腕を切り落としにかかるっしょ?」

「当たり前でしょ? 肩からバッサリ切り落としてやるわ!」

「……そもそも、前提が間違っていますね。私はそんなことはしませんよ。いえ、したくありません」

 将軍も何か言ってるけど、とりあえず聞き流してっと。

 エレンさんは、リアムが嫌いってことも、ないと思う。んで、どっちでもないっぽいイハル(にぃ)とも、ちょっと違う気がするし。

 ただ、あたしに対する態度とも、やっぱ違うよね。

「あたしに言えるのは、エレンさんは、リアムは嫌いじゃないって程度かな?」

「そうなんだね。嫌われていないなら、それでいいよ」

 うわぁ……エレンさん、リアムに本格的に気に入られてるよ……。

 んでもさぁ、エレンさんって、お貴族様なんだよね? いろいろ面倒くさいんじゃないの?

「……リアムは、養子とはいえ貴族なの。だからこそ、私にとってはかえって面倒が……」

「私の悪運が強くてよかったと、今なら言えるかな」

 ……あーあ。

 エレンさんが自由になれる道は、リアムを将軍と同じくらい嫌いになることしか、多分ないよ? 嫌いじゃないままだと、外堀埋められて、気がついたら……ってことになってるんじゃないかな?

 その辺、リアムは悪知恵が回るっていうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ