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 お貴族様が本気出したら、すごいんだね。

 エレンさんに話聞いたの、朝だったのにさぁ。お昼までの間に、二人のお貴族様に話しかけられちゃったよ。しかも、どっちも、将軍との縁談について、って、メッチャ直球で聞いてくるわけ。

 正直、お貴族様って、回りくどい聞き方しかできないんだと思ってたけど……ちゃんとわかりやすく聞けるんじゃん。

 何で最初っから、そうやって聞かないわけ?

 んでもって、お昼食べて訓練までの間に、もう一人聞きにきたんだよ。

「あーもう、面倒くさいよね!」

 訓練の休憩中に、寄ってきた騎士(エクエス)様たちに愚痴言ってみた。

「へぇ……もう三人もユノちゃんのとこに来たんだ? っていうか、すごいね。面識ないのに、ユノちゃんがわかるなんてさ」

「へ? あー、そういえばそうだよね。ってか、どんな説明されて、あたしだって認識したかが気になるかも」

 セイライ国の人間で、十三歳くらいのちっちゃい子。とか言われて探されてたらどうしよう……ホントのことだけど、さすがにショックだよ……。

「でも、カノさんじゃなくてよかったよね。あれだけ可愛い子は、ただの打診でも危険視されるよ。ユノだと、傷物にしてやろうなんて気分にならないくらい、お呼びじゃない雰囲気だから、マノ隊長も考えたよね」

 ちょっ……それはひどいよ! 確かに、カノ(ねぇ)と比べたらそのとおりだけどさぁ……。

 まあ、セイライ国の王様があたしを可愛がってた、なんて言われても、あたしだって信じてないし。ユウガ兄やカノ姉、イハル兄がこぞって保証して初めて、ちょこっとだけ信じてもらえるんじゃない?

 ただし、血縁は本物らしいから、そこら辺は警戒される要因かもね。

「でもさぁ、ここで訓練してる間は、お貴族様から逃げられるし。ちょっと気が楽だよ」

 あたしがそう言ったら、おしゃべり騎士様だけじゃなくって、他の騎士様も、残念でした、って顔に書いた。そういう顔したんじゃなくって、ホントに顔に書いてある感じでさぁ……。

 まさか、って思った瞬間に、お貴族様の姿が見えたんだけど……あたし、このまま逃げていい? 何かもう、同じこと答えるの、本気で面倒くさいし。

「ユノさんは……」

「はい! もう面倒なんでサクッと答えるよー。あたしは母さんの冗談だと思ってるから。ってか、冗談でしょ。どうしても聞きたいなら、母さんか将軍にでも聞いてね。はい、おしまい! お帰りはあっちね」

 うん、お貴族様の顔、まさに狐につままれたってやつだね。実際に見るのは初めてだけど、多分そう。

 面白い顔してるお貴族様に首を傾げてたら、周りの騎士様たちが笑い出して。

「いや、すごいね」

「流れるような、ってこういうことなんだな」

「……ユノちゃん、ここにいるやつ全員、笑い死にさせる気だろ?」

 おしゃべり騎士様にまで、ひどい言われようなんだけど……あたし、そんなに変なこと言ってないよ? 全部、ホントのことっていうか、事実じゃん?

「だって、あたしと将軍って、ないでしょ。カノ姉ならまだしもさぁ……」

「いや、カノちゃんこそないって。腹の探り合いして楽しいわけないし」

 む……おしゃべり騎士様、意外と人を見る目があるかも。

 見た目は母さん似の美少女だし。今まで、カノ姉が実は腹黒だって見抜いた人、少ないんだよね。あのイハル兄でも、一回だまされて痛い目見てるらしいから。

 おっとりおしとやかに見えて、まさかの腹黒。まあ、母さんもそういうとこあるから、間違いなく母さん譲りだろうけどね。

 あたしはほぼ父さん似。疑いようもなく、父さん似。多分、兄弟で唯一、全部父さん似なんだと思う。

「それにさ、ユノちゃんとの縁談だったら、俺も喜んで受けちゃうけどなぁ」

「うぇっ!?」

 ニコニコ笑ってそういうこと言うなんて……やっぱ、おしゃべり騎士様って、将軍の弟なんだ……。

 これからは、近づくのやめとこ。

「えー……素直な感想を言ったのに、何で逃げるの?」

「だってそれ、エレンさんと一緒だもん」

 何となく、直感で、ここで将軍の名前出しちゃいけない気がした。そもそも、将軍も、エレンさんっぽい時があるって程度だしね。

「初対面でプロポーズしてきて、鼻血が出そうなくらい可愛いとか言われたけど、それはエレンさんだから許されると思うんだよね。同じようなこと、男の人が軽々しく言ったらダメでしょ」

 エレンさんはグレースにも言ってるから、別に問題はないと思うし。あの調子だと、リディにも言ってておかしくないんだけど……そういえば、リディからは言われたって聞いたことないなぁ。

 ってか、誰にでもホイホイ口説き文句言うって、それ、お兄ちゃんたちじゃん!

「……ユノちゃん、何でそんなとこだけ耐性ついてるの?」

「耐性ないよ? お兄ちゃんたちがエレンさんみたいな人間だけど、あたしは見て聞いて育ってきただけだもん。自分が言われるのは、やっぱ慣れないし」

「じゃあ、顔合わせるたびに、ユノちゃんが好きって言おうかな」

「……やってもいいけど、あたしが嫌になったらエレンさん呼ぶよ? ここに連れてきて、騎士様たち、ビシバシ鍛えてやってって言うよ?」

 言ったとたんに、騎士様たち、みんな真っ青になってあたしから離れてった。

 だいたいさぁ、あたしだけ毎回嫌な思いして、しかも我慢するっておかしいでしょ? まあ、ホントにやってくるなら、あたしも本気でエレンさん呼ぶから。

 騎士様たちにまで言われるくらいだったら、エレンさんだけのが断然マシだもん!

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