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「ユノ……好き……同じ」

 あー、なるほど!

 多分だけど、美人さん、あたしの「好き」に強弱がないって言いたいのかな? うん、それだったら、何となくわかる。

 だって、好きは好きで、嫌いは嫌い。それ以上でもそれ以下でもないっていうか。

 そりゃあ、こっちとあっちを比べたら、ちょこっとくらい差はあるかもしれないけどね。んでも、そんなに差をつけること、ないじゃん?

「ヴァージル……かわいそう」

「へ……?」

 何で将軍がかわいそうなの?

 将軍をチラッと見たけど、もう諦めたみたいで、聞こえなかった振りしてるっぽい。

「いいんですよ、ジリアン」

 あ、一応聞いてたんだね。

 そう思って、将軍を見たら……よりによってエレンさんっぽい方だった。

 ……もうさぁ、嫌な予感しかしないじゃん?

「ユノ……苦手?」

「……うん」

 美人さんに聞かれたから、素直に頷いといた。だって、苦手なのはホントだし。

 ってか、ホントに見てわかるんだね。便利なのか、ありがたくないのか、あたしにはいまいちよくわかんないけど。

 ……ん? そーいえば、あたしの場合は、誰でもだいたいパッと見てわかるじゃん。

「今は苦手で結構ですよ。時間をかけて、少々強引でも、慣れていただきますから」

「む、無理!」

 そもそも免疫がないことなんだし、慣れるわけないって!

 あたしが首をブンブン横に振ってたら、美人さんとエレンさんがそろってため息をついてた。

「ユノ……かわいそう」

「かわいそうに……ヴァージルもしつこい質なの。ユノ嬢、頑張ってね」

 ひどっ! 二人とも、ひどいよ! かわいそう、って言われても、何の慰めにもなんないじゃん!

 将軍のこと、止めてくれたら一番いいのに!

「それにしても、ヴァージルってば、ジリアンに迫られた時は逃げ回ってたくせに、自分が攻める側だと強気よね」

「私が相手をどう思っているかで変わるのは、当然でしょう?」

 あー、うん、そうだよね。好きか嫌いか苦手か、どれでもないかで、やっぱ変わるもんだし。

 嫌いとか苦手な人だと、とにかく逃げたいもんね。

「そういえば、将軍って、厄介なことだととりあえず逃げるよね。前に街に行った時も、女の子たちに阻まれて、強行突破しようとしたし」

「あの時は、その方が被害が少なくなると判断したのですが……逆効果だったようです」

 逃げようとしたから、逆に慌てさせちゃったんだよね。んで、あたしのおやつが危険にさらされてさぁ。

「……食べ物……恨み……恐ろしい」

 ちょっ! あたしの頭ん中、ホントに美人さんに全部筒抜けじゃん!

「お、おやつは無事だったし、あたし別に恨んでないよ?」

 思わず言っちゃって、将軍とエレンさんが同時に、はぁってため息。

 だって、おやつは大事だよ? あたしのお金で買ったおやつだもん。しかもあれ、グレースとリディにお土産で持って帰ろうって思ってたやつだし。

 台無しになってたら、ちょこっと恨んでたかもしれないけどね。

「ヴァージル……おやつ以下……?」

 美人さん、ホント、たまーに、とんでもない言い方するよね……。

 えっと、とりあえず、おやつより下ってことはないと思うよ? 上かって言われると、それはそれで悩むけど。

「おやつ……同等?」

 ってか、美人さん、おやつって言葉わかるんだね。ここ、おやつなさそうなのに。

「おやつ……おいしい……わたし好き」

「おいしいよね! あたしも好き!」

 やった、仲間だ!

 サクサクの焼き菓子とか、ふわふわで甘いやつとか、お菓子は何でも大好き!

 ニコニコしてる美人さんに、ついつい抱きついちゃった。

「……竜と一緒みたいね」

「そのようですね……今後はやり方を考えます」

 エレンさんと将軍がボソッと呟いてたけど……それってつまり、あたしのこと?

 一応あたし、ベネットの竜ほど食い意地張ってないと思うんだけど……多分、ロイドみたいに大食漢でもないし。食べる量は、体の大きさ相応のはず……えっと、実は違ったの?

 あ、でも、グレースって小食なんだよね。ずっとそう思ってたけど……ひょっとして、逆? あたしがたくさん食べる方ってこと?

「ユノ……食べる?」

「私よりは食べないし、大きさを考えたら普通くらいじゃない? おやつ込みで体型の維持はしているんだし、問題はないと思うわ」

 あたしの頭から足の先まで、エレンさんがジロジロ眺めて。一緒になって、美人さんもジーッと見てきたけど……最後に胸のとこでピタッと止まった。

 どうせないよ! どんだけ見てもないから!

「…………」

 無言のまま、美人さんがエレンさんを見て、それから下を向いて。すっごく寂しそうに、残念そうに、はぁってため息。

 エレンさん、出るとこ出てるもんね……羨ましいよね!

「ユノ……」

 トテトテ近寄ってきた美人さんが、あたしの胸にベタッて触った。んで、自分の胸にもベタッて手を当てて、しばらく考え込んでる。

 まあ、胸当てあるから、触られてもどうってことないんだけど。

「……わたし……負け」

「……勝ち負け、あるの?」

 美人さんはコクコク頷いたけどさぁ……正直言っちゃうと、どっちもどっち、だと思うんだよね。

 ホント、リディとは言わないけど、グレースとかエレンさんくらいだったら……うん、ゴメン。あたしには合わない気がする。

 顔は十三歳で体型は立派って、バランス悪いよね。

「さて、続きはまた今度にして、そろそろ戻りましょうか。あまり遅くなると、陛下が心配されるので」

「王女様が? 何で?」

 あたしは、竜に食べられたかも、って思われるとして……エレンさんと将軍は心配いらないんじゃないの?

 ……あ。

「ひょっとして、途中で派手にケンカしてるかも、って心配?」

「ご明察です」

 ホント……エレンさんと将軍って、どんだけ仲悪いの?

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