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「それにしても、竜って、自分で選ぶんだね? あたし、こっちからこの子がいい、って決めるんだと思ってた」

「こっちがよくても、向こうが嫌がってたら、乗れないでしょ? だから、選択権は竜にあるのよ」

「あ、そっか。そうだよね!」

 嫌だなぁ、って思って飛ぶのと、嬉しいって思って飛ぶのは、やっぱ違うよね。

 あたしだって、嫌だと思ってる人と一緒にいるの、正直つらいもん。

「ユノ……嫌い……ない?」

 いきなり美人さんが聞いてきた。

 そういえば、美人さん、いっつも前振りなしで質問ぶつけてくるよね。まあ、何言ってるかわかんないってことはそんなにないから、別にあたしは困らないけど。

「今のとこ、嫌いって言えるのは、ベネットの竜かな? どっちかっていうと、あっちがあたしのこと、嫌ってんだけどね」

「……ベネット? …………クレメンタイン?」

「……えっと、ゴメンね? あたし、ベネットの竜の名前、覚えてなくって」

 長ったらしい名前、ってことしか覚えてない。それはさすがにいろいろどうか、ってイハル(にぃ)とかには言われるけど、無理。

 ってかさ、どうせなら、みんな短い名前つけてくれたらいいのに。そしたら、あたしでも覚えられるじゃん?

 真剣に言ったのに、エレンさんに笑われた。将軍も苦笑してるし。美人さんは不思議そうにしてる。

「ベネットの竜はクレメンタインよ。あの子は気難しいから、ユノ嬢のように、見たら何を考えているかわかる人は逆に苦手なの。そういえば、ヴァージルはクレメンタインに好かれてたわね」

「竜に好かれても、嬉しくはないのですが……」

 ニヤニヤしてるエレンさんに、将軍はぶすっとした雰囲気で答えてて。

「あたしは、竜に好かれても嬉しいけどなぁ……」

 ちっちゃい子も可愛いし、おっきくなったら空飛べるじゃん? まあ、空飛ぶには、乗る方の技術もいるんだろうけどさぁ。そういうの、全部できるようになったら、あたしも空飛べるんだよ? それってすごいことだよね!

 そんなふうに考えただけで、もうドキドキワクワクしちゃうでしょ!

「あ、うん。ヘザーも好きだよ」

 ヘザーがあたしをジーッと見てたから、ちゃんと目を見て伝える。そうしたら、ヘザーが嬉しそうにグルグルって喉を鳴らした。

 やっぱ、おっきくても可愛いよね!

 急に突っつかれて見たら、美人さんがあたしの頭を指でつんつんしてた。

「どしたの?」

「ヴァージル……ユノ大好き……嫌?」

「ジリアン!」

 ワタワタしながら、将軍が美人さんの口を両手でがっつりふさいで……グレースの時みたいに、息できてるかな? って心配になるんだけど。

 ほら、将軍は手がおっきいからさぁ。鼻と口、いっぺんにふさげちゃうじゃん?

 ジーッと見てたけど、美人さんは平気そう。じゃあ、大丈夫なのかな?

「えーっと……」

 美人さんが言ったこと、ちょっと考えてみる。

 今まで美人さんが言ったのは、好きと嫌い。んで、エレンさんの時だけ、大嫌いを使ってたから……多分、好きでも嫌いでもない、普通って表現自体、知らないのかも。だから、微妙だけど好きな方かも、とかでも「好き」って言ってるかもしれない。

 だけど、一度聞いた「大嫌い」は、あたしでも納得だったから……「大」がついたら間違いなさそう。

 ……ってことは。

 将軍、エレンさんっぽいこと言うけど、冗談半分じゃなかったんだね。一応、ホントに本気だったんだ……。

「あたしは、人でも竜でも、好かれるのは嫌いじゃないよ?」

 罪滅ぼしを込めてちゃんと答えてみたけど、美人さんが聞きたい答えじゃなかったみたい。フルフル首を横に振ってる。

 んでもって、モゴモゴ何か言ったんだけど……将軍の手に邪魔されてるみたいで、よくわかんなかった。

「ユノ嬢……ジリアンは、ヴァージルがユノ嬢を最愛の女性と位置づけても平気かどうかを、聞いているんだと思うの」

「ふぇっ!?」

 ない、ない。それはさすがにない……と思うんだけどさぁ。

 美人さんを見たら、うんうんって頷いてた。ついでに将軍を見てみたら、思いっきり顔ごと背けられたんだけど……どういうこと?

「ヴァージル……ユノ欲しい……独り占め……?」

 隙間が空いたらしくって、美人さんがおしゃべり再開。慌ててる将軍がも一回ふさごうとしたら、スルッて逃げた。

 ……ズルズルした見た目だけど、意外と素早いよね、美人さんって。

「ジリアンが逃げる気になったら、ヴァージルじゃつかまえられないでしょ? 諦めが肝心よ」

「だそうですよ、ジリアン」

 ちょこまか動き回ってた美人さんが、ピタッと止まってニタァって笑った。正直なとこ言っちゃうと、やっぱ怖いよ、その笑い方。

「エレン……言う?」

「言ったら、ユノ嬢は連れてこないから」

 とたんにしょんぼりして、美人さんはしおしおって感じにしおれて。

 力関係とか、現状の損得とか、いろいろあるんだね……。

 あ、そうだ。

「ねね、そういえば、美人さん、何でいろいろわかるの?」

「……見える」

「見える? 何が?」

 あたしが首を右に左にこてこて倒してたら、エレンさんがふうってため息をついた。

「ジリアンは人の感情が見えるらしいの。感情が色で判別できる、と言えばわかりやすいかしら? その色に、人やものの名前がくっついて見えるんですって」

「へぇ……何かすごいね」

 だから、誰が誰を好きとか嫌いとか、言えるんだ?

 でも、誰を見ても、いろんな色や名前が見えたりすると、すっごく疲れそうだよね。

 あ、そっか。そうすると、竜がこの人好きー、ってのがわかるじゃん。んで、相手の人がどう思ってるかも、わかっちゃうんだ。

 竜の主を探すなら、確かに便利かも。

「ユノ……同じ」

「ん? 同じ? あたし、一色しかないの?」

 静かに、ゆっくり、美人さんは首を横に振る。

 じゃあ、どういうこと?

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