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 美人さんだけ、全体的にフワフワ浮かれてて。将軍とエレンさんは、あからさまに動揺してるっぽくて、微妙な空気。

 でも、ついたとこは、すごかったよ。

 ちゃんといっぱい木が生えてて緑で、水もあって、ちっちゃい竜がいっぱい、ワラワラしてんの。

「うわぁ、ちっちゃい! 可愛い!」

 やっぱ、竜って一匹一匹、目とか鱗の色が微妙に違うんだね。

 将軍の足元に来た子は、ちょこんと座った状態で、将軍の腰辺りに頭のてっぺんが来てて。顔とか色が、ちょっとドナに似てる。でも、目の色が違う。ドナは青いけど、この子は緑。美人さんとか、グレースみたいな、綺麗な緑色してる。

 キュキュッ、って鳴いて、ちょいっと首を傾げて、こっちジーッと見てて、ホント可愛い!

「ロイド」

 美人さんが怒った声で名前を言ったら、足元にいた子は慌てて逃げてった。

「今の子、ロイドっていうんだね。男の子?」

「ロイド……悪ガキ」

 ……時々、美人さん、すっごい言い方するよね。何か、見た目の印象が台無しになるような、すっごい言葉で。

「ここの竜たちは、まだ餌とそうでないものがしっかり区別できないから、多分ロイドは、ユノ嬢を餌と勘違いしただけよ。あの子は大食漢だから」

 ひどっ。ロイド、ひどいよ!

 ってか、将軍の腕に乗っけてもらってる意味、ないじゃん!

「早い竜で、あと二年。そうしたら、子供を乗せて空を飛べるようになるわ。ただ、竜騎士(ウォラーレ)になりたい子供が、どれだけいるか、といったところね」

「今は、騎士(エクエス)になりたい子供も少ないでしょうから……これからが厳しくなりそうですね」

 あー、そっか。今、生きてる子供たちって、みんな帝国に攻め込まれた時のことも、戦争したことも、追い出したことも、全部知ってるんだよね。

 人が死んだことも、わかってるはず。

 誰かを守るために、誰かを殺す。

 それが受け入れられない人も、確かにいる。だから、騎士とか、そういったことはしたくないってのも、わかんなくはない。

 あたしだって、一度は傭兵したくないって、投げようとした口だから。

 傭兵を雇って戦力をごまかすのも、限度ってもんがあるしね。

「んでも、竜は長生きなんでしょ? 竜騎士なりたいって子が出てくるまで、待てるんじゃないの?」

「あまり竜が大きすぎても、子供じゃ乗れないの。竜も、子供の扱いに慣れなくて、仲良くなるのに時間がかかっちゃうでしょ? そうね……ロイドはまだいいけど、ほら、あの辺りの大きめの集団。あの子たちは、乗り手に恵まれないままかもしれないわ」

 エレンさんが指差した辺りには、ロイドより二回りくらい大きな竜が五匹……六匹かな? 固まってゴロゴロしてた。

 多分、近くに来たら、座ってても将軍と変わんないくらい、おっきいんじゃないかな?

 んでも、あの子たちもメッチャ可愛い! 危ないのわかってるけど、頬ずりしたいくらい可愛い!

 ……あれ? あの子たち、すっごい大きいって気がしないけど……二年したら、子供乗せて飛べるくらいになるの? そんな急におっきくなるもんなの?

「竜……四歳子供……六歳半人前……十歳一人前」

「へぇ……ってことは、あの辺の子は四歳くらいで、さっきのロイドは二歳くらい? で、四歳の子が、二年経ったら半人前……?」

 やっぱ、二年でグンと大きくなるってこと?

「あ、いいえ。あの子たちがあと二年したら、ようやくどんな人間も食べ物じゃないと認識してくれるの。それで半人前ね。さらに四年すると、体もどんどん大きくなって、子供なら乗せて飛べるようになるわ」

「ってことは、どっかに、もっと大きな竜もいるってことだよね?」

「一匹だけ、今八歳の子がいるけれど……正直、みんな手を焼いているのよね」

 ……生き残っちゃった子、かぁ……。

 みんな死んじゃって、自分だけ生きてるって、やっぱつらいよね。

「他より賢い子だったから、帝国兵を見て餌と思うより、警戒して隠れていたのよ。それで、虐殺の瞬間を見ちゃったみたいで……全身鎧で包んでいると、襲われるの」

「あ、それで将軍、今日はエレンさんみたいな軽装なんだ?」

「ヴァージルは単に、いつもの装備だと、重くてドナが飛べないと困るからよ。ただでさえ、こんなところにヴァージルと来るなんて、正気の沙汰じゃないのに」

 エレンさんに刺々しく言われたのに、将軍は笑ってる。苦笑って感じだけど。

「エレン……ヴァージル大嫌い…………ヴァージル……エレン嫌い…………わたし……エレン嫌い……ヴァージル好き……ユノ好き」

 美人さんのちょっと変わったしゃべり方、やっと慣れてきたけど……時々、何言ってるかわかんない時があるんだよね。

 とりあえず、今のは、大小っていうか、強弱っていうか、多い少ないっていうか、そういうのだよね?

 エレンさんが将軍をとにかく大っ嫌いってことは、よくわかった。

「あたしは、エレンさんも将軍も美人さんも好きだよ?」

 そりゃあ、美人さんはちょっと変な人だけど。エレンさんも、とんでもないこと言い出すけど。将軍だって、エレンさんみたいなことしてくるけど。

 今のところ、嫌いって言い切れるほど、耐えらんないくらい嫌なことされてないし。

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