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「ああ、そういえば、エレンが探していましたよ」

「へ?」

 何それ。何ていうか、すっごい嫌な予感しかしないんだけど。

「恐らく、陛下のそばにいると思いますが……行きますか?」

「……行かないと、後でエレンさんが、すっごくいい笑顔で、ドナと迎えに来そうじゃん? そっちのが怖いんだけど」

「……そうですよね」

 あー、将軍も、エレンさんが怖いんだ。あれだけ強くっても、昔っから知ってても、やっぱ怖いんだ……。ん? 昔っから知ってるから、逆に怖いのかな?

「じゃあ、今から行ってみよっかな」

 さすがにさぁ……ドナに乗せられてくと、無駄に目立つし。自分の足で歩いてった方がいいじゃん?

「では、送らせてください」

 この顔……いらないって言っても、連れてけって言う方の将軍だ。そのくらいは、さすがに覚えたよ?

 それにさぁ。

「んじゃあ、お願い。ってか、あたし、王女様がどこにいるか、よくわかんないんだよね」

 お城の中って広くって、ここ数日、毎日どっかで迷子になってて。あたし専属の道案内の人、欲しいくらいなんだけど。

 何でお城って、いろんな部屋があって、道が入り組んでるんだろう? 宿舎は、敷地に建ってる別の建物だし、あたしの部屋は一番上だから、まだいいんだけどさぁ。

 お城に向かってのんびり歩きながら、将軍はいろいろ教えてくれる。

「早ければ明日にも、各地から領主が訪れるでしょうから、謁見室の掃除をしていると思います」

 掃除中かぁ……って、王女様自ら掃除してんの?

 まあ、人手足りないもんね。しょーがないか。

「へー……領主って、お貴族様ってやつ? あ、そっか。王女様にご挨拶して、顔を覚えてもらおうってことだね!」

「そういうことですね。それから、陛下は年頃ですから、やはり縁談も持ち込まれるでしょうが……」

 あ、そっか。王女様って、リディと同じ年だっけ? 確か、十八歳。もう、結婚しててもおかしくない年だよね。

 ん? それだと、エレンさんって……。

「ってか、エレンさんにもそういう話、あってもおかしくないじゃん?」

「エレンですか? あれは……無理でしょうね」

「そうなの?」

 え、何で? やっぱ、怖がられちゃうとか?

 でもさぁ、頑張って探せば、リアムみたいな、エレンさんを「いい子」って言う男がいるかもしれないじゃん?

「夜も明け切らないうちから竜に乗って散歩し、暇さえあれば陛下のそばで訓練を行う。少しまとまった時間を取れた時には、身近な女性たちへ挨拶に行き……そのエレンに、誰かが持ち込む縁談は、まず成立しないでしょう」

 うっわ、何、その生活。

 シノ姉も、訓練づくしの生活してるけどさぁ……エレンさんのがすごいね。サクッと想像できちゃうところが、すごい。

「異性の竜を選ぶことが多い竜騎士(ウォラーレ)でありながら、エレンが同性の竜に乗る理由を、知っていますか?」

「知らない。ってか、異性の竜を選ぶんだね。……そーいえば、ベネットの竜も女の子だっけ」

 名前は、何回か聞いたんだけど、何でか覚えられなくって。メッチャ長いんだよね、ベネットの竜の名前。

「万一の時、恋人を置いていけない乙女心を、理解してくれそうだから……だそうですよ」

 うっかり、ブフッて噴いた。

 何が来ても平気。そんなつもりでいたけど、さすがにこれは無理。

 もちろん、悪気とかないよ? ないけど、エレンさんが言うと、すっごい違和感があってさぁ……。

 だって、乙女心って、エレンさんからメッチャ遠そうじゃん?

「同じことをグレース嬢に言ったところ、巡り巡って、アルヴィンに禁断の恋をしていると思われたそうです」

「……え? エレンさん、アルヴィン様のこと、そんなに好きじゃないよね?」

 状況次第で、容赦なく捨ててっちゃいそうな気がするんだけど。で、兄は尊い犠牲になりました、とか平然と言っちゃうような。

 何をどう聞いたら、禁断の恋になっちゃうわけ?

「ええ、そうですね。陛下が絡んでいなければ、アルヴィンはとっくに打ち捨てられていたでしょうから」

 へぇ……王女様が、ねぇ……。

「って、ええっ!?」

 王女様、アルヴィン様のこと!? えー、そんな雰囲気なかったのに!

 あー、じゃあ、王女様のため、ってとこがすっぽ抜けて、おかしなふうにグレースに伝わったんだね。

 なーんか、納得。

「ついでに言っちゃうと、将軍も、エレンさんにはあんま好かれてないよね?」

 むしろ、敵視されてるっていうか。

「エレンには、好かれるどころか、嫌われていると思いますよ?」

 やっぱり?

 そう思ったのが、全部顔に出ちゃったみたい。将軍が、呆れた顔で苦笑いしてる。

「私やアルヴィンに近づくために、エレンが利用されてきましたからね。嫌われても仕方がありません」

「ふーん……エレンさんは、嫌いになっちゃったんだね。あたしもよく、お兄ちゃんたちとか、イハル(にぃ)を紹介してって言われてたけど、お兄ちゃんたちもイハル兄も、むしろ好きだよ?」

 お兄ちゃんたちは、あの頃からもう、優先順位がおかしかったから。イハル兄は、興味ないとかでバッサリだったし。

 あたしとお兄ちゃんたち、イハル兄の関係は、ちっとも変わらなかったよ。

 でもそれは、きっと、あたしが色恋沙汰に興味がなかったからだね。

「まあ、エレンさんが気に入ってた可愛い子が、将軍やアルヴィン様狙いだったら、憎みやすい方を嫌うよね」

「まったくもってそのとおりなのですが……」

「それってさ、ある意味、とばっちりだね」

 将軍が、誰が見てもカッコイイって人じゃなかったら。鎧着てなきゃ、絶対騎士(エクエス)様だってわかんない人じゃなかったら。エレンさんとは、まだ普通の関係だったかもしれないのに。

 んでもまあ、それはそれで、想像できないけどね。

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