序章~6~
『キミってば、たまにはいいことじゃない!先生、早く早く!』
……たまにはか。その言葉に多少引っ掛かったが先生には聞こえていないだろう。
それでも俺たちは先生のわかりましたコールに期待していた。
「それが、私にもわかんないんですよー(笑)」
…………はっ?
本日二度目のサプライズ。"彼女"の「けど……」発言で嫌な感じはしてたが――――(笑)じゃねぇ!!!!!!!!!!
「じ、じゃあ、これからどうするんですか!!!」
「僕も協力はするけど、君たち自身で元に戻る方法を見つけるしかないだろうね」
「そ、そんなっ!!!」
その途端、"彼女"が暴れ出した。否、騒ぎ出した。……ものすごい頭痛がする。
『もう!!!私が話すから、ちょっと体貸しなさいよ!』
「貸すって……どうやるかわかんねぇよ!」
『何か、こう~……ほら!出来ないの?!』
「出来ねーよ!」
俺達に無視されたままだったの先生は
「……今どういう状況か知らないけど、とにかくそうなった原因を教えてくれないかい?」
俺はさっき"彼女"から聞いたことを全て話した。
かくかくしかじか。
「うーん、衝突か。漫画とかでは同じ衝撃を与えれば治ることがあるけど……」
「まさか……車に轢かれろと?」
「いいや。それで戻るとしても医者として認めることはできないしなぁ」
『絶っっ対嫌よ!痛いじゃない』
「痛いって……感覚あるのか?」
『もちろんよ!
そうねぇ……――体の行動だけを他の誰かに支配されている感じと思ってもらっていいかしら』
「つまり、五感は共通しているわけか……」
『っ!!!。…………そ、そうよ』
「?」
「神元先生ー、早くお願いしまーす」
再び看護婦さんの呼び声。
「はーい、今行きますからー」