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プロローグ 日常から非日常

オリジナル小説の投稿は初めてですけど面白くなるように頑張って行きたいです。




その日俺はいつも通りに遅刻ぎりぎりに高校へ行き、気だるい授業を聞き流すような形で受け、友人と適当に遊んでから家路に着いた。


特にいつもと変わらない平凡な日常。


変わるわけがない平凡な日常。


「何て感慨深く物思いに耽ったところで何も変わらないんだよな」


具体的に言えば明日締め切りの宿題の山とか、来週にくる中間テストとか。


マジで現実逃避したい。


そんな事を考えて来た時だった。


空は茜色に染まり、日が沈むか沈まないかぎりぎりのところに来ていた。


いつもは茜色に見える空がなぜかこの日は血のように真っ赤に見えた。


そして気がついたときには目の前に女の子がいた。


本当に目の前で互いの息がかかるほどの距離で鼻先が触れるか触れないかのぎりぎりの距離だった。


俺は少女が目の前に現れるまで全くその存在に気がつかなかった。


と言うか、今までいなかったのに急に目の前に現れたと言った方がいいのかもしれない。


幾らなんでも此処まで近づかれるまで気付かないのは可笑しい。


それにそんな常識外れな考えさせてしまう様な雰囲気がその少女にはあった。


こんなド田舎には似つかわしくない真っ白な肌に真っ白な髪。


その真っ白な髪を地面に垂れるほど伸ばしており、来ている真っ白なワンピースと連動して殆んど白い塊にしか見えない。


まるで幽霊のような、人の身から遠く離れたものにしか見えなかった。


明らかにこの世の中に存在してはいけない者。


そんな感じがしてならなかった。


そしてその化物(しょうじょ)が俺から瞬きもせずに俺の事を見てくる。


まるで蛇に睨まれた蛙である。


動けない。


逃げられない。


その場に縫い付けられてしまったように指の一本も、指先の一本すら動かない。


少女は俺の頭に手をやり、そのままポスンと俺の身体を押す。


俺は地面に尻もちをつくように倒れ込む。


一瞬だけ身体が動いたが、すぐにまた動かなくなった。


そして少しだけ離れた俺との距離をまた詰めて、また鼻先がつくほどの距離に来て言う。


「ねえ、ちょっと痛いけど我慢してね」


その言葉はまるで注射を嫌がる親が子供に言うような優しい響きだった。


少女は俺の左胸に手を置いた。


次の瞬間には俺の左胸には大きな穴が開いていた。


何時の間にやら身体の自由は戻り、身体は動くようになっていたが身体を動かす事なんて出来なかった。


俺は地面に横になり、其処から起き上がる事が出来ずにそのままの状態で停まったままである。


自分の血だまりの中で必死で動こうとするも動かない。


痛みは無かった。


どんどんと体中の力が抜けていく、そしてそれに比例して意識までもが薄れていく。


そんな俺の姿を少女は見下ろして最後に言う。


「あれ? よく見たら違うじゃん。もしかして間違えた? この世界の人間の顔なんてよくわかんないからな。まいっか。次は間違えないようにしないと」


どうやら俺は人違いで殺されたらしい。


残った意識と力を込めて、最後叫んだ。


「ふっざけんなよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


そして俺は意識を失った。




さてこの少年はどうしよう。


最後に私の度肝を抜くほどの大声で叫んだと思ったら死んでしまった。


まあ、心臓を消し飛ばしたから死んで当然か。


それより人違いでとは全く無関係な人間を殺してしまった。


この世界の神にばれたら怒られるだろうなあ。


「しょうがないな。この少年も私の世界に連れていくか」


とりあえずそうすれば、この世界の神にも色々と言い訳が出来るし。


一回生き返らして私の世界で放置すれば、ほっといても死ぬでしょ。


そうすれば私の世界にも影響は無いし。


生き残る確率は万が一どころか億が一にもないし、それでいっか。


「そうと決まればこいつを私の世界の適当なところで生き返らして、その後は放置しとこ。他にもやんなきゃいけない事があるのに全く仕事が増えたじゃない」


私は少年の額に手を当て、そのまま自分と一緒に私の世界に送った。


その場には血の一滴、髪の一本たりとも残さなかった。




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