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ど田舎活性化vtuber達とプロダクションを世界的にバズらせたい!  作者: 久遠 魂録


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5/5

泥の香りと、有明海の目覚め

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

佐賀県鹿島市。広大な干潟が広がるこの地で、鹿島幸来は早朝の冷たい空気と共に目を覚ました。昨夜の「わさびマヨネーズ・ピザ配信」の余波は、胃の奥に微かな熱を持って残っている。窓を開けると、遠くから潮の香りが風に乗って運ばれてきた。幸来は大きな欠伸を一つして、まだ半分眠っている頭でタブレットを確認した。

「ふにゃ……。なんだか、まだ夢の中にいるみたいだぉ」

幸来の視線の先には、昨夜の配信をきっかけに爆発的に増えた通知の数々が並んでいる。癒やしと幸運の特異点と呼ばれる彼女にとって、日常は常に穏やかであるべきだった。しかし、MUⅡプロダクションに所属して以来、その「穏やかさ」は常に予測不能なカオスと隣り合わせになっている。

一方、同じ鹿島市の「潟ら辺」を拠点とする山本マキは、すでにゲーミングチェアに深く腰掛け、三枚のモニターを鋭い眼光で睨みつけていた。

「おいおいおい。あたいらの胃袋は犠牲になったが、その見返りは十分すぎるほどだぜ。トレンドワードに『ピザテロ』と『ど田舎の胃袋』が並んでるぜ」

マキは虹色に光るポーチの接続を確かめながら、独自の分析ツールでフォロワーの推移を監視していた。彼女は知っている。バズりは一瞬の閃火に過ぎない。これを持続的な「熱狂」に変えるためには、次なる一手が必要だということを。

マキの指がキーボードを叩く。その頃、武雄市の第2SS学園に向かう準備をしていた七海和歌の元へも、楠木プロデューサーからの「次なる無謀なミッション」が届こうとしていた。


仮想空間SAGASAGA(サーガ・サーガ)。黄金の黎明期を謳歌するこの新天地に、突如として広大な「茶色のエリア」が出現した。

MUⅡプロダクションの本社スタジオから接続された特設レイヤー。そこには、鹿島市の誇る干潟が、物理演算の粋を集めて(一部設定ミスを含みながら)再現されていた。

「わお! マキちゃん、幸来ちゃん! 今日のスタジオは、とってもマッディ(泥んこ)デース!」

フランスからログインしたエマ F. クサックが、再現された干潟に勢いよく飛び込んだ。三瀬村の特産品を紹介するのが彼女の本来の任務だが、今は泥にまみれる楽しさに完全に心を奪われている。

「あっち退くケロ! 三瀬峠のあたちが、この泥を神聖な沼に変えてやるケロ!」

三瀬かえるが、幼いアバターで泥の上を器用に走り回る。かえるの足元では、泥が跳ねるたびにリアルな飛沫が舞い、スタジオのテクスチャを汚していく。フランスのクサック村からその様子を見守る**杠 みよ(ゆずりは みよ)**も、画面越しに目を輝かせていた。

「フランスにはこんなに広い干潟はないです。泥の中で運動会をするなんて、日本の方は本当にユニークですね。ノートに書いておきます」

そこへ、第2SS学園の放課後を終えてダイブしてきた和歌が、泥まみれのスタジオを見て絶叫した。

「ちょっと! 何ですのこの光景は! わたくしの気品溢れるアバターが、一歩踏み出しただけで台無しになってしまいますわ!」

和歌は、泥の海と化したスタジオの入り口で立ち往生していた。彼女にとって、干潟で行われる競技「ガタリンピック」の再現は、あまりにも過酷な試練である。


「皆さーん! 揃っていますね! 今日は鹿島市のビッグイベント、ガタリンピックを**SAGASAGA(サーガ・サーガ)**で完全再現しますよ!」

楠木こころが、自身も泥に足を捕られて転びながら、満面の笑みで登場した。彼女はおっちょこちょいな気質が災いし、またしてもタブレットの操作で「うっかり」を仕込んでいた。

「楠木さん……。あたいのセンサーが警告を発してるぜ。この泥、ただの泥じゃないだぜ。粘度が通常の三百倍に設定されてるぜ」

マキの指摘通り、一度泥に触れたアバターは、まるで見えない鎖に繋がれたかのように動きが制限されていた。楠木こころは、慌ててタブレットを確認する。

「あ、あわわ! 泥の『リアルさ』を追求しようと思って、粘度の数値をいじっていたら……計算を間違えて、スーパー接着剤みたいな設定になっちゃいました! しかも、この設定、イベントが終わるまでロックされて解除できません!」

「なんですって……!? それじゃあ、わたくしたちはこの泥の中で、永遠にもがき続けなければならないのですの!?」

和歌の悲鳴が響く中、幸来がのんびりと泥の上に腹這いになった。

「ふにゃ……。でも、こうしていると、なんだか温かくて気持ちいいぉ。鹿島の潟に抱かれているみたいだぉ」

幸来の癒やしの波動が、バグに近い超粘度の泥と共鳴し、奇妙な安定感を生み出し始めた。それを見たユーザーたちが、次々とエリアにログインしてくる。

「おいおいおい。この『動けそうで動けない』不自由さが、逆に新しいゲーム性としてウケ始めてるぜ。同時視聴者数がピザ配信の時を超えようとしてるぜ」

マキは、動かない足を逆に支点にして、泥の上を滑る「新技術」を即座に開発し始めた。


パレードの時の熱狂が「華やかさ」だったとするなら、今回のガタリンピック再現イベントは、文字通りの「泥臭さ」で世界を魅了していた。

和歌は、泥まみれになりながらも「第2SS学園の誇りにかけて、この泥の海を渡りきりますわ!」と宣言し、必死にクロールで泥を進む。そのシュールな光景が、アリアや他の生徒たちの間でも「和歌様が体を張っている」と話題になり、応援の投げ銭が降り注ぐ。

フランスではアイリス F. クサックが、この泥の祭典を現地の言葉で実況していた。

「C'est incroyable! 日本の泥は、アバターのアイデンティティを消し去るほどに強力です!」

楠木こころは、泥に半分埋まったまま、タブレットを上下逆さまに掲げてガッツポーズを作った。

「よ、よかったです! 粘度の設定ミスが、まさか『団結力を試すエクストリーム・スポーツ』として評価されるなんて。計算外ですが、これぞ地方創生の新しい形……かもしれません!」

地方の干潟が持つエネルギーが、プロデューサーのドジと、少女たちの必死な姿を通して、**SAGASAGA(サーガ・サーガ)**という海を茶色く染め上げていく。泥にまみれ、笑い合い、そして動けなくなる。そんな理不尽な日常こそが、MUⅡプロダクションをさらなるバズへと導く原動力となっていくのである。



【MUⅡプロダクション 運営日誌より】

①本日の進捗:

・「メタバース・ガタリンピック」開催。泥の超粘度設定が「神ゲー」としてバズる。

・七海和歌、泥まみれのアバター姿で新たなファン層(ギャップ萌え)を開拓。

・鹿島幸来、泥の中で寝落ちし、一時的にエリアの環境音と化す。

②本日のアクシデント:

・楠木プロデューサー、泥のテクスチャに「わさびマヨネーズ」のデータを混入させ、エリア全体が微かに美味しそうな匂いに包まれる。

・三瀬かえる、泥を投げすぎてスタジオのメインサーバーを物理的に(?)汚染しかける。

③楠木プロデューサーの一言:

「泥にまみれても、私たちの夢は汚れません! ……お洗濯の代金、経費で落ちますか?」

この物語は完全にフィクションであり、実在するVtuberの知っていただく目的で執筆したコメディーラノベです(笑)「#鹿島幸来」「#やまもとゆき」「#vtuber」で検索してみてください。良かったら、応援してあげてください。

ですが読者の皆さま、数多ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

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