-SANTA-
〜北欧 12月23日〜
北欧の山奥、少しの平原に木造の家が一軒だけある。ここはいつも暴風雪に見舞われている。だから人は一度もこの地に足を踏みいれたことはないし、いつも低く、暗い雲が覆っているため、飛行機の窓からも見えないし、衛生写真にも映らない。住処がばれちゃいけない者が住む場所としては最適な場所だ。
この小さな一軒家に仕事人が住んでいる。
「よお、調子どうだ。フォルクス」
白ひげの大柄な老人がこう言う。俗に言うサンタだ。
「ああ、バッチリ。プレゼントの調達と箱詰めもオッケー、トナカイのコンディションも絶好調、ソリの点検も済ませてある」
フォルクスはシロクマだ。いつも、クリスマスに向けて雑務を担当している。
「そらよかった」
「今は、23日の13時、出発まであと7時間か」
「そうだ、23日の20時に出発、ここからまずヨーロッパ、そして中東、アフリカ、オセアニア、アジア、アメリカ、南米の順で回って帰ってくる」
「ま、いつも通りだな。いつも大体15時間くらいで帰ってくるっけな」
「そんぐらいだな」
二人が話していると、ゴーンとベルがなった。
「お、終わったか」
「そうみたいだ。よっしゃ、いくか」
二人は階段を下って、家の地下に行った。
地下にはプレゼントを調達する工場がある。そこで世界中の子どものプレゼントを作っている。
「フォルクス工場長、サンタ殿。ただいまプレゼントの準備が終わりました」
ペンギンのベッタムがそう言った。
「ベッタム。これで全部か?」
サンタが確認する
「はい、そうです」
「多いな」
「ええ、そうですな」
フォルクスがサンタにタブレットを見せる。
「何だこれ」
「プレゼント調達のグラフです。確かにプレゼントの調達量が多くなってきています。特にアフリカ。アフリカは今人口が急上昇中ですから」
「そうか。じゃ、ソリにプレゼント乗っけるか。」
「はい、すぐに作業員を配置に付かせます」
ベッタムそう言うと、マイクを手に持って話す。
”総員に告ぐ!只今よりプレゼントの積み込みを行う。第一班はヨーロッパ。第二班は中東、第三班はアフリカ、第四班はオセアニア、第五班はアジア、そして第六班はアメリカ区域のプレゼントをソリに詰め込むように!!”
作業員のペンギン達は、プレゼントを次々とエレベーターで一階へ上げ、ソリへと運んでいく。
「俺たちはソリ格納庫へいくか」
サンタがフォルクスに伝える
「行きましょ」
ソリ格納庫は家から少し離れたところにある。そこにはソリの他に、9匹のトナカイもいる。
家からソリ格納庫までの距離自体はそんなでもないが、外は暴風雪なので、進むのにめっぽう時間がかかる。サンタとフォルクスは暴風雪を浴びながらも格納庫につく。サンタは格納庫の重い扉を開ける。
「やあ、トナカイたち。調子どうだ」
9頭揃って一斉に
「最高超だね」
「そらいいことだ。これから15時間頼むぞ」
トナカイ9頭全ての首をさすって鼓舞する。
ソリ格納庫へ家からエレベーターを使って、ペンギンが荷物をぞろぞろ持ってきた。
「俺らもエレベーター使えばよかったな」
「すっかりあるの忘れてた」
ペンギン達が班ごとにプレゼントの積み込みを始めた。
「俺らは、運転用のソリ見にいくか」
「うん。行くか。そりはすぐそこにあるぜ」
運転用のソリはちょっとした台に置かれていた。艶消しの赤色にシルバーの装飾。これがサンタのソリだ。
「やっぱりこいつだよ。こいつがなきゃプレゼントは配れねえ」
サンタが一生使ってきたこのソリ。他のソリには一切乗らない。サンタはこのソリだけに乗る。
「計器類は大丈夫か」
「全部点検済みだ」
サンタのソリには計器がたくさん積んであった。水平器、速度計、レーダーまでもがある。これがサンタのプレンゼント配りをサポートするのだ。
もう20時になった。出発の時間だ。
「じゃ、行ってくる」
サンタはソリに乗り込みながらそう言った。
「あぁ」
サンタが笛を口に咥え、ゴーグルを目につける。
ピィぃぃっっ!!と高音が響く。
「ヒィーーハァッ!!!」
サンタが叫んだ。すると9頭のトナカイは大きく鳴きながら暴風雪の中を全速力で走る。
あたり一帯が揺れる。世界中のプレゼントとサンタを引っ張って空を飛ぶトナカイの力は怪物のようだ。
ソリがだんだん空に浮かんでいく。
いつの間にかソリは雲を抜けて空高く舞い上がって行った。
出発してから3時間くらい経った。今はギリシャ上空を飛んでいる。
サンタは後ろに牽引されているプレゼントが乗ったソリをみる。
プレゼントはソリから順調に手紙をくれた子ども達のところへ投下されている。
「順調だな」
サンタは確認し終えると前を向く。
子どもたちはサンタが煙突から入ってくると思っているが実は違う。実はね。プレゼントはもらった手紙をプレゼントのどっかに貼り付ければ自動的に手紙を送り元のところへ飛んでいく。つまり、プレゼントは空中から落とすだけでいいのだ。子どもたちはサンタのためにクッキーやジュースを用意してくれているらしい。手紙によく書いてある。サンタはそんなものを食べたことがない。来年になると何人かの子ども達は手紙にクッキーを食べてくれてありがとうの旨を手紙に書いてくれるが、サンタは食っていないのだ。
「そろそろ腹へってきたな......ん?....しまった!忘れてた」
先頭のトナカイであるルドルフを見てみる。ルドルフの鼻に赤い電球をつけるのを忘れていた。
「どうしようか....。 いいこと思いついた」
電球を一番近くのトナカイの肛門に差し込む。
「ぴったしだ」
トナカイの肛門に刺さった電球はとてつもなく強い光を発する。
サンタはポケットから持ってきたホットドッグを出す。ソリに積んであった折りたたみテーブルを広げて、ホットドッグとまたまた持ってきたスプライトとドリトスをテーブルに置く。
ホットドッグにマスタードをかけて一口、その後にドリトスを食べてスプライトで口直しをする。サンタを始めてからずっと変わらない。この食事をずっとそりの上で食べてきた。
「よぉし、あと12時間!」
ギリシャ、ある一人の少年がベランダから夜空を見上げる。
「ママ、空に赤い流れ星があるよ」
少年は夜空の中、一つの赤い光を指差す。
「あら、本当ね。サンタさんだったりしてね。さあ、寝る時間よ。ベットに行きましょう」
「うん!サンタさん来るから早く寝る!!」
少年が眠りについたと同時に、サンタからのプレゼントは少年が夜空を見上げていたベランダに落ちてきた。




