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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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試練の刃

***


冷たい金の光が空を染める夜明け――

五人の弟子たちは、静かにひざまずいていた。

その背後には師たちの姿。誰も言葉を発さず、ただ見守っていた。


ゆっくりと、ハルトが玉座の階段を下りてくる。

マントに刻まれたルーンが微かに光を放ち、空気が張りつめる。


「今日、君たちに与えるのは初めての任務だ」

その声は静かに、しかし確かに広間を満たす。


「力を試すためではない。

――“信念”が、剣よりも鋭いかどうかを証明するためだ。」


誰も息をのまない。

沈黙すら、使命を前に膝を折った。


「北の国境近く、エインドルという集落で反乱の噂がある。

盗賊、間者――そして“何か”が。

…だが忘れるな。

無益な血は、黄金の太陽を曇らせる。」


マルガリータが口元に笑みを浮かべる。

「つまり、“倒すこと”じゃなくて“考えること”が試験ってわけね。」

ハルトは片目を細めて、答える。

「その通りだ。

知性なき正義は、魔法よりも危険だ。」


カオリが一歩前に出る。

「戻るとき、彼女たちは何を持ち帰ればいい?」


ハルトは一言だけ答えた。


「真実。」


***


任務開始――


霧に覆われた山道を進む五人。

先頭はセリナ、松明を掲げて進む。

ナナが結界を張り、仲間を守る。

リナは側面を警戒しながら、鞭を構える。

カヨとミラは風と闇に紛れて、音もなく動く。


「この場所、なんか……空気が腐ってる」

リナが呟く。


「名前のない村は、いつも何かを隠してるのよ」

カヨが小さく答える。


「隠された名は、過去の傷」

ミラが矢を握りながら、静かに言う。


村に着いたとき、空気は鉄と沈黙の匂いを放っていた。

家々は空。だが扉は、すべて内側から閉じられていた。


セリナがそっと扉を叩く。


「中に人はいる。でも……話したがらない。」


ナナが近づく。

「話せないのかもしれない。」


そのとき、ひとりの少年が瓦礫の影から走り出てきた。

片目に包帯を巻き、恐怖に震えていた。

リナがすぐに押さえる。


「大丈夫。傷つけない。」


少年はかすれた声で尋ねた。


「……君たち、太陽の王国の人?」


セリナが頷く。

「そうよ。」


「じゃあ……助けてくれるよね?」


***


真実の発見


住民たちは“裏切り者”などではなかった。

彼らを襲っていたのは――

旧王国の腐敗兵。

現在は亡命貴族の私兵として動き、

“太陽の名”を掲げて、村を脅し、奪い、痛めつけていた。


「……私たちの“紋章”を、奴らが血で汚したのね」

ミラの声は震えていた。


「“英雄”の顔をかぶった、ただの盗人だ」

リナが怒りにまかせて壁を鞭で打つ。


セリナは静かに夜空を見上げた。


「ハルトは……こんなこと、絶対に許さない。」


カヨが影の中で囁く。

「でも、彼は私たちが“思考なし”で動くことも許さない。」


その夜。

彼女たちは廃れた神殿に火を灯し、議論を交わした。


戦うべきか、報告するべきか。


セリナは拳を握った。

ナナは沈黙の中で冷静さを説いた。

リナは怒りに身を任せた。

ミラは迷いの中で矢を握った。

カヨは、ただ周囲を見ていた。


そして――


一歩、影から現れたのはカオリだった。


「ハルトは、君たちが迷うことを知っていた。」


セリナが立ち上がる。

「あなたは…見張りだったのね?」


「そう。

そして、“裁く者”でもある。」


カオリの目が、全員を見渡す。


「敵を倒すことが、正解ではなかった。

君たちが“どんな正義を選ぶか”が、この任務の本質だった。」


リナが吠えるように言う。


「じゃあさ、無力なまま見過ごせっての?

それが“正義”かよ?」


カオリは頷いた。


「……違う。

だが、復讐だけでは光は生まれない。

“正義”とは、痛みを抱えながら選ぶ道なの。」


セリナは火を見つめ、ゆっくりと答えた。


「ならば、助ける。

――そして、学ぶ。」


***


ミラが矢を番え、村の出入り口を警戒する。

ナナは住民たちの手当てを開始。

リナは怒りを鞭に込め、兵士たちを無力化。

カヨは影に紛れ、敵の配置と構造を記録。


カオリは何も言わなかった。

ただ、目を細めてその連携を見守る。


――そこに“命令”はなかった。

ただ、共鳴があった。


それはもはや、“弟子”ではなかった。

調和する意志、太陽の交響曲シンフォニア


***


夜が明ける頃、

村は自由を取り戻していた。


兵士たちは拘束され、王国の裁きへ送られる手筈が整えられ、

村人たちは、ようやく声を取り戻していた。


カオリが静かに歩み寄る。


「……試練は、完了よ。」


リナが尋ねた。

「勝ったから?」


カオリは首を横に振った。


「違うわ。

“痛い方の道”を、選んだから。

それが、光の種になる。」


セリナは、疲れた顔で微笑む。


「……じゃあ私たち、太陽の継承者に“なれた”?」


カオリは、東の空に差す光を見つめながら答えた。


「――まだ。

けれど、今日…君たちは、

最初の光を灯したの。」


***

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