「失われた王国の手前」
反逆エルフのエリンドールは、戦略室で地図を確認した。
ハルト、カオリ、マグノリア、そしてオーレリアは黙って見守っていた。
「エルフの王国は地図に載っていないが、この道は第一のヴェールへと続いている。荷物は軽くしなければならない。重すぎると…森の守護者の目を引いてしまう。」
カオリはため息をついた。
「軍勢の半分は残さなければならないのか?」
アストラは柱に寄りかかりながら答えた。
「エルフには力は通用しない。意志の力だ。」
マグノリアは頷いた。
「では、精鋭部隊だけを連れて行こう。」
ハルトは仲間たちを見渡した。
「これは軍事作戦ではありません。
繊細な任務となります。
だからこそ、少人数で…子供たちを連れて行くのです。」
オーレリアは身震いしたが、ためらうことはなかった。
「あなたが行くところなら、どこへでも行きます。」
エリンドールは畏敬の念と恐怖が入り混じった気持ちで、赤ん坊たちを見守った。
帝国は活気に満ち溢れていた。
✔ 新しい学校
教師たちは、これまで勉強することなど夢にも思わなかった子供たちに読み書きと算数を教えていた。
「皇帝陛下が私たちに本をくださった!」と、新しいノートを持って走りながら叫んだ子供がいた。
✔ 食料配給
市場には果物、米、肉が溢れていた…ハルトの治世以前とは全く違っていた。
ある年老いた女性が言った。
「1年前は、私たちは餓死するのではないかと恐れていました。
今では…子供たちは1日に3食食べています。
黄金の太陽が私たちを祝福してくださいますように。」
✔ 警備の強化
街路は香織に訓練された兵士たちによって巡回されていた。
「誰もゆすり取るな」香織は新人部隊に告げた。
「賄賂を見つけたら、この手で牢屋にぶち込む」
兵士たちは息を呑んだ。
✔ 召喚令状が機能する
ダイヤモンドの巨人は橋の建設を手伝った。
ヴァイオリニストの戦士は音楽のレッスンをした。
ラスベガスの魔術師は、祭りの夜に魔法の光を作り出した。
市民は彼女を崇拝した。
「彼女はスター魔術師だ!」
「彼女が空を輝かせているのを見て!」
誰もが言った。
「太陽帝国は今や大陸で最も繁栄している。」
しかし、すべてが完璧だったわけではない。
アストラ・ノックスはハルトと個人的に会った。
「ハルト…君が島の作戦に出ている間に、不穏な兆候を感じた。
誰かが古代貴族たちに秘密の手紙を送っているらしい。」
ハルトは顔を上げた。
「裏切り者?」
アストラは頷いた。
「ええ。」それだけでなく…
北方に動きがある。正体不明の軍勢が集結している。
彼らは人間とは思えない。
ハルトは拳を握りしめた。
「貪り食う者たちか?」
「まだ分からない。
だが、彼らは君が帝国を去るのを待っている。」
最後の言葉を耳にした香織が部屋に入ってきた。
「では、精鋭の護衛をここに残しておこう。」
ハルトは首を横に振った。
「いや…
帝国は君に託す。」
マグノリアとオーレリアが彼らの後ろに現れた。
セレネを抱いたオーレリアは言った。
「香織、マグノリアと私が交代で見張りをします。君たちが旅をしている間、見張りをします。」
ハルトは微笑んだ。
「この帝国は私だけのものではありません。
君たちの…そして子供たちのものです。」
宮殿のテラスで、ハルトは星空を眺めるルシアンを抱いた。
香織は彼の隣に座った。
「ハルト…エルフたちは私たちを受け入れてくれると思いますか?」
彼はため息をついた。
「わかりません。
でも、子供たちの未来について何か答えがあるのなら…
見つけなければなりません。」
香織は彼の肩に頭を預けた。
「私はあなたと一緒にいます。
最後の最後まで。」
次にマグノリアがやって来て、ハルトを後ろから抱きしめた。
「私もここにいることを忘れないで。
どんな森であろうと。
たとえ彼らが私たちに会いたくなくても。」
眠るセレネを抱きかかえながら、オーレリアも彼らに加わった。
「私たちは家族だ。
約束…
(約束する)
どんなに暗い道でも、共に歩もう。」
ハルトは誓いの重みと強さを感じた。
「それでは明日から…エルフの王国への旅に出発します。」
エリンドールは夜明けに森の端で待っていた。
「この境界を越えた瞬間、お前たちはもはや人間の世界の一部ではない」と彼は警告した。
木々は耳を傾けているようだった。
風が未知の言語で囁いた。
ルシアンは目を開けた。
セレーネは微笑んだ。
ハルトは最初の一歩を踏み出した。
「行こう」
森が分かった…まるで運命が彼らを待っていたかのようだった。




