「名を捨てたエルフ」
夜明けが空をオレンジ色に染める中、ハルト、カオリ、マグノリア、そして赤ん坊を抱いたオーレリア、そしてアストラ・ノックスが空中プラットフォームに集まった。
彼らの後ろには、他の妻たちと精鋭召喚獣たち、ローズ、フロストベイン、ミラージュ、メイカ、そして数人の帝国兵が続いた。
ルシアンはぐっすり眠っていた。セレーネはオーレリアの髪を弄んだ。
カオリは優しく微笑んだ。
「私たち家族の最初の旅が、何世紀も誰も見たことのない王国へ向かうことになるとは、誰が想像したでしょう?」
マグノリアは笑った。
「伝説の子を育てるには、そういうことなのよ!ゆりかごから、危険と向き合うのよ。」
オーレリアは心配そうにセレーネの頬を撫でた。
「何も起こらなければ…どこへでも来ればいいわ。」
ハルトは黒マントを羽織り、真剣ながらも決意に満ちた表情を浮かべた。
「さあ、出発する。
エルフたちはきっともう知っているだろう…でも、歓迎してくれるかどうかはわからない。」
アストラは相変わらず冷たい視線を向けながら、二歩前に出た。
「落ち着け。エルフの森の根っこに触れる前に…自らの意志で王国を去ることを選んだ唯一のエルフを見つけなければならない。」
香織は眉をひそめた。
「裏切り者のエルフ?なぜ故郷を離れたんだ?」
アストラは真剣な面持ちで彼を見た。
「他の者が認めようとしない何かを見たからだ。」
一行は苔むした古びた道を進んでいった。
空気は冷たく静まり返った。
赤ん坊たちさえも、まるで目に見えない何かを感じ取ったかのように、動きを止めた。
ハルトは辺りを見回した。
「ここは…生きている気がする。」
アストラ・ノックスは頷いた。
「そうだ。エルフたちは、この道を人間の記憶から消し去るために、永久の呪文を残したのだ。」十分な霊力を持つ者だけがそれを見ることができる。
香織はルシアンを抱き上げた。彼は目を開け、深い青い光で彼らを見つめた。
「うちの子にも見えると思う。」
マグノリアは腕をこすった。
「すごい。赤ちゃんでさえ私より知覚力があるなんて!」
オーレリアは優しく笑った。
「あなたのせいじゃないわ…彼らは私たちにも理解できない何かを持って生まれたのよ。」
突然…
霧の中から人影が現れた。
背が高く、
細身で、
尖った耳、湿った葉のような緑色の瞳、そして生きた樹皮でできた服。
その足跡は跡形もなかった。
アストラは一歩後ずさりした。
「覚悟しろ。
彼は人間でも獣でもない。
彼は…追放者だ。」
人影は静かに両手を上げた。
「争いは望んでいない。」
ハルトは歩み寄った。
「名前で呼ぶのをやめたのは、あなたですか?」
エルフは悲しげに微笑んだ。
「以前はエリンドールと呼ばれていたが…
私の民にとって、私はもう死んでいる。
エリンと呼んでくれればいい。」
香織は武器の柄を握りしめた。
「私たちに何の用だ?」
エルフは赤ん坊たちを見た。
ルシアンが彼を見ると、エリンドールは驚いて一歩後ずさった。
「あなたの子供たちは…
光明を宿している。
太陽と月を一つの血に。」
ハルトは顎を上げた。
「だからこそ、エルフの王国へ行くのだ。」
エルフの顔色が変わった。
苦痛。
恐怖。
驚き。
「つまり…悲劇を探しているのか。」
マグノリアが前に出た。
「はっきり言え、耳の長い者よ!」
エリンドールは目を閉じた。
「エルフの王国は訪問者を歓迎していない。」
「でも、入国しようとして死ぬような真似はさせられない。」
彼は目を開け、ハルトに視線を向けた。
「案内は引き受けた。
でも、約束してもらいたいことがあるんだ…」
ハルトは眉をひそめた。
「教えてくれ。」
エリンドールは深々と頭を下げた。
「何があっても…
エルフたちに私が生きていることを知られないように、約束してほしい。」
一同に重苦しい沈黙が訪れた。
オーレリアは赤ん坊たちを抱きしめた。
香織は歯を食いしばった。
マグノリアは呟いた。
「それは…まずい。」
ハルトはすぐに理解した。
「見つかったら…殺されるわ。」
エリンドールは物憂げに微笑んだ。
「運が良ければ…私を見つけてくれるわ」
アストラは目を細めた。
「では、教えてください。
なぜ私たちを案内することに同意したのですか?」
エリンダは再びルシアンとセレーネを見た。
そして彼女の目は震えていた。
「だって、あなたの子供たち…
森の予言が目覚めた証です。
そして、私が直接彼らをエルフ王国の中心へと導かなければ…
皆にとって手遅れになるかもしれません。」
ハルトは頷いた。
「では、連れて行ってください。
旅が始まります。」
エルフは振り返った…
そして、まるで彼を認識したかのように、森が開けた。




