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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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『神性アルファ・ゴーレムの誕生』

月は赤く染まっていた。


それは月食ではない。

解き放たれようとしている力の色だった。


無人島と海境の狭間、

隠された工房――

帝国から奪われた船は、生き物のように震えていた。


アカシは、ゆっくりと床から立ち上がった。

指先は火傷だらけだった。


「ミヤコ……見ているか?」


隅にいたミヤコは、手を震わせ、目を見開いていた。


「アカシ……あれ……あれは……

作ってはいけないものよ……」


アカシは、人間とは思えない笑みを浮かべた。


「作ってはいけない?

本当に、そう思うか?」


地面が轟いた。


強化床を突き破り、

巨大な構造体が姿を現す。


発光する神代文字が刻まれた機械の胸郭。

神性エネルギーが固体化した両腕。

生きた心臓のように脈打つ中核。


頭部は、神の仮面と戦争用ヘルムを融合させた異形。


内部から、重く反響する声が響いた。


「――命令……受領……」


ミヤコは叫びを抑えるため、口を覆った。


「い……意識を……与えたの……?」


アカシは一本指を立てた。


「もっと良いものを与えた。

“目的”だ」


機械はアカシに向かって頭を下げた。


「創造主識別:

アカシ・テンノ

最優先対象」


アカシは両腕を広げ、歓喜した。


「神性アルファ・ゴーレム……

今日、誕生だ!」


ミヤコは膝から崩れ落ちた。


「これは……ゴーレムじゃない……

人工の……神……」


アカシは微笑んだ。


「その通りだ」


一方、

ハルトは拡張されたばかりの帝国玉座の間にいた。


そこに集う者たち。


妊娠中でありながら威厳を保つアウレリア。

変わらぬ厳しさのカオリ。

腕を組み、闘志を隠さぬマルガリータ。

フロストレーンとリリー。

ミラ・ミラージュ。

ライフルを携えたセレス。

巨大なハンマーを担ぐダリア。

威容を放つネフェルカラ。

神の竪琴を抱くデイビッド。


空気は、張り詰めていた。


ハルトは一息ついた。


「兆候を受け取った。

神々が……動いている。

それだけじゃない……

アカシが“禁忌”を解き放った」


アウレリアが震える。


「……神……?」


ハルトは首を振った。


「もっと悪い。

道徳も制限もない。

純粋な“神性ゴーレム”だ」


カオリが一歩踏み出す。


「なら、私たちも行くわ。ハルト」


ハルトは手を上げた。


「いや。

今回は違う」


カオリは目を見開き、

マルガリータは視線を落とし、

フロストレーンは拳を握り締めた。


ハルトは続ける。


「神々は一体ずつ来ない。

群れで来る。

島を奪い、空を裂き、使徒を放つ……

俺一人じゃ、全てを守れない」


最初に理解したのは、デイビッドだった。


「防衛線を……分けるんだな」


ハルトは頷いた。


「そうだ。

それぞれが、別々の戦線を指揮する」


沈黙が落ちた。


「セレス、ダリア、ミラ……

お前たちは神の使徒――

《神聖ヘラルド》への第一防衛線だ」


「ネフェルカラ、フロストベイン姉妹……

海神ペラグロスの降臨を止めてくれ」


「カオリとマルガリータ……

太陽帝国の首都を守れ。

ここが落ちれば、世界は終わる」


アウレリアは衣を掴み、震えながら尋ねた。


「……あなたは?

ハルト……どこへ行くの?」


ハルトは目を閉じた。


「俺は……

アカシを止めに行く」


全員が凍りついた。


カオリが叫ぶ。


「ダメ!

あいつはあなたを憎んでる!

異常なほど執着してる!

一番危険なのは、あいつよ!」


ハルトは、そっと彼女を抱きしめた。


「だからこそ……

俺一人で行く」


マルガリータが舌打ちする。


「もう、あいつは人間じゃない。

分かってるわ」


アウレリアはハルトの手を取った。


「お願い……

約束して……

必ず戻ってきて……

今は……今は――」


視線は、彼女の腹部へ。


ハルトは額に口づけた。


「戻る。

必ずだ」


神性アルファ・ゴーレムは、海上へと浮上した。


水面を、岩の大地のように踏みしめて歩く。


魚は逃げ、

雲は裂けた。


アカシは、奪った神具によって宙に浮かび、

その傍らを進む。


「ハルト……

これから何が来るか、分かっているか?」


ゴーレムが告げる。


「対象確認:

ハルト・アイザワ

最優先排除」


アカシは笑った。


「さあ……

黄金の太陽を狩る時間だ」

ハルトは、妻たちと盟友たちを見渡した。


「信じてくれ。

俺を――そして、自分自身を」


「今日から……

神々との戦争が始まる」


アウレリアが歩み寄り、深く口づけを交わす。


カオリは彼の手を強く握った。


マルガリータは、力いっぱい抱きしめる。


デイビビッドは、静かな一音を奏でた。


ネフェルカラは、敬意を示すように頭を垂れた。


ハルトは転移の魔法陣を展開する。


「アカシ……

今度こそ、逃がさない」


光が彼を包み込む。


そして――消えた。


神性アルファ・ゴーレムは、すでに進軍を開始している。

神々は備え、

島々は震え、

ハルトは――最も執着深い敵のもとへ向かう。

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