表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/389

分裂する王国

三日。それだけで噂は王国全土に広がった。

「服従の魔女」ツキシロ女王が、倒れた。

そして──「歌の女神」アヤカ・フジモリもまた。


都に残る最後の英雄とされた者は、姿を消した。

ただ、逃げたという噂だけが風に残された。


街には呼び声が響き渡る。

「王国は英雄を失った!神々が彼らを罰したのだ!」

「誰も、安全ではない!」


人々は広場に、寺院に、路地裏に集まり出した。

泣き叫ぶ者もいれば、答えを求めて怒鳴る者もいた。

だがその中に、別の声が混ざり始める──


「英雄ですら死ぬのなら、我々はなぜ従う?」

「貴族たちは我々を使い捨てにするだけだ。民が治めるべきだ」

「裏切り者の将軍を倒せ!やつがすべてを仕組んだ!」


混乱の種は蒔かれた。

恐れは炎となり、王都の空気を焼き始めた。


二章:動揺する評議会


玉座の間──

壁にかけられた松明が揺れ、炎の影が重臣たちの顔を踊らせていた。

王アルブレヒト三世は顔色悪く、熱にうなされながら、廷臣たちの怒声に耐えていた。


「陛下、戒厳令を発動すべきです!」

「それでは民が完全に蜂起しますぞ!」

「将軍に責任を押し付けろ!何か代償を差し出さねば!」


王は玉座の肘掛けを力なくも怒りを込めて叩いた。

「──黙れ!」


その声に、誰もが凍りつく。


王は苦しそうに息を吐き、低く問う。


「真実はなんだ……?

英雄たちは神に罰せられたのか? それとも……裏切られたのか?」


返す者はいなかった。

その場を満たしたのは、ただひとつ──疑念の残響。


将軍リュウスケ・ハタナカは、自らの執務室で報告書を睨んでいた。

かつては忠誠を誓った部下たちが、今は遠巻きに彼を見ていた。

敬意ではなく、恐れと疑いの目で。


「裏切り者」「英雄殺し」「反逆の火種」──

城の外では、そう囁かれていた。


妻のサヤカが入ってきた。

その顔には明らかな不安が浮かんでいた。


「リュウスケ……あなたがすべてを仕組んだって言われてる。

英雄たちを排除して、権力を握るためだったって……」


将軍は沈黙したまま、暖炉の火を見つめていた。

その瞳には、疲れと怒りが入り混じっていた。


「……お前も、そう思うのか?」


サヤカは小さく首を振った。


「……私は信じてる。でも……民は信じないわ。それだけで、あなたは……壊される」


将軍は拳を握りしめた。


「この国のために命を懸けてきた。

仲間も、部下も、幾人も失った。

それなのに、今では俺が“裏切り者”か」


サヤカは彼の前に跪いた。


「お願い、逃げて。

今なら、まだ──」


「いいや」

彼の声は鋼のように硬かった。


「俺は逃げない。

王国が敵を求めるというのなら……

この目を見て、“そうだ”と言わせてみろ」


遠く離れた森の中。

ハルト・アイザワは焚き火の前に座り、炎の揺れを静かに見つめていた。


周囲にはアウレリア、カオリ、マルガリータ、モモチ、セリナ、そしてセリス──

彼の戦友たちが、静かに耳を傾けていた。


「……噂は、もう独りでに動いてる」

ハルトが言った。


「民は反乱の声を上げ、王は病に伏せ、将軍は──次の標的になった」


セリスが目を伏せる。


「……その噂、主が流したのですか?」


ハルトは首を横に振った。


「いいや。今回は、王国自身が蒔いた種だ。

俺はただ、“真実”が肥沃な土壌に落ちるのを見ていただけだ」


アウレリアが腕を組み、目を細めた。


「なら、次は……彼との対決ね」


「そうだ」

ハルトはうなずいた。

「だが、怒りではなく……戦略で挑む」


カオリが静かに口を開いた。


「もし……その将軍が、本当は腐っていないのだとしたら?」


その問いに、ハルトは少し沈黙した後、

焚き火を見つめながら、低く答えた。


「……それなら、それこそが……一番難しい“試練”になるだろうな」

夜はますます冷たくなっていった。

村々では、人々が古びた農具を手にし、「もう二度と膝はつかぬ」と誓い合っていた。

神殿では、司祭たちが言い争っていた──

「神々は、もうこの世界を見捨てたのではないか」と。


そして都では、軍の影が城壁を覆い始め、戦の前触れのように広がっていた。


英雄なき、分裂した王国。

そこに残されたのは──恐怖だけ。


……ただひとり、

すべてに立ち向かう覚悟を決めた男を除いて。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ