表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

308/345

「ダイヤモンドの影が、王子に落ちる時」

王子テロン・エリンドロス――

王妃ヘランドラと共に逃亡したその男は、

緊張に歪んだ表情で報告を受けていた。


伝令が跪く。


「アステリオン様とノクサンダー様は、

すでにネリシアにて交戦中です、殿下」


テロンは歯を食いしばる。


「兄上は分かっていない……!

この戦争は、俺のせいで始まった。

俺は……臆病者ではないと証明しなければならない!」


その瞬間――

巨大な影が、窓を横切った。


テロンの背筋に悪寒が走る。


「……今のは何だ?」


兵士が震える声で答えた。


「殿下……あれは……

ハルトが召喚した存在の一体かと……」


テロンは怒りに震えながら立ち上がる。


「エリンドロスを侮辱させるものか!

俺が――俺自身が出る!」


だが、

巨大な手が彼を制した。


兄だった。


◆ この物語の“ヘクトール”


――第三王子 アルダロン


王国随一の武人。

レアンドロスの子らの中で、最強。

高潔、守護者、徳高き戦士――

そして、弟の傲慢によって運命を狂わされた男。


彼の手には、

城壁を喰らう黒槍――《デヴォラ・ムラリア》。


「弟よ」

アルダロンは低く言った。

「お前一人では行かせられない」


テロンは眉を吊り上げる。


「俺を……弱いと言うのか!」


アルダロンは、ため息をついた。


「違う。

――無謀だと言っている」


テロンは視線を落とす。

誇りを深く傷つけられた表情で。


だが、言い返す前に――


大地が、震えた。


THAM…… THAM…… THAM……


何か――

圧倒的なものが、近づいてくる。


◆ 城壁都市の外――二人の王子、出陣


先頭を行くのはテロン。

神剣を握る手は、震えていた。


その後ろを、

巨人のように落ち着いた足取りでアルダロンが続く。


そして、城壁を越えた瞬間――


彼らは見た。


遠方に立つ、

巨大な存在を。


透明。

眩い輝き。

無視など、できるはずもない。


――ハルトの召喚獣。


二十メートルを超える巨体。

青き核を宿す、水晶の巨神。

その瞳は、魂を見透かすかのようだった。


テロンが唾を飲み込む。


「……あ、あれが……

こちらを、見ているのか?」


アルダロンは槍を構える。


「落ち着け」


レヴィアス・アルゲントゥスが、一歩踏み出す。


――大地が、悲鳴を上げた。


テロンは、後ずさる。


「で……でかすぎる……

あまりにも……!」


レヴィアスは、ゆっくりと首を傾けた。


そして――

語りかけた。


「――お前だ」

「他人の女を奪い、

誇りのために戦を起こした者」

「……弱き者よ」


城壁の兵たちが、凍りついた。


テロンは叫ぶ。


「よ、弱いだと!?

俺を――俺を弱いと言うな!!」


だが、動きは拙かった。


レヴィアス・アルゲントゥスは、

指を一本――持ち上げる。


ただ、それだけ。


PAM


テロンの身体は、

五十メートル先まで吹き飛ばされ、

壁に叩き込まれた。


兵士たちは、言葉を失う。


アルダロンは、動かなかった。


テロンは血を吐く。


「に……兄上……

助けてくれ……」


レヴィアスが、さらに一歩近づく。


巨神の影が、

傷ついた王子を覆った。


その背後で――

鎖と拍車の音が響く。


マグノリア・アルバレス――

**《黒衣のチャラ》**が、

鎖銃を回しながら姿を現した。


「それで終わり?

有名な色男の王子様って、

もっと危険だと思ってたけど」


テロンが叫ぶ。


「だ、黙れ!

これは……お前の出る幕じゃない!」


マグノリアは、嘲るように笑う。


「違う?

じゃあ、また兄貴に助けてもらうしかないわね、坊や」


ついに――

アルダロンが前へ出た。


「彼女の言う通りだ、弟よ」

「これでは……

エリンドロスの王子の名が泣く」


屈辱に震えながら、

テロンは再び懇願する。


「アルダロン……

頼む……」


ダイヤモンドの巨神が、腕を振り上げた。


――叩き潰すために。


だが、

戦いが本当に始まる、その直前……

アルダロンは槍を地面に突き立てた。


「巨人よ。

――弟に触れるな」


レヴィアスは感情のないまま、首を傾ける。


「ならば――

お前の力を見せてみろ」


衝突は、凄惨だった。


BOOOOOOOM


アルダロンの槍が巨神の腕と激突し、

衝撃波が周囲を吹き飛ばす。


テロンは地面に倒れ込み、

暴風から身を守るように腕で顔を覆った。


兵士たちは叫び、

大地は裂け、

マグノリアは数歩、後退する。


――アルダロンは、怪物だった。

その力は、まさに巨神級。


だが――

レヴィアス・アルゲントゥスの方が、さらに上だった。


アルダロンは、

三十メートルも弾き飛ばされる。


膝をつき、

汗を滴らせる。


「見事だ」

巨神が告げる。

「強い……

だが、お前が思っているほどではない」


アルダロンは歯を食いしばった。


「……なるほどな。

我が王国がハルトを恐れる理由が、分かる」


マグノリアは、目を輝かせた。


「はは……

これは、いい喧嘩だねぇ……」


――その時。


ZOOOOOOOM


巨大ゴーレムが、

隕石のように空を切り裂いた。


二人の間へと――

叩き落とされる。


BOOOOOOOOOOM


レヴィアス・アルゲントゥスは後退し、

アルダロンは弟を庇い、

マグノリアは滑るように距離を取った。


遠方から、

オドリアスの叫びが響く。


「ゴーレムだ!

アカシが――遠隔操作している!」


戦場の反対側で、

ハルトはその衝撃を感じ取った。


「……なるほど。

アカシも、ついに動いたか」


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ