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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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『糧なき王と、軍を養う太陽』

乾いた南風が砂を巻き上げる中、

ハルトは黒きワイバーンから降り立った。


アガメトスの陣営は、確かに巨大だった――

だが、秩序を失っていた。


汚れた包帯を巻いた兵。

消えかけた焚き火。

刃こぼれした剣。

どこに行っても、張りつめた沈黙。


アガメトスが、

深紅の外套を翻しながら出迎えに現れる。


「……相澤ハルト」

低く唸る。

「まさか“友好的”な形で再会するとはな」


ハルトは、わずかに微笑んだ。


「殺されずに迎えられたのは、光栄です。陛下」


アガメトスは鼻を鳴らす。


「――今のところは、な」


その背後から、

痩身で鋭い眼差しの男が進み出た。


王の最も狡猾な参謀、

この物語の“オデュッセウス”――オドリアス。


「ようこそ、黄金太陽の皇帝」

丁重に一礼する。

「あなたの……効率性には、感服しております」


ハルトは周囲を見渡した。


「兵が負傷しています。

即座に治療が必要だ」


アガメトスは睨みつける。


「我が軍に、施しは不要だ」


オドリアスが静かに割って入る。


「陛下……

負傷兵を放置すれば、

レアンドロスが来る頃には

軍が残りません」


アガメトスは、顎を強く噛みしめた。


――返答は、ない。


ハルトが手を上げる。


「感謝は要りません。

だが――」


「理由もなく血を流し、死んでいく軍と

共に戦うつもりはない」


空気が、黄金色に震えた。


空に、

金色の円環が開く。


光に包まれ、

一つの存在が降臨する。


白き翼。

輝く医療用手袋。

魔導聴診器。

羽根の王冠。


「――白光のセラフィーネ」

ハルトが告げる。

「集団治癒と天上医療の専門家だ」


天使は静かに着地し、

兵たちに優しく微笑んだ。


「道をお開けください。

発熱、感染、脱水……

すべて、感じ取れます。

――すぐ終わります」


ハルトが指を鳴らす。


次の瞬間、

セラフィーネの手から

無数の光の糸が広がった。


傷が閉じ、

血が浄化され、

骨が整う。


兵たちのざわめき。


「……傷が、消えた……!」

「腕が……動く……!」

「本物の……天使だ……」


アガメトスは、

強張った表情でそれを見つめていた。


傷ついた誇り。

だが――


安堵も、確かにあった。


オドリアスが、耳元で囁く。


「陛下……

これほどの医療魔法は、前例がありません」


「“我らのアキレス”を再び戦わせたいなら――

この男が、必要です」


アガメトスは答えない。


だが、

真実だと理解していた。



ハルトは、再び手を上げた。


「――ガチャ:精鋭資源。

ランク・ダイヤモンド」


金色の円環が、

今度はさらに大きく開く。


そこから現れたのは――


焼き立てのパン。

香ばしいロースト肉。

瑞々しい果実。

浄化された水の樽。

温かな穀物粥。

魔力を回復させる滋養シチュー。


二日間、

食事にありつけなかった兵たちは、

涙を浮かべて立ち尽くした。


アガメトスは、歯を食いしばる。


「……我が軍を、

養っているというのか?」


ハルトは腕を組む。


「飢えた軍は、戦争に勝てない」


「助けを拒む軍も、同じだ」


オドリアスが進み出る。


「陛下……

彼のためではありません」


「――民のために、

受け入れてください」


アガメトスは、目を閉じた。


「……分かった」


兵たちは、

涙を流しながら食事を始めた。


セラフィーネは、

一人ひとりに手を差し伸べる。


張りつめていた空気が、

静かに解けていった。



夜。

アガメトスはハルトを

私的な天幕へと招いた。


杯を手に、低く語る。


「……ハルト。

一つ、知っておいてほしい」


ハルトは、真っ直ぐに見返す。


アガメトスは深く息を吸った。


「我が国には、

最強の戦士がいる」


「我が息子たちよりも強く、

大陸のいかなる兵よりも」


ハルトは眉を上げる。


「……あなたの“アキレス”か」


アガメトスは頷いた。


「そうだ。

だが――負傷している」


「力ではなく、

罠によって倒された」


「レアンドロスと戦うには……」


彼は、ハルトを真っ直ぐに見据えた。


「セラフィーネの治療が必要だ」


「そして――

お前が、共に戦ってくれねばならない」


ハルトは腕を組む。


「それほどの戦士なら……

なぜ以前、レアンドロスと戦わなかった?」


アガメトスは拳を握る。


「レアンドロスは、神々から力を受けている」


「だが、

我がアキレスは神のために戦わない」


「――俺のために戦う」


「……理解した」

ハルトは静かに答えた。


アガメトスは、杯を傾ける。


「どうだ、黄金の太陽。

我が戦士と、肩を並べるか?」


ハルトは、手を差し出した。


「あなたの戦士が、

俺に加わるなら――」


「俺も、

あなたの戦争に加わる」


アガメトスは、その手を取った。


――初めて。


誇りでも、怒りでもなく。


ただ、必要に迫られて。

オドリアスは、天幕の入口からその光景を見つめていた。


「……ハルト。

アガメトスは口にしないだろうが――」


「君がいなければ、

この軍は明日を迎える前に

死んでいた」


ハルトは、

癒やされ、再び息を取り戻した陣営を見渡す。


「なら、覚悟しておけ。オドリアス」


その黄金の瞳が、

強く、燃え上がる。


「――明日からだ」


「本当の戦争が、始まる」


オドリアスは、

初めて心からの笑みを浮かべた。


「……ようこそ、盤上へ。

黄金の太陽よ」


―つづく―

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