「深淵支配――太陽王の初撃」
◆ 第一の島・混沌の渦中
空が吠え、
海が千年の眠りから目覚めた神のように暴れ狂う。
砂浜では、ナウクリアの神聖なる巨蛸が黒い水柱を巻き上げ、
その奥ではイカロスの巨影がゆっくりと迫っていた。
世界を喰らうためだけに作られた、機械の怪物のように。
ハルトは手をモノリスに置いた。
「時間がない……
今すぐ、お前を制御する。」
《ガチャ召喚:支配ロット》
三つの黄金の光球が彼を包む。
その光に、アウレリアでさえ目を覆った。
ハルトは神蛸へ手を伸ばす。
「聞け。
お前は兵器ではない……
守護者だ。」
巨蛸が咆哮し、
高圧の水流が岩を真っ二つに裂く。
カオリが叫ぶ。
「ハルト! 下がれ!!」
だが彼は退かない。
触手が襲いかかる。
ハルトは手を上げる。
《深淵絶対支配:レヴィアタンの鎖》
黄金の鎖が触手を拘束する──
だが、怪物はそれすら引きちぎった。
アウレリアが歯を食いしばる。
「ハルトでも……完全には押さえられない……」
マルガリータが笑う。
「王サマでも手に負えないモン、あるよねぇ?」
ハルトは奥歯を噛みしめた。
「まだだ……!」
瞳が太陽のように燃える。
「許可は聞いていない!
命令だ、従えッ!!」
巨蛸の動きが一瞬止まり──
さらに激しく咆哮する。
その背後。
海が大きくうねる。
イカロスが腕を持ち上げ、
ハルトへ照準を合わせていた。
ライラ・フロストベインが銃を構える。
「ハルト王に触れさせない!」
風を切りながら岩上に跳ぶ。
セレスが隣に立つ。
「ライラ……補助歌、入れるわ。
3……2……1……」
《紅月のアリア》
《カントゥス・クレッシェンド》
銃弾が光を帯びる。
ライラは息を吸う。
「特射──
《ムーンブレイク・ショット》!」
弾丸が空を裂き、
イカロスの腕装甲を粉砕した。
カオリが絶句する。
「ライラ……今のは……!」
ライラは銃口を軽く吹いた。
「準備運動。」
イカロスは胸部にエネルギーを収束し始める。
セレスが一歩前へ。
「これは……私。」
腕を広げ、空気を震わせる。
《大瀑声:堕落のカント》
咆哮の衝撃は
イカロスの光線を粉雪のように空へ散らした。
ナウクリアの民は衝撃で地に伏した。
モモチがハルトの背後へ現れる。
「今です、我が王。」
巨蛸が再び襲いかかる。
イカロスも砲撃を構える。
だがハルトは高らかに詠唱する。
《完全支配:アハブの輪》
光の鎖が飛び、
神蛸の中央眼に突き刺さる。
巨体が震動し──
崩れ落ちた。
ハルトは一歩前に出る。
「今より……お前は私のものだ。」
巨蛸は頭を垂れた。
アウレリアが感嘆の息を漏らす。
「ありえない……支配した……?」
「それがハルトよ。」
ハルトは巨蛸の背に立ち、指を伸ばす。
「神蛸──
イカロスを叩き潰せ。」
海が裂けた。
触手がイカロスの胴体を直撃。
巨体は崖に叩きつけられ、岩が砕け散る。
アウレリアが高笑いする。
「フハッ! やり返されたわね、このポンコツ!」
ライラが再装填。
セレスが次の歌を構える。
モモチは影へ溶け、
カオリは日輪刀を抜く。
ハルトが手を上げる。
「みんな──
二割の力でいい。」
全員の口角が凶暴に上がる。
✦ ライラ
《クリムゾン・スナイパー・ノヴァ》
✦ セレス
《滅声歌:アビス・オペラ》
✦ カオリ
《斬光烈刀:日割の一閃》
✦ アウレリア
《帝焔:フェニックス・ロア》
四つの必殺が一斉に直撃。
イカロスの上半身が吹き飛ぶ。
火花。
軋む金属。
崩れ落ちる断片。
ハルトは、まだ微弱なエネルギーを放つイカロスの胸部の破片を拾い上げた。
空を見上げる。
その先にアカシが、センサー越しに必ず見ていると分かっていた。
「よく聞け、アカシ。」
ハルトは破片を握りしめ、
バキッ──と粉砕した。
「今のは……二割だ。」
アウレリアが翼を広げ、挑発的に笑う。
「次はもっとマシなのを送ってきなさいよ。」
ライラは銃を肩に担ぎ、冷ややかに言い放つ。
「“天才”さん。
そのうち壊すおもちゃ、無くなるわよ?」
セレスは微笑み、まるで祈りのように。
「来るなら……あなたのお葬式、歌ってあげます。」
島全体が、ドン、と震えた。
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