表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

264/388

「竜の炎と王の重荷」

黄金の太陽帝国に夜が落ちても、ハルトは眠れなかった。


アイリスとクララからの報告。

アカシの逃走。

アルゴシアの混乱。

まだ見ぬはずの“ある神託”の気配が、空気の中でざわめいている。


あまりにも多くの戦線。

あまりにも多くの敵。

あまりにも多くの重責。


ハルトは王城の主塔のバルコニーに手をつき、冷たい夜風を受けながら胸の奥の炎を押さえ込んでいた。


――ハルト……考えすぎよ。


背後から、やわらかい声がした。


アウレリアだった。


人の姿。

白いドレス、雪のような銀髪、暗闇に輝くエメラルドの瞳。

足音はほとんどなく、軽やかで優雅。

しかし、その身体に宿る力は誰よりも強い。


アウレリアはゆっくりと彼の隣へ歩み寄った。


「またその顔ね。

みんなに隠して背負い込もうとする時の、あの顔。」


ハルトはすぐには答えなかった。


彼女はそっと肩に頭を預けた。


「……何がそんなに気になるの?」


ハルトは目を閉じた。


「世界全体が変わりつつある……。

王たちも、帝国も、かつての仲間も……

俺自身が生み出した化け物すら、俺の方へ向かってくる。

そして俺は――」


彼女が顔を上げ、少し距離を詰めた。


「……怖いの?」


「俺のことじゃない。」

ハルトは低く呟く。

「お前たちを……失うのが怖い。」


アウレリアの目がわずかに揺れた。


それは“皇帝”でも“無敗の王”でも“黎明の君”でもない。


ただ、大切な者を深く愛する青年の表情だった。


アウレリアはそっと彼の手を取った。


その冷たい指が、彼の温かな指に絡む。


「ハルト……。

私は戦うために生まれたの。

竜の群れの中で、戦と灰の中で生きてきた。

でも……怖いと思ったことなんてなかった。」


彼は視線を向けた。


彼女の頬はわずかに赤く、どこか脆く、どこか愛おしい。


「――あなたに会うまでは。」


アウレリアは続けた。


「初めてなの……。

失いたくない“何か”ができてしまったのは。

あなたを……失うのが怖い。」


ハルトは彼女の頬に手を添えた。


「俺は消えない。

俺が生きている限り……お前も絶対に倒れさせない。」


唇が重なった。


最初はそっと。

次第に深く、言葉にならなかった想いが流れ込み、熱が重なる。


アウレリアの肩がわずかに震えた。

恐怖ではなく、胸の奥の感情が溢れたせいで。


「ハルト……」

そっと離れ、息を乱しながら囁く。


「あなたって……残酷ね。」


「残酷?」

ハルトは小さく笑う。


「だって……」

彼女は腕を彼の首に回し、額を胸に押し当てた。


「……竜に“自制”を忘れさせるんだもの。」


ハルトは彼女の雪のような髪を指で撫でた。


「アウレリア……」


夜風がふたりを包み込む。

静かで、冷たくて、しかしどこか温かい時間だった。

「……アウレリア。」

ハルトは低く呟いた。

「そばにいてくれて……ありがとう。」


アウレリアは微笑み、彼の胸に指を滑らせた。


「いつまでも一緒よ。

私はあなたの“炎”。

そしてあなたは……私の“太陽”。」


ふたりは寄り添ったまま、夜に照らされた帝都を見下ろした。


静かな時間。

嵐の前の、わずかな安らぎ。


――そしてふたりとも理解していた。


夜が明ければ、世界が求めるのは

血であり、決断であり、力であることを。


しかし今だけは……


この瞬間だけは……


彼と彼女だけが存在した。


竜の娘と、その王。


読んでくださって本当にありがとうございます。

もし少しでも楽しんでいただけたなら、

評価 やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

一言の感想でも、とても励みになります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ