「帝国を崩した嘘/影無き作戦《オペレーション・ソンブラ・シレンテ》」
◆ 第一部 ― 帝国、崩壊の始まり
アルビオル帝国・首都
《鉄の評議の間》
激しい嵐がステンドグラスを揺らし、
貴族たちは互いに怒号を浴びせ合っていた。
皇帝アウレリアノは顔を真っ赤にし、怒りで震えていた。
机の上には
血で封印された一通の報告書。
それは―― アカシに関する極秘報告書 だった。
蒼白な将軍が震える声で口を開く。
将軍ヴァルネク
「陛下……
《アルファ・ゴーレム》は……我々の支配下にはありません……」
アウレリアノが拳を握りしめる。
アウレリアノ
「……どういう意味だ?」
別の隊長が青ざめながら続けた。
隊長ロエン
「核は……人間の魂に依存しています。
魔導師アカシは、その事実を隠していました。」
貴族たちは椅子から転げ落ちそうになる。
議員
「人間の魂だと!?
禁呪にも程がある!」
アウレリアノ
「……どれほどの数を……?」
沈黙。
隊長ロエン
「……六つの村が……消えました。」
皇帝の血の気が引く。
貴族たちは悲鳴を上げた。
アウレリアノ
「では……つまり……」
側近が震える声で言葉を継ぐ。
側近
「ハルトが核を破壊すれば……
ゴーレムはすべて帝国に牙を剝きます。」
評議の間は地獄のような混乱に包まれた。
貴族
「我々は無防備だ!」
「アカシは我らを盾にしたのだ!」
「外界の者め、よくも!」
アウレリアノが玉座を叩きつける。
アウレリアノ
「アカシを探せ!
アヤネもだ!
奴らの首を持ってこい!!」
震える大臣が言う。
大臣
「へ、陛下……
アヤネより伝言が届きました……」
アウレリアノ
「……何と言っている?」
大臣
「『口を出すな。
核を制御できるのは私だけだ』……と。」
貴族たちが凍りつく。
皇帝は何も言わない。
ただ歯を食いしばり……理解した。
帝国は、もはや自分たちの軍を支配していない。
支配しているのは――アカシとアヤネ。
そして、ハルトはすでに動いている。
◆ 第二部 ―《影無き作戦》開始
(モモチ小隊)
中央核区・外縁の森 ― 深夜
月は厚い闇に覆われ、
風は灰を運んでいた。
モモチの小隊は、音一つ立てず進む。
モモチ ― 隊長
カイレン・ダル ― 隠密魔法
メイカ ― ルーン解除
ジノ ― 近接戦闘・護衛
クララ&アイリス ― 遠隔分析
セレネ ― 遠距離処刑・静刃の狙撃手
ミヤコは震える指を胸に当てていた。
モモチが手を上げ、全員を停止させる。
モモチ
「目標、四百メートル先。
隠し研究棟。
強力な結界……血の匂いもする。」
カイレンが地面に触れる。
魔力の光が土から浮かび上がり、
複雑な陣形図を描く。
カイレン
「……アヤネ式だ。
最悪のパターンだ。」
メイカが舌打ちする。
メイカ
「不安定な式。
触れば爆発するやつ。」
ジノ
「爆発って……どの程度?」
メイカ
「顔が吹き飛ぶ程度。」
ミヤコの顔がさらに青ざめる。
木々の奥に、巨大な黒い円筒が現れた。
紫の光が脈動し、
浮遊する紋様が結界を覆っている。
鏡越しにアイリスの声。
アイリス
「注意して……
その式、外部魔力を受けていない……」
クララ
「……つまり、内部エネルギーで動いている。」
ミヤコが震える。
ミヤコ
「そんな……
そんなはず……
ということは、中に……」
モモチが静かに問う。
モモチ
「……中に、何が?」
ミヤコの喉が震える。
ミヤコ
「……魂が……
結界を“燃やされている”……」
小隊全員の表情が鋼のように固まる。
モモチ
「影無き作戦――第一段階開始。」
メイカ&カイレンが外部ルーンを破壊
ジノが感知結界を遮断
セレネが警備兵を無音で処理
モモチが弱点一点を斬り、結界を崩壊させる
――ギィィィン。
金属の割れる音とともに、結界が落ちた。
吐く息が白くなるほど寒い。
ミヤコの足が震えた。
研究棟の内部には――
漆黒の液体を満たしたタンク
砕けた鎧
拷問用のルーン
そして……
中央に立つ、未完成のゴーレム。
核だけが、ない。
メイカが眉をひそめる。
メイカ
「空っぽ……
核はどこ?」
ミヤコは理解している。
胸が痛むほどに。
ミヤコ(震えながら)
「ハナが……
ハナがここにいる……」
モモチが彼女の肩に手を置く。
モモチ
「……感じるのか?」
ミヤコは涙をこぼしながら頷く。
部屋の奥で、
ぞっとするような音が響いた。
「───k……r……ァ……ァ……」
全員が暗闇の方へと振り向く。
何かが動いている。
重い。
苦しむような、内側から漏れる呻き声。
そして――
ずるり。
血のこびりついたゴーレムが姿を現した。
その瞳は、壊れた青い光で揺れ、
怨嗟と痛みに満ちていた。
その体の奥から、確かに聞こえた。
「ミ……ヤ……コ…………」
ミヤコの膝が砕けるように崩れ落ちた。
ミヤコ
「ハ……ナ……!!」
モモチの声が鋭く響く。
モモチ
「フェイズ2だ!
ハルト、今すぐ増援を――!!」
光は揺れ、
空気が裂け、
恐怖が部隊全体を包む。
つづく。




