薔薇の間のささやき
優雅に語られる嘘は……
スパイすら知らなかった真実を暴くことがある。
機会
身を引いた高貴な婦人を装い、エミリスが郊外の邸宅に身を落ち着けて間もなく、彼女のもとに帝国の封蝋が施された招待状が届く。
「ヴァンスリエ公爵夫人は、ヴェルグラスへの文化継承者たちの帰還を祝う仮面舞踏会に、登録されたすべての貴族の出席を求めます。」
リゼット(読み上げながら):
—「出席を求めます」……。
丁寧な言葉の裏にある命令ね。
エミリス:
—そして、脅しに見せかけた絶好の機会。
薔薇の間
舞踏会の舞台は、花に彩られた宮殿。浮遊する噴水と空中に踊る魔法の舞。
エミリスは黒と金の装いで登場する。
リゼットは侍女として同行するが、その目は鋭い。
そこで出会うのは:
エミリスの旧知であるおしゃべり好きなヒルデグラン男爵。酔わせるのが簡単。
微笑みの奥に危険な刃を隠す謎多きセレーヌ侯爵夫人。
帝国の政治に異常な関心を示す、正体不明の外国貴族。
嘘の舞踏
エミリスは仮面の下で無知を装いながら、会話の一つ一つから名前、ルート、噂を記憶していく。
セレーヌ侯爵夫人:
—「今や暁の王が知識人を買っているとか…。
ロマンティックだと思わない? 洗練された反逆よ。」
エミリス(微笑んで):
—「本は剣よりも恐ろしい。開くべき一冊さえ分かっていれば。」
その間に、リゼットは給仕に扮したスパイを誰にも気づかれずに排除していた。
思わぬ収穫
休憩時間、エミリスとリゼットはバルコニーでひと息つく。
そこで、二人の貴族が密かに話す声を耳にする。
内容は、帝国がゴーレム技術を基にした新兵器を隠された倉庫で試験しているというもの。
エミリス:
—「それこそ、ハルトが欲しがっている情報。」
リゼット:
—「今夜動く?」
エミリス:
—「いや。今は観察。
帝国が自らの手で……罪を露わにするのを待つのよ。」
その夜、リゼットは「影の通信術」を使って、ハルトへ暗号化されたメッセージを送信する。
「潜入成功。
庭には亀裂あり。
毒は、花々の間にまかれたり。」




