「沈黙の召喚」
スパイは“嘘”で忍び込む。
だが――
真の守護者には、言葉すら不要。
ハルトの決断
エミリスがヴェルグラッセへ向かう直前。
ハルトは戦略召喚の間にモモチとカオリを呼び出す。
ハルト:
――彼女の任務は、
時間がかかる。困難だ。そして孤独だ。
……だが、完全に“一人”ではない。
カオリ:
……誰かを同行させるの?
モモチ(仮面の下で微笑む):
誰か、じゃない。
何か、だ。
──儀式開始──
魔法陣の中央に、金色の紋章が浮かび上がる。
ハルトはその中心に、一本の黒い羽根をそっと置く。
ハルト:
――極秘召喚:ガチャ型“潜入護衛タイプ”。
魔力が収束し、
魔方陣から一人の少女が現れる。
高身長。冷ややかで優雅。
漆黒のメイド服を纏い、ワインのような赤い瞳を持つ。
【召喚結果】
名:リゼット・ノワール
クラス:沈黙の護衛 / 潜入メイド
スキル:「迅速服従の封印」(殺さずに無力化する)
パッシブ:「無言の誓約」(エミリスの命にのみ従うが、ハルトに密かに報告する)
──初対面──
エミリスは懐疑の目で彼女を見る。
エミリス:
……で、あなた何?
綺麗な髪型の“影”か何か?
リゼット(完璧な礼をしながら):
――ご主人様のメイドにして、影、そして盾です。
私の刃には、“許可”は不要です。
“意志”があれば、それで十分。
モモチは静かに頷く。
モモチ:
彼女は裏切らない。
なぜなら――
心を持たずに生まれたから。
そして今、
それを与えられるのは、あなただけだ。
エミリスは息を呑む。
この任務は、もう遊びではない。
本物の戦場が、ここから始まる。
リゼット:
――ご指示は、ございますか? お嬢様。
エミリス(少し間をおいて):
――護って。
私が道を誤ったら、正して。
リゼット(柔らかな声で):
――もし誰かが、あなたを殺せと命じたら?
エミリス(笑みを浮かべて):
――きっと、私より先に気づくわ。
そしてその時、
何をすべきか、あなたはもう分かってるはず。
転移門が光を放つ。
堕ちた貴族と、その完璧なる影。
ふたりは、帝国の心臓へと足を踏み入れる。




