「恐怖には名がある」
帝国は“警告”を送らない。
幽霊を送る。
──夕暮れの噂──
夜が、暁の王国の都に降りる。
一人の衛兵が姿を消す。
一人の使者が戻らない。
帝国の噴水に、死んだカラスが投げ込まれる。
最初に異変を感じたのはモモチだった。
それは…“懐かしくも歪んだ”気配。
モモチ:
――ただの暗殺者じゃない。
帝国の人間だ。
誰かを狙って来た。
──対峙──
宮殿の東棟を一人で歩いていたエミリス。
その前に、フードをかぶった影が立ちはだかる。
聞き覚えのある声が、静かに告げる。
???:
――お前は昔から、“迷い”を隠すのが下手だったな、エミリス。
彼女は振り向く。
立っていたのは、デヤン・ヴィルモン。
従兄であり、かつて帝国の宮廷での教官だった男。
貴族の装い――
だが、胸元に隠された紋章は、「沈黙省」。
帝国の裏で“裏切り者”と“誤り”を処理する機関の証。
デヤン:
――お前が手紙を燃やしたのを見た。
あの子供を救ったのも、全部見ていた。
……本気で、“選べる”と思っていたのか?
エミリス:
――もう、選んだわ。
──逃げ場はない──
デヤンが一歩前へ出る。
帝国の“誓い”で鍛えられた呪われた短剣を起動させる。
デヤン:
――話に来たわけじゃない。
“思い出させに来た”。
お前が誰なのかを。
ヴィルモン家の娘であるということを。
――ヴィルモンは、裏切らない。
……生き残るんだ。
エミリスは魔法で応戦するが、劣勢。
デヤンがとどめの一撃を放とうとした、その瞬間――
無数の手裏剣がその刃を弾き飛ばす。
モモチ(闇の中から):
――ここはお前の居場所じゃない、暗殺者。
デヤンは数歩退く。
デヤン:
――なるほど。
選んだんだな。
――なら、“奴らの一人”として死ね。
彼は闇の煙と共に姿を消す。
だが、去り際に魔法で壁へと書き残す。
「帝国は、忘れない。」
エミリスはその場に膝をつく。
涙は流さない。
叫びもしない。
ただ、苦しげに息を吐く。
モモチが静かに近づく。
モモチ:
――大丈夫か?
エミリス(震えながら):
――……違う。
でも、初めてわかったの。
私が何のために戦っているのかを。
この章で、エミリスが帝国との過去に立ち向かう姿に心を打たれましたか?
緊張感と“本物の危機”に引き込まれたなら、評価を。
彼女が“仲間”としてさらに成長する姿を見たいなら、お気に入りに追加して。




