見えざる道 — 渡るか、消えるか
ただ静かに動くだけでは足りない――
心の声も、沈めなければならない。
なぜなら、疑念すらも「音」だからだ。
候補者たちは霧の広がる場の前に並ぶ。
その前方、50メートルの区域には:
オーラに反応する魔法の印
現実的な動きの幻影の衛兵たち
魔法の雨:地面を強く踏むと、滴が震える
モモチ(高所から):
「指令は単純だ。気づかれずに向こう側まで渡れ。
印を発動させた者、衛兵に“見られた”者、音を立てた者……
即・脱落だ」
「だが渡りきれば……お前たちは“影”への第一歩を踏み出す」
最初に進み出るのはリリアンヌ。
素早く、自信に満ちた動き。
彼女の身体は、まるで影のように滑る。
衛兵の動きのパターンを視覚記憶で予測し、
小石を滑らせて罠を起動させ――それを回避する。
雨の水たまりを利用して、偽の足跡を残す。
リリアンヌ(微笑みながら):
「貴族は秘密を隠すけど……路地裏は生き方を教えてくれる」
✦ 結果: 成功(通過)
盲目の少年ミカは、完全な静寂の中を進む。
指先を地面につけ、
雨の一滴一滴の震えを「聞く」。
魔法の印はそれぞれ「周波」を放つ。
彼はそれを察知し、進行方向を調整。
温度変化を感知して、幻影の衛兵を回避する。
ミカ(ささやくように):
「都市もまた、呼吸している……リズムを知ればいい」
✦ 結果: 成功(通過)
ロシャは恐れずに進む。
一直線に歩み、1歩ずつ計測するように踏みしめる。
軍の訓練によって鍛えられた、統制のとれた動き。
だが、1つのミス。
幻影の衛兵と目が合った――
見られてはいないが、身体が無意識に緊張する。
モモチ(上から):
「心を制せ。身体は口が語らぬものを叫ぶ」
ロシャは目を閉じ、深呼吸し、修正する。
そして――通過する。
✦ 結果: 成功(警告あり)
ソルマールは舞台役者のように動く。
小さな鏡を使い、光を反射させて「偽の影」を作り出す。
幻影の衛兵の背後に、小さな幻影を投げて注意をそらす。
魔法の印を避けるため、木の板の上を歩く。
すべてを、笑顔で演じながら。
ソルマール(衛兵に向けて):
「さあ、ご覧あれ――影は舞台の上で消えるのです」
✦ 結果: 成功(通過)
イナリは舞を舞うように滑る。
その足取りは、地面をかすめるだけ。
魔法のスカーフで霧を一部払い、
間一髪で魔法の印を避ける。
だが最後、隠し持っていた短剣に雨粒が当たって――
チン……!
魔法の印が、一瞬反応する。
モモチは静かに記録をつける。
イナリ(ため息混じりに):
「もっと低く踊るべきだったわ」
✦ 結果: 失格
試験結果
40名の候補者のうち、通過したのはわずか8名。
その中には、リリアンヌ、ミカ、ロシャ、ソルマールの姿があった。
モモチ:
「貴様らは最初の境界を越えた。
だがまだ、名もなければ、顔も過去もない」
「これより先――お前たちは『暁の影』となる」
上空から、ハルトは透明の結界に身を隠しながら、じっと見つめていた。
ハルト(心の声):
――彼らには、兵士にはないものがある。
力ではない……
目的だ。
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