鉄の都市 ― 息をしない敵
現代の戦争は、もはや剣だけで戦われるものではない。
買われ、売られ、
──そして時には、権力の“共犯”によって作られる。
捕獲されたゴーレムを解析した結果、
リース、クララ、アイリスはさらに深い真実に辿り着いた。
リース:
「これはただの兵器じゃない……合法な魔法流通経路がある。
登録されてる……“公式に”。」
クララ:
「でも、この印……アルビオル帝国の紋章よ。」
アイリス(声が冷える):
「つまり帝国は──これらを買い、
私たちを相手に“実戦テスト”してるってこと……?」
ハルト(眉をひそめて):
「それは、ただの隠密攻撃じゃない。
外交的な“挑発”だ。」
その場でデイヴィッドが魔法の竪琴を奏で、
“交易魔法地図”が空中に投影される。
中心に浮かび上がった都市の名──
「フェルム・ホールド」
別名:「鉄の都市」
カオリ:
「名前だけは“自由都市”。でも──帝国の金が入った時点で、
そこはもう“工場”になる。」
モモチ:
「表向きは自由、裏では量産地。
帝国が戦争を売ってる拠点よ。」
ハルト(地図を見つめながら):
「なら──この目で見に行こう。」
ハルトは王としては動けない。
代わりに、潜入チームを送る。
カオリ・ミナセ: 戦略家であり貴族。商業使節として潜入。
モモチ: 潜入の達人。魔法探知ですら察知できない影。
アルセア: 元帝国将軍。いまだ活きる内通ルートを持つ。
ハルト(通信石を手渡しながら):
「破壊するためじゃない。
“暴く”ために行ってほしい。」
カオリ:
「……もしバレたら?」
ハルト:
「そのときは──
“誰が戦争を売っているか”、
世界が知ることになる。」
鉄の都市・フェルム・ホールドは、まさに魔導機械の奇跡だった。
空を走る列車。
自律するゴーレム。
空中に浮かぶ製造工場。
一見、文明の進歩。
だが──よく見ると、その裏側は別の“真実”で構成されていた。
ゴーレムが街を巡回し、
人間たちは1日16時間働き詰め。
裏路地には、魂の抜けたような労働者の“残骸”──
モモチ(屋根の上から呟く):
「これは技術じゃない。
“ネジと歯車でできた奴隷制”だ。」
アルセア(目を伏せて):
「これが……私が仕えたはずの帝国?
今の帝国は、“未来”を売り払い、“支配”に変えている。」
カオリは単身で、投資者たちの会合に潜入。
そこで目にしたのは──
歯車の玉座に座る一人の男。
──タカシ・ウメダ
タカシ:
「ようこそ、魔導産業革命へ。
感情の代わりに、効率を。
理性の代わりに、命令を。
──それが、“新しい人類”の形だ。」
カオリ(魔法のヴェールの陰で呟く):
「この男は……戦争が欲しいわけじゃない。
“人間”を、いらなくしようとしてる──」
モモチ、カオリ、そしてアルセア──
彼女たちは、わずかの差で追跡を振り切り、命からがら鉄の都市から脱出した。
スチームの煙と鈍い警報音の中、
彼女たちは狭い路地を駆け抜ける。
そして、ある壁に──
一枚の貼り紙が風に揺れていた。
「新たなる循環の秩序」
──未来に王は不要。
必要なのは、ただ“服従”のみ。──
その言葉に、誰もが一瞬足を止めた。
アルセアは、無意識に胸に手を当てる。
そこには、かつて帝国軍の将として身に刻んだ誇りがあったはずだった。
アルセア(低く、苦く呟く):
「……ハルト……
これはもう、“あなた一人”の問題じゃない……」
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