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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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支配の代償

ガラスの宮殿は、月城レイナの内に秘めた怒りで震えていた。

魔鏡には、日に日に広がる亀裂が映っている。

支配の網が、確実に崩れ始めていた。


レイナの前に立つのは、彼女に最も忠実な侍女三人。

その青い瞳には感情の欠片すらなく、完璧な操り人形だった。


—「見つけて」レイナの声は氷のように冷たかった。

—「私の王国を汚す“疑念”の使徒を……そしてその首を持ち帰りなさい。」


三人の侍女は深く頭を下げ、青い光の閃きと共に消え去った。


レイナは深く息を吸い込み、不安を胸の奥に押し込んだ。

誰かが内部から魔法を破っているのは明らかだった。

だが、その「誰か」がまだ分からなかった——


街の北、森の中。

カオリとモモチが木々の影に身を潜め、息を殺していた。


空気は緊張に満ち、東から近づいてくる魔力の波動が葉を震わせていた。


モモチはクナイを研ぎながら、紫の瞳を鋭く光らせた。

—「三体。速い。正確。そして……心がない。」


—「レイナの人形たちね」

カオリが低く答える。

—「まだ本人は動かない……今は。」


カオリはそっと目を閉じた。

《絶対共感》の力で、接近する存在の“内側”を探る。

空虚な精神。封じられた意志。沈黙した魂。


—「何も感じていないわ。恐怖も、痛みも。あるのは命令だけ。」


—「なら、忘れられない“記憶”を与えましょう」

モモチは微笑み、闇の中に消えた。


戦場として選ばれたのは、苔と蔦に覆われた古代の遺跡だった。

忘れ去られた神殿のようなその場所の地下には、ハルトのマナと繋がる金の紋章がカオリによって刻まれていた。


三人の侍女がその地に足を踏み入れた瞬間——

空気が金色に染まり、地面が爆ぜた。


ひとりは爆炎に包まれ、空高く弾き飛ばされる。

もうひとりは守りを試みるも、背後に影が現れる。


—「感情なきまま生き、感じぬまま死ね」

モモチのクナイが静かに首筋を裂いた。


最後の一人がカオリに向かって突進してくる。

だが彼女は一歩も動かなかった。


黄金のオーラが全身を包み、風のようなエネルギーが旋回する。

—「許して、ハルト……彼女たちではなく、その“意味”を。」


《発動:魂の逆流(Reversal Soul)》


侍女の身体が止まる。

その精神支配の術が砕け、

一瞬だけ、彼女の瞳が“人間”のものに戻った。


—「……ここは……どこ……?」

弱々しい声がこぼれる。


カオリは彼女を支え、静かに答えた。

—「安らぎの中よ。」


金色の光が彼女を包み、やがて輝く塵となって風に舞った。


数時間後。夜明けとともに、王国は異様な光景に震えた。


ひとつの遺体が、王城前の広場に晒されていた。

王の紋章に吊るされたその身体には、金色の文字が刻まれていた。


《黄金の太陽は見ている》


もう一体は、レイナの青の宮殿の門に布に包まれて置かれていた。

その空ろな目には、ただひとつの感情が映っていた——“恐怖”。


レイナはバルコニーからその光景を見つめていた。

震える手が欄干を握る。


初めて、その脈が速くなった。


—「……私に挑むだけじゃない……

 宣戦布告、というわけね。」


指が白くなるほど拳を握る。

魔鏡の亀裂が広がり、

それに比例して彼女の魔法は不安定になっていく。


その遥か遠く。

黄金の光に包まれた洞窟の中で、ハルトは瞑想を続けていた。


身体は数センチ浮かび、黄金の魔法陣に囲まれている。

浄化された魂、結ばれた絆、そのすべてが《王のガチャ》の核を育てていた。


彼のマナは、まるで果てなき黄金の海のように広がっていた。


洞窟の入り口で、アウレリアがその様子を見守っていた。

—「……この魔力、どこまで膨らむの……?

 あれはもう、人の領域じゃない……」


銀髪を揺らしながら、カオリが静かに入ってくる。

—「成長しているの。

 《ガチャ》は召喚するだけじゃない。

 感情に応じて“進化”するのよ。」


ハルトが目を開いた。

その瞳の金の輝きは、これまでになく強く、確かな光を放っていた。


—「均衡が変わる」彼は静かに言った。

—「青の王国は“恐怖”を知った。

 次に与えるのは……《真実》だ。」


強い風が吹き、洞窟の松明を消し去った。


《黄金の太陽》はもはやただの噂ではない。

それは——運命を揺るがす“運動”そのものとなっていた。

この章では、レイナは最も忠実な従者たちを敵討伐に送り込みますが、香織と桃地は彼らを致命的な罠に陥れ、国王とレイナの双方に恐ろしいメッセージを残してしまいます。

一方、ハルトは進化を続けます。彼のマナは成長し、ロイヤルガチャは新たなレベルへと覚醒し、彼の存在は王国にとって真の脅威となります。


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