切られし翼 ― 暁の待ち伏せ
空は燃えていた――だが、それは栄光のためではなかった。
アウレリアは負傷し、力尽きかけた状態で部隊の残骸と共に後退していた。
かつて自分のものだと信じていた北は、今や影と罠の戦場となっていた。
低空を飛ぶアウレリアの魔導翼は、不規則な火花を散らしていた。
竜たちは壊滅状態。
残された数体だけが、彼女を守る盾のように従っていた。
アウレリア(叫ぶ):
「V字陣形! 戦術的撤退よ! 私のことは気にせず進みなさい!」
地上には煙と瓦礫が広がっていた。
彼女は〈氷の山脈〉での再編成を目指していた――
だがハルトは、それすらも読んでいた。
脱出用の峡谷に到着したとき――
霧の中に、一人の人影が立っていた。
マルガリータ・アルバレス――〈黒衣のチャーラ〉。
交差した二丁拳銃に、振動する鎖が雷のような魔力を帯びていた。
その傍らには、黒いワイバーンにまたがるエリス・ダルクレンヌ。
雷槍が空を指し、冷たい目がアウレリアを見据える。
そして、影から現れたのはエイルリスとフロスト。
純粋な氷を操り、脱出口を封鎖した。
マルガリータ:
「まさか〈暁の王〉が退路を一つでも残すと思ったの?」
エリス:
「個人的なことじゃない。けど…戦略的にはね」
エイルリス(冷たく):
「北は……お前のものじゃない」
アウレリア(唸るように):
「じゃあ……この翼を力ずくで奪ってみなさい!」
アウレリアは咆哮した。
炎が両手から噴き出し、彼女はエリスに向かって空中突撃。
雷槍と炎が激突し、空に火花が散る。
マルガリータは鎖を鞭のように操り、魔力弾を放って竜たちを撃ち落とした。
フロストは氷の波を広げ、一体の竜の翼を凍てつかせた。
アウレリア(激怒して):
「誰にも……私を屈服させられはしない!」
エイルリスは瓦礫の間をすり抜け、魔刃の短剣をアウレリアの翼に突き刺した。
アウレリアは叫び声を上げ、バランスを失い――墜ちた。
立ち上がろうとする前に、マルガリータが鎖を巻きつけ、彼女の胴を締め上げる。
そのまま地面に叩きつけ、動けなくした。
マルガリータ(銃口を向けながら):
「これは私怨じゃない……これは“裁き”よ」
血に濡れた額で、アウレリアは必死に息をしながらも身体を動かそうとする。
アウレリア(かすれ声で):
「……私はただ……仲間を……守りたかっただけ」
エリス:
「私たちも同じよ」
エイルリス:
「でも……お前が守ったのは、“間違った側”だった」
最後の力を振り絞り、アウレリアはもう一度炎を放とうとした――
だがフロストが、純粋な氷で彼女の手を封じた。
そして――すべてが終わった。
冷え込む夜、ハルトは塔の上から敵の奪われた軍旗を静かに見つめていた。
その足元では、アウレリアが頭を垂れ、四人のかつての仲間たちに連れられて歩いていた。
金属の翼は砕け、
その心――完全には折れていなかった。
ハルト(低く呟く):
「おかえり、アウレリア」
そして――
北の風は、〈暁〉に膝をついた。
―――
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