鎖と影 — 勝利の残響
南の平原は、まだ煙を上げていた。
空気には熱と灰が漂い、
戦いは終わった――
だが、その“代償”は、今始まったばかりだった。
マグノリア・アルバレスは、まるで酒場の歌に合わせるようにリズムを刻みながら、
リボルバーを布で拭いていた。
その少し先、破壊された帝国の大砲の上にはモモチが座り、
静かに漆黒の短剣を研いでいた。
マグノリア(遠くを見ながら):
「悪くないわね。火花に金属、ちょっと派手すぎるくらいの一日って感じ」
モモチ(視線を刃から外さず):
「……騒がしすぎる」
マグノリア(にやりと笑って):
「あんたが静けさ担当。あたしが爆発担当。
……お茶と火薬みたいなもんね」
モモチ:
「あんた、よく喋る。
……でも、狙うべきところには正確に当てた。
それは、評価に値する」
沈黙。
二人は、遥か遠くに翻る暁の金の旗を見上げる。
マグノリア:
「……ほんとに勝ったと思う?」
モモチ:
「“空間”は取った。
でも……あの人が盤上の向こうにいるなら」
マグノリア:
「……セレスティーヌ」
モモチ:
「……彼女は、“まだ”負けたことがない」
その頃――
セレスティーヌ・ルース・エインズワースは、戦術地図を前に佇んでいた。
南部――赤で塗り潰されていた。
完全喪失。
補佐官:
「南部部隊は後退、司令官たちは……消息不明です」
セレスティーヌは目を閉じ、静かに息を吐く。
隣に置かれた漆黒の槍が、小さく震えた。
補佐官(不安げに):
「将軍閣下……ご命令は?」
――沈黙。
数年ぶりに、彼女はすぐには言葉を返さなかった。
セレスティーヌ(低く):
「どうやって……
あの“炎の女”、
そして“影の者”が……」
眉をひそめる。
「連携を――侮ったわ」
魔法の鏡に映るのは、
帝国の旗を引きずりながら騎乗するマグノリア。
その背後を、設計図を抱えたモモチが静かに歩いている光景。
セレスティーヌ(冷たく):
「勝利とは、叫ぶことで得られるものではない。
……だが、あのふたりは――
私の心を“揺らがせた”」
その拳が、一瞬だけ震えた。
すると、室内に光が走る。
自動起動された魔導ファイルが浮かび上がる。
《アクセス認証完了:プロトコル17 — 輪廻の遺産》
セレスティーヌはその記述を読む。
「――“暁が戦線を突破した時、
二度と目覚めるはずのなかった者たちを呼び覚ませ”」
その瞳が細くなる。
セレスティーヌ:
「……ハルト・アイザワ。
お前が――“不可能”を起こしたのね」
マグノリアとモモチは、燃え残る煙の中を背に歩いていた。
マグノリア(ぽつりと):
「勝ってさ、一番イヤなの、わかる?」
モモチ(即答で):
「……敵も学ぶこと」
この章、勝利の余韻と新たな脅威の影を感じましたか?
マグノリアとモモチの連携が「最高のコンビ」に見えたら、評価を!
お気に入りに登録して、禁忌の《プロトコル17》の真相を一緒に追おう!




