同盟、戦略、そして迫る嵐
数日ぶりに、空が晴れわたっていた。
まるで――嵐の前に訪れる、最後の深呼吸のように。
聖なる広場に、「暁の軍」が集結する。
召喚者たち、兵士、戦術家たち……そして、その先頭にはハルト・アイザワの姿。
ハルトは声を張り上げた。
「今日は祝う日じゃない。
今日は――“備える”日だ。
これから来るのは、ただの戦いじゃない。
それは、我々がずっと待ち受けていた“嵐”だ」
召喚者たちは頷く。
カオリ・ミナセは剣の柄を握りしめ、
マグノリア・アルバレスは双銃に魔力をこめる。
モモチは静かに、空気の流れと敵の気配を読む。
ハルトが広げた地図には、三つの攻撃軸が示されていた。
北・南・中央――すべてが鍵となる。
「君たちにそれぞれの道を任せる。
だが同時に――“予測不能”にも備えよ」
その頃、敵陣の指令塔――
セレスティーヌは杖を置き、漆黒の槍を手に取った。
「好きに会議をすればいい。
好きに策を練ればいい。
――私は、すでに“戦場”にいる」
命令は冷酷に、次々と下されていく。
・高速展開
・補給線の切断
・部隊の撹乱と分断
「暁」に影が差す。
その均衡が、じわりと揺らぎ始める。
空は暗く、
風は遠くから太鼓のような音を運び、
“暁”は動き出した。
南――
マグノリアは鎖と銃を自在に操り、前線を突破。
後方――
モモチは音もなく潜入し、敵の背後に溶け込む。
中央――
カオリは精鋭の親衛隊を率い、真っ向から進撃。
北――
ハルトは黄金の剣を掲げ、力強く叫ぶ。
「太陽の名のもとに――
自由のために、進め!」
そして――アルビオールは即座に反応した。
進軍が、始まった。
嵐が、ついに牙を剥いた。
戦いの炎が広がる中――
ハルトは初めて、ある感情を抱いた。
それは、セレスティーヌの戦略に対する「敬意」だった。
彼女は彼が弱いと見ていたのではない。
彼が“自分を強いと信じている”ことを、読んでいたのだ。
――その瞬間、彼は悟った。
ただ強いだけでは足りない。
彼女に勝つには、それ以上が必要だ。
予測を超えろ。
思考を超えろ。
「強さ」だけでは、もう届かない。
――“読まれない存在”になるしかないのだ。




