過去の影、現在の氷
風が灰色に染まった。
雨でも雪でもない――ただの囁き。
「最も暗き夜明けの前に訪れる夜だ」と。
太陽と月のように異なる二人――エリーズとエイルリス。
すべてを変えるかもしれない任務が、今、彼女たちに託されていた。
ハルトは、中央塔でふたりを迎えた。
「セレスティーヌは、力だけで攻めているわけじゃない。
我々の内部にも潜入者を送り込んでいる。
古代スリアの遺物――奪われた。
“永遠の冬”の呪文を発動するために必要なものだ」
エリーズは拳を握りしめる。
「それはアルビオールのもの……私の監視下で消えたのよ」
エイルリスは目を伏せる。
「私も……魔力の囁きを感じたのに、捉え損ねた。
痕跡は……私の氷回路にまで届いていた」
ハルトは彼女たちを見つめ、厳しく言う。
「今度は、どちらも失敗できない。
共に行動する。
目的はただ一つ――遺物の起動を阻止することだ」
風景は変わる。
黒氷に覆われた山々。
黒曜石の塔。
マナの槍を持ったフードの衛兵たち。
エリーズは静かに歩く。
その目は鋭い結晶のようだった。
エイルリスは白いマントを翻し、気配を消す。
エリーズ(小声で):「高貴な者がスパイになるなど……
家系は何と言うかしら?」
エイルリス:「召喚された存在が、任務に失敗するなど……
システムは受け入れる?」
ふたりは目を合わせ、そして前へ進んだ。
指令塔の地下――
冷えきった回廊を抜けながら、エイルリスは魔力を抑制する結界を展開する。
「氷結エリア、音響ゼロ」
エリーズは古文書から地図を取り出す。
「ここだ……我が先祖が、アルビオールとの条約を交わした場所。
……そして今、裏切られた場所」
魔法の鏡が並ぶ回廊に入ると、自身の映像が無数に反射される。
エイルリス(小さく笑って):「ようやくね。嫌いな自分と向き合う時が来た」
エリーズ:「選んだわけじゃないけど……終わらせることはできる」
重い鋼の扉が背後で閉じた。
「ここだわ」
部屋の中心に、例の遺物が青白く輝いていた。
精鋭のガードたちがその周囲を守る。
――戦闘、開始。
エリーズは穏やかな光の魔法を解放する。
「浄化の輝き――!」
エイルリスは氷の閃光で遺物の魔法障壁を砕く。
「両刃の氷晶!」
ガードたちは倒れ、
エイルリスは舞うように避け、
エリーズは軽剣で隙を突き進む。
エリーズ:「脱出路は確保したわ!」
エイルリス:「信号チャネルを遮断する!」
金と氷の風が融合し、封印陣を作り出す。
「遺物、確保」
だが――警報が鳴り響いた。
その瞬間、セレスティーヌの気配が影となって現れる。
「よくやったわ……今のところは」
ふたりは構える。
戦いは終わっていない。
今度は――知略の戦場だ。
アーティファクトを確保し、エリーズとエイルリスは脱出した。
アルビオールの兵たちが空から降下する中――
空ではアウレリアが咆哮を上げ、援護を示す。
地上ではカオリが敵の列を切り裂き、進路を開いていた。
駆け抜けながら、エリーズは隣を走るエイルリスに視線を向ける。
「……ありがとう。私が自分を信じられなかった時、信じてくれて」
エイルリスは、かすかに笑った。
「私こそ……氷も癒せるって、思い出させてくれてありがとう」
夜明けが空を染め、
ハルトが待つ地点が近づく中――
その時、地平線の向こうから声が響いた。
「……これは、まだ始まりにすぎない」
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