十字の炎──黎明の乙女たち
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戦は、力だけで勝てるものではない。
勝つために必要なのは──
"スタイル"、"連携"、
そして、"くじけぬ意思"。
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セレスティン軍の猛攻が続く。
黎明の陣は割かれた。
だが、崩れてはいない。
なぜなら、召喚された戦乙女たちは一歩も退かなかったからだ。
彼女たちは戦った。
──炎で、
──影で、
──そして鎖に包まれた鋼で。
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南部戦線、地は血で赤く染まっていた。
マグノリア・アルバレスは、帽子を斜めにかぶり、
口元で細い枝を噛みながら、魔法銃に装填する。
「二面作戦ね……
じゃあ、踊るしかないでしょ。──アルビオール♪」
彼女の戦闘スタイルは唯一無二だった。
──魔弾と鎖の融合銃。
撃てば絡み、
絡めば回り、
回れば叩き、
そして戻る。
まさに──火薬と鋼の舞踏。
敵兵:
「なんだこの女は!? 悪魔か!?」
マグノリア(くるりと回転しながら射撃):
「死の実習よ、坊や♡」
その弾丸はリズムを刻み、
彼女の回転は戦場に死と音をもたらした。
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その頃、アルビオール軍の補給基地では、夜の静寂を裂く声がひとつ。
──いや、正確には「声にならぬ声」。
モモチ。
仮面をつけ、裸足で地を踏む影の忍。
彼女はすでに敵地深くに潜入していた。
声は出さず、
足跡は残さず。
「スキル発動:内なる影──敵の魔力線に溶け込み、完全な隠密を得る」
見張りたちは、一人ずつ消えた。
悲鳴もなく。
響くのは──鋭い鎖の切断音と、その後の沈黙だけ。
敵隊長(赤い墨の痕を見て):
「……これは、何の印だ?」
モモチ(闇の中から低く):
「“警告”。──聞く耳がなかったようね。」
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マグノリアとモモチは友ではなかった。
だが、同期された兵器であった。
ハルトの魔力信号により、ふたりは「双蝕作戦」を同時発動。
マグノリアが閃光弾で敵の視線を誘導し、
モモチがその混乱の中で幹部級の指揮官たちを仕留めていく。
9分足らずで、南部戦線は崩壊した。
***
小競り合いが終わった後──
マグノリアは戦場を歩く。
マグノリア:
「……騒がしかったわね。血もいっぱい。
でも、勝ちは勝ち。」
モモチ(無音で隣に現れる):
「あなたは音を立てすぎ。
私は“仕上げ”をしてるだけ。」
マグノリア(口元で笑って):
「でも、嫌いじゃないでしょ? あたしのやり方。」
モモチ(空を見上げながら):
「まだ、決めてない。」
ふたりは、微かに笑う。
ほんの一瞬だけ。
そして、ふたたび歩き出した。
──戦火の先へ。
──黎明の、その向こうへ。
高き塔の上──
セレスティンは沈黙の中で、地図に刻まれた印を見下ろしていた。
二つの戦線──失陥。
補佐官:
「南部、そして後方支援……崩壊しました。」
セレスティン(静かに):
「……当然の結果よ。
ハルトの“個人兵器”たち相手なら。」
彼女は金の羽根ペンを取り、地図の上に二つの名を書き記す。
“マグノリア”
“モモチ”
そして、唇の端にかすかな笑みを浮かべながら、こう囁いた。
「……危険な駒。
だが──これはまだ、“前半戦”にすぎない。」
――つづく。




