影が語らぬもの
王宮の松明が西の翼廊の城壁沿いでちらついていた。
穏やかな風が遅咲きの花の香りと、偽りの静けさを運んでいた。
リアナは茂みの間をゆっくりと歩いていた。
エリラは彼女の隣で、しおれた花を拾い、平和のしるしとして差し出した。
胸元のブローチは、まるで新たな役目を受け入れていないかのように、かすかに脈打っていた。
エリラ
「リアナ…一緒に来てくれてありがとう。」
リアナは微笑み、エリラが差し出した花を受け取った。
リアナ
「こっちこそありがとう。時々…ただの“選ばれし者”でいなきゃって思ってしまう。でも私は、それだけじゃないの。」
エリラは優しく彼女を見つめた。
エリラ
「あなたは私の友達よ。それを選ぶわ。…楽だからじゃなくて、あなたが価値ある人だから。」
短い沈黙のあと、エリラはささやいた。
「それに…怖いの。あなたを失うのが。」
リアナは花を自分のマントのそばに置いた。
リアナ
「じゃあ、一人でなんてやめよう。私がそばにいるから。」
その頃、ダリエン・ヴァレンハートは武器の間でヴェレンドラ・オーレルウィンと訓練していた。
剣のぶつかり合う音が響く中、ダリエンは一撃を止め、深く息を吸った。
ダリエン
「心配なんだ。もしリアナが“器”で、まだ見えていない敵がいるなら…危ないのは任務だけじゃない、彼女自身だ。」
ヴェレンドラは剣を下ろし、彼を見た。
ヴェレンドラ
「だったら、その敵が現れたときのために、備えておきましょう。」
シーン3:神々のささやき
自室の奥で、リアナは目を閉じていた。
フレイヤがささやいた。
「言葉よりも…心に秘めたものが真実を語るのよ。」
イシスが低くつぶやいた。
「敵の剣はすでに夜に掲げられた…探されたのではない、狙いを定めたのだ。」
リアナが目を開けると、ブローチは確かな鼓動で光を放っていた。
その静寂を、茂みの奥からの小さな軋みが破った。
リアナとエリラが振り向く。
黒衣の人物が現れた。
低くかぶったフード、漆黒の斧、その刃には赤いルーン。
その存在は、夜の吐息すら凍らせた。
フードの男
「選ばれし者よ…この斧からは逃れられぬ。」
リアナが一歩前に出た。
エリラが叫んだ。
エリラは後ずさりしながら「やめて…!」と声を漏らす。
リアナは杖槍を構えた。
リアナ
「六つの力の絆よ…第七の影よ…守護せよ!」
杖槍が青緑の光で炸裂し、風のバリアが彼女を包んだ。
敵は斧を振り上げ、赤いルーンが弾け、夜に深い咆哮が響いた。
戦いは短く、しかし凄絶だった。
エリラも助けようとしたが、現れた護衛に押し倒されてしまった。
リアナは一人、フードの男と対峙し、水影と雷の力を組み合わせた。
無音の雷が斧を切り裂いた。
敵は傷を負い、森の影に消えていった。
だが去り際に、こう呟いた。
「やがて…誰の血が先に流れるかがわかる。」
リアナは息を荒くしながら立ち尽くしていた。
エリラが駆け寄る。
エリラ
「だ、大丈夫…?」
リアナ(かすかな声で)
「ええ…でも、あいつ…私の名を知っていた。」
護衛たちが襲撃現場を囲む中、リアナは壊れた斧を拾い上げた。
ブローチはまばゆい光を放った。
この黒衣の人物は何者か?
預言と、もう一人の“器”との関係は?
そして神々の間では、声がより重く響いた。
オーディン
「秘密が傷と化す時…刃は落ちる。」
ウー・クン
「鏡像は砕けた…今や斧を手に歩むのみ。」
夜はもはや安らぎではなかった。
それは、戦いの舞台だった。
抑圧された村の古き祭壇で、
ひび割れた像が一瞬だけ輝いた。
それは魔法のせいではなかった。
――何世紀ぶりかに、
誰かが“耳を傾けた”からだ。
怒りを感じたなら。
悲しみに胸が詰まったなら。
そして、
「こんな世界は許せない」と思ったなら——
ぜひ、
この物語に“肯定”を。




