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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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氷の聖戦士

北の風は、永遠の嘆きのように吹き荒れていた。

ボレアリス王国の尖塔は、まるで氷の槍のごとく空を突き、

その水晶のような表面は、蒼ざめた光を凍てついた谷に投げかけていた。

ライラ・フロストベインは、白い外套に身を包み、

巡礼者たちに紛れて、サン・ヴェイル大聖堂へと向かっていた。

数週間に渡り、彼女はこの大陸で最も寒き王国の影に潜み、

情報を集め、動きを探り、そして生き延びてきた。

ここでは祈りは儀式ではなく、狩りの始まりだった。

信仰に身を預けた者たちは、異端を許さぬ狩人でもあった。

ライラ(魔法通信)

「こちらライラ。確認完了。

“新たな選ばれし者”が現れた。連中は彼をこう呼んでいる――

『氷の聖騎士パラディン』。」

カオリ(通信越し)

「気をつけて。王が彼を庇っているなら、周囲は敵だらけよ。」

ライラ(微笑)

「……もう敵に囲まれてるわ。

でもその方が、燃えるのよね。」


中央広場には青い旗が翻り、民衆は賛美歌を響かせていた。

その中心に立つのは――白銀の髪と鋼の瞳を持つ若き戦士。

その鎧は生きた霜のように輝き、

掲げられた剣は空を裂くようだった。

パラディン

「ボレアリスの清き魂に栄光を!

神々の意志に従い、我は剣となる!」

歓声が谷を揺るがす。

ライラは、高所のバルコニーからその光景を見下ろしていた。

その名は――リアン・アルフェルト。

日本から召喚された者の一人。

ハルトと同時に異界に現れたはずの存在。

だが――初戦の前に姿を消し、

死んだと記録されていた男。

ライラ(囁き)

「……生きてたのね。」

隣で一人の神官が誇らしげに呟く。

神官

「彼こそが“氷の聖騎士”。神の正義の体現者。」

ライラはわずかに笑った。

(正義?それとも――都合の良い“人形”?)


その夜、ライラは“南方貿易の使者”として、偽名のまま王の聖堂へと招かれた。

香の香りに包まれた空間には、神聖の象徴と、裏切りの予感が漂っていた。

王――老いの影を湛えた男は、重々しい沈黙の中、彼女を迎えた。

「南から来たと聞いたが……そうだな?」

ライラ(一礼)

「はい、陛下。

ただ、太陽があるところには……必ず“影”もございます。」

その言葉に、王の目が一瞬だけ鋭くなる。

彼女が言わんとしているのは、“ハルト”のことだと、わかっていた。

「……お前は、どちらに仕える?」

ライラ(即答)

「私は、均衡バランスに仕えます。」

その瞬間、大扉が勢いよく開かれた。

リアン――“氷の聖騎士”が、堂々たる足取りで現れる。

その一歩ごとに、空気が凍っていくようだった。

リアン

「父上。この中に……“間者”がいる。」

そして――

彼は、迷いなくライラを指さした。


ライラ(微笑)

「見事な指摘。……でも、“確認”はしないの?」

リアンは剣を抜く。

足元の床から氷の糸が這い上がり、槍のような尖端を形成する。

リアン

「確認など不要だ。

貴様の魂には、“黄金の太陽”の穢れが染みついている。」

ライラ(ため息)

「……君も“信仰”に染められたのね。」

戦闘は、短く、だが壮絶だった。

神殿の水晶が砕け、呪文が空間を歪め、

氷の刃と暗き魔法が火花を散らした。

ライラは黒氷の槍を構え、

リアンは“聖なるオーラ”をまとい、暗黒の魔力を弾き返す。

二人の視線が交わった瞬間、

リアンの瞳に宿るのは、怒りではなかった。

それは――確信。そして、言葉にならぬ悲しみ。

(……彼は、権力のために戦ってるんじゃない)

(“生きる意味”が他にないから、戦いに縋ってる。)

ライラの思考が、リアンの剣先よりも深く彼を見抜く。

やがて二人は力尽き、膝をつく。

王の命で戦いは止められ、ライラは“外交使節”として追放処分となる。

だが、去り際に、リアンは低く、凍てついた声で告げた。

リアン

「次に会えば……お前を、真実と共に凍らせる。」

ライラは、口元に静かに微笑を浮かべて応じた。

ライラ

「なら次に会う時は……“溶ける”方法を教えてあげるわ。」


その夜、ライラはハルトへ連絡を入れた。

手のひらの通信水晶が淡い光を放つ。


ライラ

「確認済み。ボレアリス王国は新たな英雄――リアン・アルフェルトを保護している。」


数秒の沈黙の後、ハルトの声が返ってきた。


ハルト

「……リアン。

“誰かを救いたい”と、いつも叫んでいた少年か。」


背後から、カオリの静かな声が入る。


カオリ

「彼をどうするの?」


ハルト

「……まだ決めていない。

彼がまだ“正義は白く純粋なもの”だと信じているのなら……

この世界の“灰色”を教えてやるしかない。」


外では、吹雪が城壁を叩いていた。

通信を終え、水晶を閉じたライラは、雪に包まれた光の街を見下ろす。


風は冷たく、

だが、その瞳には確かな“炎”が灯っていた。


ライラ

「……ならば、長い冬になるわね。

そしてその冬には――きっと、火も灯る。」


――つづく。


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