09.番外編 七瀬視点
激動の一週間を終えた。
私は自室のベッドに身をゆだねるように倒れこんだ。
頭を休めようと一呼吸。
しかし自然と私は奏のことを考えてしまっていた。
幼馴染を守ろうと行動しだして少し経つ。
私はうまくいかない現状に焦りを感じていた。
奏のお尻を狙っている女子が多すぎる!!
真偽は不明だが今や学年のほとんどの女子に知れ渡っているのだ。
奏がペニスバンドに興味があるのではと。
それからというもの、たくさんの女子が話しかけに行き、奏にアタックしている。
そして奏は分け隔てなく応答する。
危機感が足りなすぎるよ全く・・・!
不安を感じるとともに心がチクッとした。
そんな感覚を振り払おうと頭を揺らす。
そして私はため息をこぼしながら、この一週間の始まりの日の出来事を思い出した。
その日は、いつもよりも友達のテンションが高い教室内であった。
私はありあまる元気を抑えながら普段は生活している。
そのためクラスのみんなで朝からはしゃげて楽しかった。
しかし、一つ不満があったとすれば―――下ネタが多い。
三回に一回はそれらしき単語が出てくる。ちょっと多すぎる。
この時はただそんな風に考え、あまり気に留めていなかった。
いつもよりも早く時間が経ち、迎えた放課後の教室。
おかしいなと気が付いたきっかけはそこでの談笑中のことであった。
「みんなはどんなペニバンが好み?」
突然意味の分からないことをにやついて言う静香。
BLというものを熱弁しているときと同じ顔である。
私はすぐに下ネタの類の話であると理解した。
と同時に焦る。
この場にはそのような話題に疎いまどかと私しかいなかったのである。
静香の相手をするにはあまりにも戦力不足であった。
どうしようかと思いながらも何か返答しなくてはと私が口を開けたその時。
「やっぱなるべく太くて固いやつかなー。
それでがんがん攻めながらも、優しく言葉をかける感じ?」
私は驚きまどかの方を見て、声をあげようとする。
しかしそれよりも早く静香が大きな声を出した。
「わかるーー!!」
どういうこと・・・?
私は理解できないこの状況を頭の中で整理しようとする。
まどかとは小学6年生のときに仲良くなった。そして今までよく一緒に遊んできた友達である。
そんな彼女の今までとは違う、いや、全く知らない一面。
私は必死に先ほどのまどかの言葉を理解しようとする。
しかし、大はしゃぎしている静香の声で考えがまとまらない。
「やっぱ攻められれば攻められるだけいいよね。そんでもって固くて大きいのを前提に理想を言うとね、私は本人のちんこに限りなく近い形がいいわけ。なぜかというと自分とほぼ同じものを身につけられて攻められてどうにかなっちゃってるっていう男の子の状況に興奮するの。そんなのまるで今まで共に戦場を駆け抜けた大切な自分の武器を奪われちゃう兵士のような屈辱感があると思わない? そんな悔しさと興奮に満ちた男の子の表情は芸術と言っても過言ではなくて?」
全然理解できない、私の思考を邪魔する静香の言葉。
しかし、彼女の勢いのすごい発言が終わるとまどかは頷きながら―――
「やっぱちょっとの抵抗感があった方が燃えるよね」
きょ、共感できてる!?
その後、私は驚き唖然しながら熱くなる二人の会話を見ていた。
そしていつの間にかあたりが暗くなり、私たちは解散することになる。
私は急いで家へと帰り、今日もっとも出る頻度が多かった、そして印象に残った単語をネットで調べる。
「えっと、『ペニバンとは』・・・」
そして出たきた大量の卑猥な造形物。
一瞬フリーズしかけたがすぐに意識を取り戻す。
「ごくっ」
私はのどを鳴らしながら、検索候補の一番上にあったサイトを見始めた。
下まで読む。そしてそのサイトに貼ってあるリンクに飛ぶ。
そしてまた最後まで読む。
そしてまたを何度も繰り返す。
どれくらい時間が経っただろうか。
そんなことはありえないという思考が考えることを拒む。
しかし、理解せざるを得ない。
ここは―――男女の貞操観念が逆転している世界なのだと。
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