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01.プロローグ


 気が付いた時には、すでに世界は変わっていた。



 俺の名前は猫屋敷奏。

 今年、中学校に入学して数カ月がたった悩みの尽きない普通の男子である。


 勉強、身体的変化、家庭内格差、人間関係・・・。


 今日もまた一つ、朝から頭を抱える出来事が起こっていた。


 最初はかすかな違和感。

 今日はやたらと男友達からのボディタッチが多い。

 それに相反するように女子同士の距離は遠くなっている。


 俺のクラスはこんな距離感だったか?

 そしてなにより―――教室で積極的に男子に話しかけていく女子のすがた。


 こんなこと思春期の中学生女子にはあり得ない話だ。

 いや、少なくともうちの中学では絶対にありえない。


 だから最初は驚くばかりだった。いったいなにがあったんだと。

 周囲が変化したと確信した瞬間は、七限の保険の授業の時であった。


「はい、このようにして赤ちゃんができるわけです。質問はありませんか?」

「せんせー!

 男性器が女性器の中に入るってあるんですけど、実際はどんな感じですかー!?」


 そう女子の一人が手を挙げ、大声を出した。

 笑いだすクラスの女子たち。「やばすぎ」とふざけて茶化す人も。


 先生を含めた男たちは困った顔をする者もいれば、恥ずかしそうにうつむく者もいた。


 ・・・おかしすぎる。


 俺は授業が終わるとすぐに帰宅し、家にあるパソコンにかじりつく。

 そして、徐々に徐々に理解していく。

 ネットの情報を見れば見るほどそうとしか思えない。



 ここは―――男女の貞操観念が逆転している世界なのだ。


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