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彩愛の話① 馴れ初め

「え、陽奈子もりこぴん好きなの?」


 同じクラスの仲良しグループ六人でいつものように喋っていた。その日は前日に放送されていた音楽番組の話から派生して、好きな歌手や音楽ユニットの話題で盛り上がっていた。

 一緒に過ごすようになって結構経つのに音楽の話ってあまりしたことなかったなぁ……なんて思いながら、私―黒田彩愛は、動画サイトでたまたまPVを見かけて以来、「りこぴん」の愛称で親しまれるアイドルにハマっているんだと話した。


「そうなの!お姉ちゃんが読んでる雑誌に載ってたんだけど一目ぼれしちゃってさぁ……。それで、PVの動いてるりこぴん見て完全に落ちたよ」


 工藤陽奈子は学校生活を一緒に過ごすグループの一人。「くどう」と「くろだ」で私たちは出席番号が前後。入学直後の席順も前後だったから、自然と会話する機会が増えて、いつの間にか休み時間も一緒に過ごすようになった。

 正直いうと、それまでは同じグループの一人っていう感じで、特別仲が良いわけではなかったと思う。明確な共通点とか、同じ趣味とかなかったし。

 それが、まさか同じアイドルを好きだなんて……。

 それからは、一緒に話していた他の子たちを置いてけぼりに、陽奈子とりこぴんトークで盛り上がった。他の子たちは「私たちにはわからないけど、楽しそうで何よりだよ」「二人って共通点あったんだねぇ。意外〜」なんて言いながら、そっちはそっちで別の話題に移っていった。


 その日以降、陽奈子と私が話す頻度は急激に高くなった。

 たとえば、移動教室で六人全員が一緒に歩くのは無理だったから自然と二人ずつに分かれて歩いてたんだけど、一緒に歩く相手が陽奈子でほぼ固定になった。前までは、陽奈子以外のメンバーと一緒に移動が多かったんだけど。

 放課後や休日に陽奈子と二人で遊ぶことも増えた。どちらかの家に行ってりこぴんが出ている雑誌やPVを見たり、りこぴんの好きな部分について語り合ったり……。

 私がりこぴんを最初に好きになったキッカケは歌声だった。それからインタビューやブログ記事を読んで、考え方や人柄を知ってどんどん好きになっていった。

 一方で陽奈子は「雑誌で見かけて一目ぼれした」というように、りこぴんのルックスがかなりタイプらしい。あと、ダンスやファッション、ちょっとした仕草も可愛い!って言ってた。

 こんな風に、陽奈子と私はりこぴんの最初に好きになった部分や注目ポイントが違うんだけど、だからこそ楽しかったっていうのもある。自分以外の人がりこぴんをどんな風に見ているのか聞くと、りこぴんの新しい良さにどんどん気付いていった。違う面から良さや好きを語り合うからこそ、りこぴん談義がどんどん盛り上がっていったんだと思う。


 こんな感じで陽奈子との仲が深まったキッカケは間違いなくりこぴんだったんだけど、二人でいるときにずっとりこぴんの話をしていたわけではない。


 りこぴんをキッカケに話す機会が増えてから気付いたんだけど、陽奈子と私ってすごく気が合う。共通点は結構少ないんだけど、違う部分が上手くかみ合うというか、違う部分が多いのに相性が良いというか……。

 いつの間にか、陽奈子と私はりこぴんという共通点を抜きにしても、親友っていえる特別な関係になったと思う。



「彩愛と陽奈子、いつの間にかすっごく仲良くなったよね~」


 昼休みにいつもの六人で喋っている時、ふとメンバーの一人である平井りさにそう言われた。他の子たちも、うんうんって頷いている。


「好きなアイドルが同じで語り合ってるうちに仲良くなったんだよねぇ」

「ああ、そういえば前に意気投合してたね」

「そうそうりこぴん!最近は陽奈子と二人でりこぴんのブログを1から全部読もうとしてるところ」

「彩愛やば、大好きじゃん」


 りさがケラケラ笑う。

 その時、何故かちょっとドキッとした。すぐに「りこぴん大好きじゃん」って意味だってわかったんだけど、何となく、彩愛は陽奈子のことが大好きって言われたような気がした。

 そりゃ、陽奈子は好きなアイドルが同じだし気が合うし、好きじゃなかったらこんなに一緒に過ごすことないけれど。

 何となく、陽奈子のことが「大好き」って言われるのが恥ずかしかった。

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