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死にたい男と生きたい少女  作者: 島国に囚われしパンダ
第3章 赤髪の剣士と魔法使い
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避けられないもの

月と焚き火の灯りで広場が照らされるほど辺りはもうすっかり夜だ。

冒険者や子供の笑い声がそこら中に響きわたる中俺はその光景を配布されたパンを齧りながら見ていた。


「……固いな」


非常食用のパンのせいか歯で中々噛みきれないほど固かった。

味がしないのも相まってまるで岩を食べているみたいだ

まぁ食べられるのならなんでも構わないが…


「で、お前はあっちに行かないのか?」


後ろの木に寄りかかって立っていたのはマキナだった。


「私はいいよ、あんまり大人数は好きじゃないし……」


パンを噛みちぎりながらマキナは言う。

昼間のテンションはどこへ行ったのやら。


「かっった!何これ岩じゃん!」

「俺も思った、作られてから数日はたっているだろう」

「よくこんなもん食えたね、流石にこれはやばいでしょ」

「食べられるのなら問題ない」

「そんなこと言うのは多分君だけだよ……」


他のところを見ると家族連れや客に配られているのはパンではなくしっかりと調理したシチューだった。


「いいなぁ私も食べたいなぁー」

「仕事だからな、仕方がない」

「そうーだけどー」



何か言いたげなマキナ。

しかし俺達はここまで仕事として活動している

そこはマキナ自身も理解していた。


「冒険者って大変な職業だね……」

「Aランク冒険者がそれ言ったらこの職業は終わりだぞ」

「確かに!」


ひらめくように手をポンっと叩くマキナ。


「……本当に大丈夫か?」


少し心配になった。

マキナは今までの会話から少し抜けているところがある。

これを天然というかどうかわからないが


「あはは、大丈夫大丈夫!今までこれでやってきたからね」


手をひらひらと俺に振りながら言う。

どうやら大丈夫じゃなそうだ。



「………まぁ俺は冒険者になったばっかりだからな、Aランクのお前に言えることなんてないけどな」

「うんうんそんなことない、だって君実力隠しきれてないんだもん」

「どういう意味だ、俺はあの戦いで大人しく後ろにいただけだが」

「あれ、もしかして見てないとでも思ってた?君、後ろの馬車に被害が及ばないように結界魔法使ってたでしょ?」


頬に指先を当てニコッと笑うマキナ。


「………なんのことだ」


何もなかった、知らないふりをした。

あくまで俺は後ろにいただけだとそう言うように。


「ふーんしらを切るつもりね、またいつか見させてもらうから」

「…………」


次は見逃さないと宣言するマキナ。


視野も広い奴だ……

使った冠位魔法が違いがバレにくい結界魔法だったからよかったものの他の魔法をこれからは簡単に使えない。

もし正体がバレて捕まった場合は俺の処刑だけでは済まされない。

最悪の場合……セレンも……


それだけは絶対に避けなければならない


だから俺は正体を隠す。

仮面でもつけて行動すればよかったな……


俺がそんなことを考えていると


「?おい、あっちがなんか騒がしいぞ」


さっきとは違う。

笑い声が広がっているのではなく何やら空気が重く圧迫感のある。


「あれは……」


よく見なくてもわかった。

銀色に輝く鎧ほ騎士達が広場に集まっている奴らを包囲していた。

他に特徴と言えば鎧の背中には黒い剣のような紋章が騎士全員についていた。


「………マキナあれは一体なんだ?」

「なんで……なんでこんなところに…」


声が途切れ途切れになりながらマキナの目は瞳孔揺れ落ち着きがなかった。


「おいマキナどうした?おい!」

「………おかしい……なんで……なんで」


俺がいくら呼びかけても反応しない。

今の状況に心当たりがあるようだった。


「………まさか」


状況の理解はできなくて推測はできる。

ただ今ある情報だけじゃあ少ない。


「おいそこの黒い男こっちに来い!」


騎士の一人が俺に気付き近づいてくる。

俺は徐にゆっくりと立ち上がり騎士と広場の中央へ向かった。

円形状に騎士達が囲みその真ん中に俺は押されるように立たされた。

周りを見ると同じような対応をされたのか子供や御者、冒険者などは状況が理解できずに困惑している。


「何がどうなっている?」「ねぇお母さん!怖い……」


恐怖にまみれた声が飛び交う中騎士の間からとりわけ存在感が強い黒い鎧の大剣の騎士が現れた。


「……我らは暗黒騎士団、一度は名を聞いたことがあるだろう」


先程マキナから説明があった奴らだ。

声は兜で困っているのか渋く、男か女かは判別できない。

だが何故こんなところに……


「おい!いきなりきてこの対応はなんだふざけんな!!」


一人の冒険者が黒い鎧の騎士に向かって怒鳴る。

 

「突然のこのような対応まことに申し訳ないと思っている」

「じゃあとっと解放しろよ!!」

「それはできない」

「なんでだ!!」


怒り狂う男に対して無機質な声で機械のように対応していく黒い鎧の騎士。


「我らの目的はただ一つそれが達成されれば徹底していくと誓おう」


そういうと黒い鎧の騎士は俺達に大剣を向けた。



 「貴様達の中に魔族が紛れている可能性がある」


間に合えば明日投稿します!

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