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死にたい男と生きたい少女  作者: 島国に囚われしパンダ
第2章 令嬢と罪人の結末
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「なぜリリアを殺そうとする」


 その瞬間、メイヤ・スーザンは鋭い目つきで俺を凝視すると途端に笑顔になった。


「貴方はどこまで知ってるんですか?」


 立ち尽くす二人……

 向かい風が吹き葉が俺の頬を通り過ぎた瞬間


「貴方もさよならです」


 先程のナイフを片手にメイヤは勢いよく向かってきた。

 俺はナイフを目で追いつつ初段の攻撃を躱す。

 この前の魔族より動きは遅いが確実にこちらを仕留めにきているのが目に見えていた。

 続いて第二の攻撃はもう一歩の片手に隠していたナイフを取り出しこちらも首元を確実に狙ってくる。

俺は少し体勢を崩しながらしゃがむと攻撃が止んだ一瞬を測って後ろに大きく跳躍した。

俺の動きを見て何やらメイヤは不満そうな顔をする。


「反撃しないとはつまらないです……貴方はできる方だと思いたいんですけど……」

「安心しろ、お前の実力に見合った戦い方をしているだけだ」

「へぇーじゃあもっと見せてくださいよ!」


また距離を詰めようとメイヤが勢いよく地面を蹴る。


お前は俺が武器を持っていないのを警戒していないな……


俺は右手を前に出し魔法陣を展開する。

しかしメイヤはそれでも警戒することなく一直線に向かってくる。


「……この距離で魔法の展開は間に合わない!」


一般的な魔法や魔術は最低でも3秒ほどかかる。

それは世界の常識であり決闘でもそのことを視野に入れ魔術師には距離を詰めて戦う。

だから俺が武器を持っていない時点で魔術師だと思ったのならそれは最適解だ。


だが……甘いな


「なっ!」


メイヤは驚きが隠さず思わず声が出る。

それもそのはず勢いが止まらなかったメイヤの足や手には地面から出た鎖で固定され動けなくなっていた。


「……トラップ魔法ですか……いつから仕掛けていました?」


メイヤがいくら手足を動かそうが鎖は巻きつき離れない。


「ここに来た時からだ、どうせなら簡単に終わらようとな」

「………誘導されましたか」


メイヤが金を受け取らないことも俺を攻撃してくることもある程度予測は立てれる。

ならあとはそのルートに罠を敷くだけ……

この魔法の欠点は罠を貼った本人がその場にいなければ発動しないこと。

まぁこの場合はどうでもいいが……


「………話せ、なぜ自分の主人を暗殺する」


本来ならここでこいつを殺して終わらせる。

だが……やり方を変えると約束した。

なら殺生以外で方法を見つけるだけだ。



言葉を無視しメイヤは下を向き沈黙を貫く

俺は徐に近づこうと歩み始めると……



「ふふふあははははは!!」


その笑いは今までの冷静な声とは一変してまるで今まで遊んでいた……そんな笑いだった。


「貴方にはわからない……私がどれだけお嬢様を愛しているのか!どれだけ私がこの世界を憎んだのか……」


その声に応じたのかメイヤの胸元にかけてある十字架が光出す。


「私は……今まで苦しかったんです、お嬢様がどれだけ暴力に怯えようともどれだけ泣こうとも私は止めることはできない……リリア様の監視を命じられずっとお嬢を見ていることしかできなかった!」


メイヤに絡まっていた鎖が一気に崩れ始めた。

地面には金属音とともに砂のように鎖の破片が消えていく。


俺は知っている……メイヤがまだ俺を殺すことを諦めてないことを……


「だからこんな腐った世界ならいっそのこと殺してしまった方が二人で幸せになれるんです」


メイヤから出る圧倒的な魔力量……これは人間ものではない……


「お許しを!信仰のバエル様!あなたの力を使わせていただきます!」

「…………」


空から途端に光が降りメイヤを包む。

背中から真っ白で……それでいて腕の長さほど大きい……”天使”の羽

その白とは対照にメイヤのその目はさっきよりもさらに黒く渦巻いていた。


「………やっぱりどちらかが死ぬまで戦いは終わらないな……」


自分の考えの方が甘いことを身に染みた。

こいつは殺さないと殺される。

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