雨の町の出会い
あの事件から数時間後私は途方に暮れ町を歩いていた。
まだ自分の中で何が起こったかは整理がつかずこれが夢であることを望んでいた。
しかしいくら目を閉じようが覚めることはなく世界は変わらない。
もし……私があの時決闘を受けていれば……
そう考えるだけで全身が寒くなる。
しかし今の問題そこじゃない。
私が婚約破棄されたこととメイヤがいなくなったこと。
そして今の私は泊まる場所がないのだ。
馬車で帰ろうにも何故かすでにキャンセルされていた。
殿下が用意してくれた屋敷に帰ると
「お引き取りください、あなたはもうただの一般人です」
と門前払いされた。
私が辺境の貴族であったことから私を嫌う者も多かった。
ちゃんと今まで話し合う努力をしてこなかったことのしわ寄せが来たのかもしれない。
潮風に揺られにぎやかだった町は今はすでに街灯だけが頼りの道になっている。
当然いきなりことすぎてお金を持ってはずもなく物を売ろうにもすでに店は閉まっている。
ここから私どうなるのでしょうか……
私は空を見上げた。
さっきまで星空だったのに雲がかかってきている。
出し切った涙はすでに渇き顔に跡が残っていた
でも思い出すだけで胸が締め付けられる。
「メイヤ……メイヤ……ねぇ…一体どこに」
今までずっと一緒だった。
これからもそうしていくと私は本気で思っていたのだ。
少しずつ雨粒が降ってきた。
最初は一滴ずつ、しかし段々と降る速度は加速していきいつしか雨になっていた。
殿下に選んでもらった服が濡れる。
風邪をひく。
しかし今はそんなことはどうでもいい。
私は歩き続けた。
暗闇の中をひたすらに。
「…………?」
私は町の中央にある橋を見る。
その下には何かが光って見えた。
「……………」
私は少し近づいていく。
「誰か雨宿りしている方がいるんでしょうか」
光の方に恐る恐る近づくと……
何やら話し声が聞こえてきた。
男性の声?女の子の声?
私は雨音にかき消されそうな声に耳を傾けた。
「…この雨吹き飛ばせるか?」
「無理よ、私の魔法は雨を作ることはできてもそれを無くすことはできない、まぁもう少し改良したらできるかもしれないけど…」
「……じゃあ浄化魔法を使うから濡れながら行くぞ……って、あ……」
「どうしたの?」
「宿とってないなそういえば」
「あ……この時間帯で受付しているところは…………」
「………よかったなセレンもう一回野宿できるぞ」
「橋の下で野宿ってやってること家無き子と一緒でしょうが!一応使い魔で探して見るわ」
二人の声が淡々と聞こえる。
それは騒がしくでも楽しそうなそんな会話だった。
「で、そろそろ正体を見せたらどうだ?」
男の言葉で突然会話止まる。
どうやら私に気づいたらしい。
私は橋の下に入り座り込んでいる2人を見た。
一人は黒衣の成人をするちょっと前ぐらいの顔立ち、もう一人は同じ色のメルヘンな服を着ており金髪で左目に何かの紋章が写っている女の子。
「すみません……すぐいきます」
私は再び歩き出そうと一歩踏み出すと
「……とりあえず、雨宿りならこっちにくればいい」
黒衣の男が私を見て言った。
金髪の女の子もこちらを見て笑顔で手招きをしている。
あーこの人達最初から私の存在に気づいていたんだな……
私が暗闇から正体をあらわすと
「……びっくりしたわ本当に兵士が追いかけてきてるんじゃないかと思ってずっと警戒していたの……」
金髪の女の子は軽いがその中に少し上品差が入った口調で言う。
光の正体は床に置いてあるランタンだった。
「………あのもしかして空から降ってきた方々ですか?」
「………お前確か王族の結婚式にいた…」
私はこの人達に見覚えがあった。
さっき会場で天井を突き破って落ちてきた人達だ。
向こうも私の事を見て気づいたらしい。
「……………」
黒衣の男が私をまじまじと見つめる。
すると黒衣の男がいきなり私の周りに魔法陣を展開する。
「えっ!」
一瞬の出来事であったが全身に光が周り濡れていた髪と服が一瞬で乾いた。
「あの……これって……」
「…………セレン」
「わかっているわライ」
すると金髪の女の子が目の前にきて私の手を掴む。
そして
「パーティーをめちゃくちゃにすみませんでした………」
「え?」
私は思いがけない言葉にびっくりしてしまった
「俺も悪いとは思っている、詫びる方法があるなら言え」
黒衣の男が立ち上がりそう言った。
「え……えーとー……」
私は突然のことすぎて理解が追いついてなかった。
祝!1000pv!!(多分これが投稿されているころにいってるはず)
ここまで見てくださった皆様本当にありがとうございます!
これからもどうか『死にたい男と生きたい少女』をよろしくお願いします




