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死にたい男と生きたい少女  作者: 島国に囚われしパンダ
第2章 令嬢と罪人の結末
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公爵令嬢

私は少し恵まれすぎていたのかも知れない。

帝国第二のこの港町の領主の父と一般の農村の出身の母の間から生まれた私。

私は生まれた時からこの国の王子バリアス殿下の妻となるべく育てられてきた。

礼儀作法に習い事……私のこの16年間の人生はそれで埋まっている。

私がバリアス殿下と結婚するのは覚悟の上だ


「明日はロイヤルウエディングですねお嬢様」


茶髪のメイドがドレッサーの前の椅子を引くと私がそこに座った。

その鏡に映ったのは銀髪の長い髪が特徴な人

これが私、リリア・フィルラーバルト。

ここは王族が港町に作らせた別荘の中、明日隣にある式場にバリアス殿下がお越しなる予定だ。

メイドは私の髪を丁寧にゆっくりブラシで溶かして行く。


「ありがとうございますメイア」


彼女が笑顔でお礼を告げると顔色一つ変えずにメイアは返答する。


「これくらい当然ですよお嬢様、それにしても浮かない顔をしてらっしゃいますね」


やっぱりいつも一緒にいるメイヤにはバレてしまいましたか。


「実は…その…実は緊張してるんです。明日は上手くできるかなって……こんなので王族になれるんでしょうか私…今日の夜には殿下も一緒のパーティもあるのに…」


リリアの不安な精神状態

そんな物はメイヤには数日前からわかりきっていた

今まであえて口には出さなかった。

何故なら余計に不安を煽ると思ったからだ。

リリアが王族になってからメイヤがこのまま側についていけるのかはわからない。

しかしメイヤの役目は最後まで主人のために全力を尽くすこと。

少しぐらい弱音を吐かせたっていいと考えたのだ。


「お嬢様は立派な王族ですよ…リリア様が生まれた時から仕えていた私が保証します」


凛々しくきっぱりとメイヤはそういった。

それに安堵したのか固かったリリアの表情が少し和らぎ笑顔を見せる。


「私はメイヤのおかげで今までの人生が凄く華やかになりました。本当に感謝にしています」


メイヤは思わず手を止めてしまった。


私は…私の人生を救ってくれたのは貴方ですよお嬢様。

いつも稽古や習い事を泣き言も言わず一心不乱に頑張っていた姿を見て私は……頑張ろうと決めたのです。


「メイヤ…?どうしたんですかメイヤ」


メイヤの目から思わず涙が溢れてしまっていた。

10歳の時に赤子のリリアと出会いその人生をメイドとしてリリアに使えてきた。

まるで我が子のようにそして親のいないリリアにとってのただ一人の家族……


「いえ……なんでも……なんでもありませんお嬢様」


嬉しかった、でも同時に悲しみの感情が湧いてきたのだ。

もう二度と会えなくなるかもしれない。


「朝方は人が少ないですし少し散歩に行きましょうか」

「えぇ、そうですねいきましょうか」


メイヤはポケットから「C」と書かれているプレートを取り出した。

これはメイヤが一人でリリアの護衛をするために冒険者として名を馳せ努力してきた証。


「いきましょうかお嬢様」


メイヤは護身用のナイフをスカートの中に忍ばせながら言った。




「ライ……ねぇ!ライ!」


掛け布団を叩かれ俺は少し重い感覚を持ちながらゆっくりと目を開ける。

すると


「やっと起きたわね…ライ目覚めはどうかしら?」


そこにはベッドに寝ている俺に跨がっているセレンがいた。


「……重いどけろ」


ライは面倒くさそうな顔でセレンを見る。

するとセレンはぴょんとベットから飛び降りて隣に立つ。

首を少し捻りながら体を起こす。

するとある事に気づいた。


「おい、俺ベット一つしかないから床で寝ていたよな?どうしてここで寝ている」


昨日は宿をとったのが夜遅くであり、ベットが一つの部屋しかなかった。

だから俺は勘違いされると面倒なので床で寝ていた


「感謝しなさい!私が移動させてあげたのよ」

「はぁ……そういえばお前そんな事できたよな」


俺とセレンが出会って最初時、意識がない俺を館までどうやって移動させたか謎だったがそういえばこいつ魔女だから魔術や魔法でどうとでもなるか…


「でどうよ」

「何がだ?」


セレンが自信満々に俺に言う。


「私と寝た感想は?」

「昨日の酒場代払え」


俺はセレンに現実を突きつける。

昨日の酒場代は味がわからない俺は最低限しか食ってないし実は帝国の勇者達の代金は少し足りなかった。

足りない理由はおそらくこいつが酒を大量に飲んだせいだ。

多分ここまでの代金になると和也も思ってもいなかったのだろう。


「え……えーとその、そうだライ!貴方黒衣を着たまま寝ないでよ!脱がすの大変だったんだから」

「話を逸らすな、そしてその必要性はない、浄化魔法があるから無駄な作業だ」

「確かに浄化魔法は風呂とか洗濯よりも汚れを落とすけど、寝る時ぐらい寝巻きで寝れば?せっかく導きの門(ゲート)があるんだから」


確かに導きの門(ゲート)は剣とかを取り出すのに便利だから色々入れているが、浄化魔法があるおかげで服を着替える必要性がなかった。

よく見ればセレンはいつのまにか服を白い寝巻きにしてるが…

俺がセレンの服をじっと見つめていると…


「あぁ、ちゃんとあの後起きて風呂入って着替えたのよ、流石にあの服で寝る勇気はないわ、あとで浄化魔法かけといてね」

「はいはい」


俺は手始めに自分の体に魔法陣を展開し浄化魔法をかけるとハンガーにかけている黒衣を着た。


「で、支払いの件なんだけど…」

「そうだわ!少し町を見に行きましょう!」

「だから…」

「早速着替えてくるわね!」


誤魔化しやがったなこいつ

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