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第二話 王宮にて


眼の眩む様な光が収まるとそこには二人の人生の中では見たことのない宮殿が広がっていた。


アーチ状の天井、金でできているであろう装飾の数々、床に直接書かれている魔法陣、

玉座に座っている王らしき男性、それの近くには屈強な兵士。


おそらく王の近衛兵だろう。魔法陣の周りには黒いローブを着た魔導士らしき人達が沢山いた。

沈黙の末、口を開いたのは王だった。


ユウキとハルキは混乱のあまり話が頭に入ってきていない様だったが、王曰く、

「魔族がこの国を支配しようと度々攻め込んで来る。今は何とか食い止めているがもう持たない。藁にも縋る思いで勇者召喚を執り行った。どうか其方達の力を貸してほしい」

とのことだった。やっと混乱が覚めた二人は、見知らぬ世界に飛ばされた事に戸惑いつつも、

お互いが無事だった事に安堵した。


ユウキがハルキに囁く。


「なんか胡散臭いけど俺ら勇者らしいから暫く此処に居ようぜ。」


ハルキも渋々同意した。恐らく断れば、この世界での行き場所など何処にも無いからだ。早速鑑定の魔道具での鑑定が行われた。



ハルキ

職業 ブラッドイーター

LV 1

体力 1000

攻撃力 250

魔力 7500

素早さ 600

防御力 300

所有BP(ブラッドポイント) 0



(うわぁ・・凄いなぁ・・ステータス・・・この世界の普通の人がオール100って魔導士の人言ってたし・・魔力が・・・・うわっ7500!?75倍かあ・・・僕なんかが魔法使えるのかなぁ?おっ、ユウキの鑑定もやってるみたいだ。どれどれ・・・・)


ユウキ

職業 ブラッドイーター 

LV 1

体力 3000

攻撃力 8000

魔力 20

素早さ 2500

防御力 3000

所有BP(ブラッドポイント) 0



(へー。僕は魔法寄りでユウキは肉弾戦寄りなんだ。っていうか魔力20かぁ、こりゃあ「肉弾戦だけ」かな。)


ユウキは鑑定結果を見て、結果が気に入ったのか無邪気に喜んでいる。


(っていうか、職業がブラッドイーター?なんじゃそりゃ?それに・・・なんだこれ。天弩の魔法使い?なんでこんな中二病っぽいの?)


ハルキがぶつぶつ呟いているうちに、自分たちの部屋に案内された。

広々とした部屋、立派な家具。まるで高級ホテルの一室だった。


「ふぅ、やっと一息つける」


そう言ってハルキは大きなベッドに大の字に寝転がる。と、そこにドアを乱暴に開け、ユウキが部屋

入ってきた。


「ようしハルキ!!まずは此処を散歩兼探検だ!!」


と元気良く言う。


「ええ・・・今日は疲れたから明日じゃあダメ?」

とハルキが力無く言う。


「ダーーーーメ!!」


そう言ってユウキはハルキを引きずるようにハルキの部屋を後にした。召使いたちが言うには、

金庫室以外はどこにでも行って良いとのこと。早速広い王宮を探検する。

七割型王宮の作りが分かった所で、ユウキがふと足を止めた。急に止まった所為で後ろにいたハルキがユウキの背中に顔をぶつける。


「ねぇユウキ?急に止まってどうし・・・」


「静かに」


ハルキの言葉を遮るようにユウキが言う。

そういわれてハルキも耳を澄ます。壁の向こうから、なにやら話し声が。


「今までどれだけ金をやったと思っている!!なのに今更「これ以上は無理だ」とそういけしゃあしゃあと言える!?わかったらさっさとあのガーフィル王国に魔物を差し向けろ!!勇者二人も領土拡大に使用する!!良いな、魔物どもをガーフィル王国へ送れ!!」


ヒートアップしているのか、かなりの大声だ。


「どうやら俺たちは王さんの国のわがままの片棒を担がされるっぽいな。」


とユウキがハルキにだけ聞こえる声で言う。


「どうする?逃げるか?判断は任せるぜ。ハルキ。」


「どっちにしろ、闇のある話をしてる王様の所には居たくないね。」


とハルキ。そそくさ自分たちの部屋に帰る。


「さて、どうしたもんかな・・・・・」

ハルキが深いため息をつく。

「そのガーなんとか王国に教えてやった方がいいんじゃね?一応俺らは正義の勇者様なんだろ?」


「ガーフィル王国ね。それもそうなんだけど・・・・どうやって連絡するの?情報伝達の魔道具とかもあるみたいだけど使い方わからないし・・・・」


「ならこうするしかないだろ。」


ユウキが至極まともな顔で言う。


「何をどうするって?」


ハルキが尋ねる。


「そりゃあ決まってるだろ。」


そしてユウキは勢いよく部屋の外へ飛び出し、

やたら大声で言い放った。


「夜逃げしかねえだろ。」


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