第二十話 魔王殿の殺気
なんかうっかり設定ミスで推考前にUPが行われてしまった・・・。
もう一度推考してあげ直しました。
そこは暗く冷気を帯びたただっ広い場所だった。
薄暗く天井が見えずにどこまでも伸びる大きな柱が何本も立っている。
立派な王城の広間のようだった。
壇上の王座に一人の影。
壇の下に跪く人物が腑に落ちぬといった感じで壇上の主に訴えかける。
「我が主よ、まだ開戦してはならぬのですかっ!!いまだ我が軍の士気は落ちていません。奴らの戦意は明らかに落ちています。いまが好機なのです!!どうか奴らを攻め滅ぼせとご命令くださいっ!!」
ヘルンケルは壇上の上に座る自らの主を見上げる。
「ならぬ。人間どもの代表と約定を交わしている。
貴様はわしに約束を違える愚か者となれと申すのか?」
突然、壇上の人物は怒りのため膨大な魔力と冷気を伴うような殺気が立ちこめる。
この場にいる魔人たち全員が死を覚悟するほどの恐怖に包まれる。
とくに苦言を強いたヘルンケルは恐怖で俯き自らの主の怒りで全身がガタガタと震えさせて
「申し・・・わけ・・・ありません。ですが・・・・ですが・・・・」
擦れ震える声でなんとか絞りだす。
「しつこいですわよ。ヘルンケル。我が主が休戦と言えば休戦なのです。だいたいあなたの私情で始めた戦でしょう?」
場の恐怖に呑まれることなく緩やかな喋り方でヘルンケルを諫めたのは「緑燐の夢魔」ランディウス。
深い緑の長い髪と瞳。「妖艶」が動いていると言っていいほどの艶のある動き。そしてその肢体は女でることを強く主張するように豊満で魅力的であった。
「そうは言うが勝っていたのだ。いま再開すればやつらをあの憎き「門」のところまで押し戻すのも可能かもしれぬのだぞ」
2メートルに届きそうな巨漢の人物がヘルンケルのフォローに回る。
身長もそうだがその体躯は隆々とした筋肉、顔は彫りが深くいかにも武人といった作りで真っ赤な髪は獅子の鬣をおもわせる。巨漢の男かと見間違うがその胸部だけで男性ではなく女性であることを強調している。
「ガルナディア、我が主はそんなことを望んでないと申されているのよ。理解できないのかしら?」
ランディウスは巨躯の女性に静かな怒気をはらむ。
ガルナディアもその怒気に反応し殺気を放ち始める。
「キャハハハハ、殺気に満ちてるねぇ。殺るの?殺り合うの?いいねぇ。あたいも混ぜなよ。まとめて殺ってやるよ!」
けたたましい奇声を上げながらピョンピョンと跳ねながら1人の女が入ってくる。
グレーの髪はボサボサで、異常に青白い肌。スラリと細い身体は疵だらけだった。ギョロっとした赤い目とだらしなくにやけ開いた口の赤さが青白い顔の中で映える。
「死なないお前と殺しあうなんぞ時間の無駄だ。黙っていろ。ヴァナハルト」
ガルナディアは跳ね回るヴァナハルトを鬱陶しそうに一喝する。
「ぎゃははは、ガァル~、あんたがあたいと殺るのかい?いいよ~あんたの一撃は痺れるからねぇ、さぁ殺ろう。いますぐ!!!さぁ!!!
ヴァナハルトはガルナディアの周りをぴょんぴょん飛び回り挑発する。
その時、壇上の男が静かに戒める。
「ヴァナルハルト、やかましいぞ。静かにせい」
その瞬間はしゃいでいたヴァナハルトがピタリと静かになり片膝をつき壇上の自らの主人に礼を尽くす。
「我が主人、偉大なる魔人の王よ。どうか私に最後のチャンスを。王と密約をした人間の首、取ってきた暁には私の願い聞き届けてくださいますようお願いします。我が命にかけて何とぞっ!!」
ヘルンケルは地に頭を擦り付けて絞り出すように懇願する。
魔王は静かに冷やかにヘルンケルを見下ろす。
他の者も魔王の動向を伺う。
「・・・・ふん、よかろう。魔人たるもの己の力で勝ち取るのが道理。貴様が目的を達することができるのならその望み、聞き届けてやろう」
その言葉にヘルンケルは喜びの表情で魔王を見る。
「ありがたき幸せ。必ずや我が本懐遂げて見せましょう!!」
「・・・あーほどほどにな。ほどほどに。」
魔王は少し歯切れ悪くヘルンケルのやる気を宥めるように言った。
「いえ、お気づかいは無用。すぐやつらの首都に赴き魔王様に接触した輩を処断してきたいと思います。ではっ」
そう言うとヘルンケルは闇に溶け込むように消えてしまった。
魔王は誰にも悟られぬようにため息をついて呟く。
「・・・・うーむ。困った。どーしよ」




