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異世界召喚された勇者たちは酒場からでない。  作者: 新居部留源
昼の情景~ミリガンティア市場~
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第十八話 カルゥアvs果物屋の女主人

「さて、欲しいのはオレンジ、レモン、10個。りんごとバナナを5つ、で良かったのかねぇ?」

メイは商品を見定めながら問う。

カルゥアはコクリと頷く。

それを横目で確認して

「まぁそこのバカが言った通り、今回のレモンはまぁまぁの品でね。17枚にレモン3個つけてたら赤字さね。

せめて18枚で5個追加。もしくはりんご3個にしたげるから17枚かのどちらかだねぇ」

メイはりんごを手に取りながらそう言った。

カルゥア俯き考えている。

ふと視線を動かした先にあった頭大の大きさのスイカのような果実を凝視し驚いた顔で

「あれは・・・サルプティカ?」

カルゥアが指差した果実にメイも目をやり感心した顔で

「おやおや。ずいぶん珍しいものに詳しいじゃないか。たまたま手に入ってね。あれをお買い上げしてくれるかい?お安くしとくよ?」

メイは意地悪く笑う。

カルゥア少し考えて

「おいくらなの?」

「そうだねぇ。まぁ買い手がつくかは分からない商品だけどめったに手に入らないものでもあるからねぇ。7枚ってとこかね。先ほどの買い物分に上乗せするなら22枚にしてあげようじゃないか」

メイは意地悪く笑いながらサルプティカを持ってくる。

ちょっと離れたところで二人のやりとりを見物していたサマジは隣のゲンに耳打ちして質問する。

「あのサルプティカってのは旨いのか?」

「いやぁ、普通には食えたもんじゃないですね。

水っぽいし甘いんですがパンチがないというか。ただ、めったに出回らないものなんで好事家がいるって話は聞くんですが捌くにはその好事家を探さなきゃならんのですわ」

ゲンは素直に教えてくれた。

「ふぅん」

サマジはカルゥアを見る。ちょっと悩んでいるようだったが買う意思が見える。

それはメイも感じとったのであろう。

「どうするね?別段わたしゃどっちでも構わないよ?まぁぶっちゃけサルプティカに関してはうちも素人でね。買い取ってくれるなら助かる話でもあるのさ」

メイはカルゥアの顔を覗き込む。

カルゥアはふいに顔を上げ

「マサシ、その袋のパンを」

と急にサマジを呼ぶ。

「あ、ほいほい」

サマジも袋のパンを持って2人に近づきカルゥアに渡す。

「このパンは今しがたマニエさんのところで分けてもらってきたパンなの。銅貨3枚分以上あるわ。これも付けての18枚、それでどうかな?」

カルゥアのわらしべ長者が始まったな。とサマジは思った。

メイは袋の中のパンを確認する。

「ふぅん、マニエのところのかい。たしかに3枚分以上にはありそうだね。しかしずいぶん大きくでるね。それじゃあうちが大損じゃないか」

あほらしいといった感じでメイが手をひらひらさせる。

カルゥアはそれもそうだという感じで頷きにっこり笑うと

「でもこれを付ければ納得してもらえると思うの」

さらに自分が持っていたもう一つのパンをメイに差し出した。

ふんわりと香る甘い匂い。

その香りを嗅いだのかメイの表情が一転してそのパンをひったくるように受け取る。

「これはっ、マニエのところでしか作ってない貴重なハチミツをつかったパン!!」

すこし高いトーンの声が上がり、そこでハッとなってメイが赤面し顔を背ける。

「ど、どうしてこれを?」

メイはしどろもどろになりながらカルゥアに聞く。

「ゲンさんが教えてくれたの。メイがこれを食べてみたいと、いつ行っても手に入いらないと嘆いていたって。

それで前にマニエさんのところに行ったとき良ければ手に入るときに1つ置いといてもらえないか頼んでたの。今日、やっと手に入ったのよ」

カルゥアは嬉しそうにほほ笑んだ。

その笑顔で苦虫を嚙み潰したような顔を一瞬したあと、

メイはもう一度貴重なパンを見てゆっくり香りを楽しんだ。

「・・・ふん。嫌なタイミングで手に入ったもんだね。

まぁいいさ、あんたの条件を飲んであげるよ。18枚でサルプティカを付けてあげるよ。ゲン!!あとは頼んだよ」

メイはそう言ってこちらを見ることなくテントの奥へ入っていった。

「へぇ、意外とかわいいとこがあるんだなぁ」

サマジは最初の印象よりメイに好感を持った。

「姉さん、あれでも甘いものに目がなくって。しかも甘くておいしいもの食べた後は女の子らしい振る舞いもでるんですよ」

ゲンはニヤニヤしながらサマジに耳打ちする。

「おっと、いけねぇ。いまの話は聞かなかったことにしてくだせぇ。カルゥアちゃん、果物はいつも通り後から取りにきてくれるんで?」

ゲンは素早く仕事に戻る。

「はい。取りくる手はずになってるわ。

じゃあこれがお代ね。サルプティカは貰っていくね。マサシ、持ってもらってもいい?」

代金を手渡し、カルゥアはサマジにおねだりするような申し訳ないような顔でお願いする。

「ああ、もちろん。持たせてもらうさ」

サマジはスイカみたいな果実をひょいと抱きかかえて持つ。

「おっとおにーさん、いい男だねぇ。カルゥアちゃんからの信頼厚い男とみたね」

ゲン、妙に軽口のすぎる男だった。

カルゥアはぺこりとゲンに会釈をすると

「いこう。マサシ」

と果物屋を後にする。

サマジもゲンに手で挨拶するとカルゥアのあとに続く。

少し歩き市場から離れたところで2人は並んで歩く。

「この戦利品の次の行先はあるのかい?あんまり旨くないって聞いたぜ?」

サルプティカをくるくる回しながらサマジは訊ねる。

「次の酒蔵で。実はあまり知られてないんだけど、サルプティカは以外にもお酒の材料として重宝されるのよ。」

そう言っていたずらっ子のような笑みでサマジを見上げたカルゥアだった。

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