第十二話 ファーストコンタクト
ノートパソコンに少女たちが落下していくシーンの下に「つづく」の文字が流れ、画面は変わりコミカルな曲に合わせて少女が踊り出すエンディングが流れる。
「やはりこの作品はいい出来だ。」
ダイは感慨深く目を閉じて感動の余韻に浸っている。
「いつ見てもいい作画だな。愛を感じるねぇ。」
肘をついて惚れ惚れするような顔でサマジも絶賛する。
「うんうん。女の子の友情いいねっ、ぐすっ」
コマシは涙ぐむ。
そんな3人を肴に酒を煽るリー。
「ぼんど、いいはなじだねっ、あの子たち、どうなったの?つづきはあるのっ?」
ダイの後ろでまるで花粉症にでもかかったかのように大泣きしている女の子がいた。
女給のマーニはたまたまお酒を運んできたら見入ったらしく仕事をほったらかしで一緒にアニメを見ていた。
「いや続きはあるがね。マーニ、そろそろ仕事に戻らねばマスターのゲンコツをもらう羽目にならんかね?」
コマシにハンカチを借り涙と鼻水を拭いていたマーニはハッと我に帰り、
「そうだ。仕事しなきゃ。続きは今度、絶対みせてね!!ところでそれなに?なんで絵が動いてるの??」
マーニは慌ただしく疑問を投げかけながら去っていった。少し時間をおいて
「あいったあぁぁぁ!」
カウンターでマーニの痛がる声が聞こえてきた。
「ナム」
4人は合掌した。
ピポッっとパソコンが機械音を上げる。
メッセンジャーが起動したようだった。
「ん???おい、リー、何やらメッセージがきたようだぞ?」
ダイは訝しげにリーを見る。
「え?そのパソコンのメッセンジャーは使ってないはずだぞ?」
リーはノートを自分の方へと引き寄せメッセージを確認する。
???【なんだ?ワシの頭の中で流れるこの映像は?】
それを見てリーは考え込む。
「これ・・・なんだと思う?なんかの冗談か?」
リーもやや混乱気味で皆に意見を求める。
「誰かの悪戯じゃねーの?というかこいつ誰??ハッキングか?」
サマジも困惑したようで曖昧にに答える。
「でもここ異世界だよ?誰かとテレパスで繋がってるとかありうるんじゃない?女の子じゃなさそうなのが残念だけど」
コマシはあまり興味なさげにビールを飲みながら画面を見る。
「ふふん。コマシの案が一番面白いな。なんにせよコンタクトしてみなければわからんな。ファーストコンタクトだ。リー。面白いやつを頼むぞ」
ダイはニヤニヤしながら無茶振りをする。面白いおもちゃを見つけたときの生き生きとした嫌な笑みだった。
リーは少し考えこむと
リー【いじめないで。ぼくわるいスライムじゃないよ】
と打ち込む。
・・・・・一同沈黙
「これはないだろう・・・・」
「センスないね・・・」
「寒さ倍増だな」
3人は全力否定する。
「ば、ばか無茶ぶりするからだろっ!!!」
珍しくリーが照れながら狼狽する。
???【スライム?スライムとはあのドロドロの意志のない魔法生物か?なんでそんなものがワシの頭の中に話しかける?これは何事だ??】
相手が狼狽しているのが手に取るようにわかる。
「これはややこしいことをしたかもな。さてどうしたもんか」
ダイは冷ややかにリーを流し見しながら思案する仕草になる。
リー【いや、すまない。軽いジョークだ。状況が掴めないのはこちらも同じなのだ。そちらはどこの誰だ?こちらはミリガンディアの酒場に居る者だ。そちらの情報を頂けるとありがたい】
???【ワシは魔王ヤグルダーグァン。魔人の王にして最強の魔人なり。ミリガンディア?人間の都市か?なぜそこにいる者がワシの頭の中に話しかける?そもそもこのヴィジョンはなんだ?みたことないものだ】
一同顔を見合わせる。
「・・・どう思う」
サマジはおのぼりさんをどう扱うべきなのか本当に困った感が出ている。
「いや、あながち嘘でもないかもしれないぜ?魔王って言うくらいだ。相当な魔力を持っててどう言う原理かわからないこいつとリンクした可能性は捨て切れないぜ?」
リーは逆に肯定的だった。
「ふふん。とりあえず確証になるものがあったとしても俺たちにはそれが本物かどうかを確認する術もない。というのが現状だしな」
ダイはニヤニヤしながらどっちにせよおもしろいと考えているようだった。
「とりあえず質問だな。」
何を質問するか思案していると魔王の方から質問が来る。
???【ふん、これはテレパスの一種か?とりあえず一つ聞く。さ、さきほどの・・・なんだ・・・その動く映像のことだ。あれは・・・・なんだ?あの・・・か弱そうな女ども・・・・あれは・・・その・・・なんだ?】
質問の内容をみて一同またしても顔を見合わせる。
その時、ダイはピンと閃いた顔をして素早くリーのパソコンでタイプし始める。
リー【先ほどのはな、我々の世界でアニメと呼ばれるものだ。なにか気になることがあったかね?】
ダイは一人ニヤニヤしながら文章を打ち返信を待つ。
???【アニメ?それが先ほどの映像の名前か?ふ、ふん、何か人間どもの新しい攻撃方法かなにかか?ああいう・・・小さい女を戦わすのか?貧弱そうな・・・・?」
リーとサマジの頭の中は困惑と混乱中であった。
コマシは興味なさげにビールを飲みながらカウンターで談笑している女給たちを眺めている。
ダイだけはニンマリ笑いながら文章を読んでいる。
リー【可愛いだろう?だが別に戦闘をさせるためのものではない。少し興味があるようだな。
次のアニメも見てみないかね?アニメの本質を教えようではないか!!】




